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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
13章 精霊達とメル
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280話 条件は?

 操舵士であるフィッツ、航海士ルーイの手助けを得て海へと出たメル達。

 目的地はルーフだ。

 しかし、その前にメルには気になることがあった。

 それは大事な精霊という仲間たちのことだ。

「わ、私!?」


 メルは突然の申し出に驚いた。

 氷の精霊だったフアルは勿論、シレーヌも誰が良いなどと言わなかったからだ。


「メル? もしかしてシルフ……いや、アリアが何が言ってるのか?」


 メルの様子を見て恐らくそうだろうと考えたリアスのに対し、メルは頷き答える。


「う、うん……私が良いって……」


 でも、あの時確かに私は願った……だけど、首飾りを使えるのはエスイルだけ……なのに、私?


 そう、首飾りを使い精霊を生み出す事の出来るのはエスイルただ一人。


「でも、精霊は……」


 エスイルはメルの方へと向きそう呟く……。

 少年が言いかけた事は最早一同にとっては当然のことであり、精霊は嘘をつかないという事だ。

 つまり、精霊であるアリアはメルの精霊力でない限り受け付けたくないと言う事だ。


「どういう事……? 道具はエスイルしか効果が無いはずなのに……それを通して精霊に力を与えることが出来るのは私だけ?」

『メルが良い! 私はメルじゃないと嫌!』


 だというのにアリアは再びそう口にした。


「…………不思議ね?」

「いや、普通じゃないか?」


 首を傾げるライノ。

 対し、シュレムは何を言っているんだという顔で口を動かす。


「いや、不思議だろ? 首飾りは確かにエスイルに渡すように言われた。あいつはエスイルじゃないと精霊を生み出すことが出来ないって」

「それは生み出す方だろ? 力を与えるのが駄目って言われたのか?」


 シュレムの言葉は確かにとも思う事があったリアスだったが、納得しかける前に――。


「いや、待て待てそれじゃますます意味が分からない。あれ駄目でこれが良いなんて道具があるのか?」

「じゃぁ他にどう説明するんだ? 事実、メルはシルフの時から仲が良かったからな。道具とか関係なく相性が良いって事じゃないのか?」


 シュレムの言葉。

 それはメルにも心当たりがある事だった。

 確かにメルは幼い頃からシルフと仲が良かった。

 彼女だけではない、水の精霊ウンディーネ彼女もまたメルにとっては身近な存在だった。

 しかし、そう考えるとドリアードやフラニスも同様だ。


「でも……精霊と仲がいいのは私達にとって……」

「僕、よくドリアードとフラニスの二人に遊んでもらったよ?」


 エスイルの発言に一同は少年へと目を向ける。


「メルも良く言ってたろ? シルフとウンディーネが遊んでくれるって」

「……う、うん」


 それは今よりも幼い頃の記憶だ。

 家族はたくさんいた。

 しかし、遊ぶと言ったらシュレムやエスイルは勿論だったが、精霊達もまたいつも遊んでくれる友人だった。

 彼女の前に良く姿を見せてくれたの彼女達の姿を思い出すと……。


「うん、シルフにウンディーネ……それにドリアードが良く遊んでくれたよ」


 と口にしてメルは首を傾げるのだった。


「あ……あれ? ドリアード? でもエスイルちゃんも確か……」

「エスイルもだったよな? と言う事はもし仲が良い精霊に力をっていうならドリアードはどっちなんだ?」


 疑問を浮かべるシュレム。

 しかし、彼女の言う通りでもあり、メルとエスイルは眉をひそめ困ってしまった。

 どっちがドリアードに力を上げることが出来るのか? それが分からない。


「でも、その前に……」


 だが、メルはゆっくりと首を横に振ると……。


「その前に、今回みたいに強い相手じゃない限り精霊の力はあまり頼らない方が良いかもしれないよ」

「何でだ? 調べたいって言ったのはメルじゃないか!」


 メルの発言にそう喰いかかったのはシュレムだ。

 確かにそうであり、メル自身を含めた一同は首を縦に振る。


「もしもの時の為に使えた方が良いとは思う……だけど、今回は良かったけど、下手したら被害が広がるし……アリア達にどんな影響があるか分からない」


 確かに強くなって助けてはくれた。

 でも、この子達が安全とは限らないよ……。


 今のところは元気な様子ではある。

 しかし、どんな影響があるかが分からない以上、安易に使うべきではない。

 そう考えたメルはアリアをそっと抱き寄せた。


「確かに……そうね、それにもし、アーティファクトを得る事で他の森族(フォーレ)も同じことが出来るとしたら面倒ね……」

「どういう事だ?」


 リアスはライノへと質問をし、メルも興味があるのだろう彼の方へと目を向ける。


「以前戦った二人の騎士、覚えてるわよね? まるで魔族(ヒューマ)だけが人と言いたげだったわ」

「…………」


 彼らの事は覚えている。

 港で戦い、その時にシレーヌの力を始めて使ったのだから……。


「もし、もしも森族(フォーレ)だけが人と言い張る国があったら? 彼らにとっては精霊は大切な友で力の源でもあるでしょう?」

「……へ?」


 彼の言葉の意味が分からず首を傾げるメル。

 今まで友と思った事はあっても力の源と思った事は無かったからだ。


「つまり、ライノは種族間でなにかが起きるって思ってるのか?」

「いいえ、もう起きてるんでしょうね……平和なメルンじゃなく別の場所で……でも、その火の粉はメルンにも飛び始めた……だからあの騎士達が来たのよ」


 彼は険しい顔でそう口にし、メルは慌てて机から立ち上がる。


「そんな! じゃぁ大昔みたいな戦争が起きるって事ですか!?」

「……そう、なっている可能性もあるわ…………でも、戦争自体はそう珍しい事じゃないのよ? メルンが無いだけで小さなものはそこらじゅうで起きてるわ」


 メルは生まれてから一度も戦争と言う物を目にした事は無い。

 体験したこともだ……だからこそ、それが実際に行われているのでは? と勘繰るライノの言葉は遠い世界の物に聞こえていた。


「そんな……」


 しかも、それに精霊達の力が使われる? それはあってはならない事だ。

 そう考え、椅子へと力なく腰掛けると――。


「あ、あくまで予想よ? だからこそ、その力は隠しておいた方が良いかもしれないわね」


 続く彼の言葉にメルは頷いた。

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