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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
13章 精霊達とメル
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278話 船

 メル達は町の住人達から感謝をされた。

 そのおかげもあり、船を無事借りる約束ができた。

 しかし、船は壊れており……船の手配はできそうもない……。

 そう思う一向に町長は告げる……船もとへと向かうと……。

 メル達が案内された場所は整備されていない港だった。

 長年放置されていたのだろう、足場は腐り崩れており、その為船には縄梯子を上って乗り降りする様だ。


「こ、ここは?」

「昔の港だよ……あっちの方が高い場所に会って綺麗に出来てるからね、移動したんだ」


 見れば家の残骸らしきものもちらほらと見え、メルはその様子から災害に見舞われたのだと悟った。

 しかし、そこにある船は真新しく、間違いなく新品である事は分かり……。


「これ、良いんですか?」

「ああ、勿論だ。だけど、船を動かせる者は居るのかい?」


 予想しなかったその言葉にメル達は瞳を追きくし互いに顔を合わせる。


「船を動かせる人って……乗せて行ってくれるんじゃないのか?」


 リアスは町長に尋ねるも、彼女は……。


「ルーフまで行くとなると長旅だ。それに行って帰って来る時はどうするんだ? 船が無いだろう?」

「いや、向こうの港を使えば良いんじゃないか?」


 珍しくシュレムもまともな意見を口にしたのだが……確かに長旅となると漁師の力を借りる事は難しいのだろう。

 これから復興していかなければらないというのに人手が少なくなるのも悪手だ。


「でも……」


 頭では理解していても船を動かすには技術がいる。

 ライノへと目を向けたメルだったが……。


「無理よ、私は薬師よ?」


 あっさりと首を横に振られてしまった。

 さっきの言葉からリアスも船を動かすことはできないだろう。

 そして、メル達三人も同様だ。


「ど、どうしよう」


 話からすると船はくれるという事だろう……しかし、肝心の操縦士が居ない。

 困り果てていたメル達……すると――。


「操縦だけじゃない、航海士は居るのか?」


 と言う声が聞こえ、メル達はがっくりと項垂れた。

 そして、新たな声の主の方へと目を向けると……。


「お前達は……」


 シュレムは驚いたような声を上げ、メルもまた彼らを見て表情を変える。


「……誰だっけ?」


 しかし、続く言葉にメルを含めたその場に居る者達はがっくりと転びそうになった。


「馬鹿なのかお前は!!」

「シュレム! 船に乗っていた人だよ! ほら喧嘩した!!」


 そう、そこに居たのは二人の男性。

 彼らは――。


「お前のやったことは許せないが、このままじゃ戻れやしないからな。操舵なら手伝ってやるよ」

「運良く、流れ着いたのも時の運です。海の様子でしたら私がなんとか読み取れますよ」


 と口にした。

 彼らの言葉にその表情を明るくしたメルは喜び。


「ありがとうございます!」


 と礼を告げるのだった。






 その日の夜。


「とにかくあの船と二人のお蔭でルーフにはたどり着けそうだな」


 リアスはほっとした様にそう口にした。

 残る問題は食料だったが、そちらの方は町長がどうにかしてくれるとの事だ。

 後は明日、メル達が出港するだけ……しかし――。


「気になるのはそのエルフの事ね?」


 ライノは話を切り出すとメルは真剣な表情で頷く……。

 残る心配はあのエルフとオプスと名乗る精霊の龍。

 何故あそこまで人間を敵視するのかが理解できない上……。


「何でもう一人のエルフは……」


 メルはそう口にしつつリアスの方へと目を向ける。

 母の言っていた通り、エルフは二人いるのは間違いない。

 だが、その二人は母が見た時は一緒に居たはずだ。

 そして、魔力を託しユーリはメルのもう一人の母フィーナを救った……。


「なのに急に攻撃的になったのか? 良く分からねぇな」


 シュレムは首を横に振りつつ頭を乱暴にかき乱す。

 彼女の言う通り良く分からないのだ。


「うん……それに飛龍船にもエルフは関わってる……今まで助けてくれてたのになんで……」


 メルは考えるがエルフの考えに対し疑問ばかり産まれるだけで……。


「ぅぅ……多分精霊が減ったことが関係あると思うけど、それ以上は分からないよ……」

「うん、僕も分からない」


 エスイルと共にがっくりと項垂れるメル、そんな彼女に対し年長者であるライノは――。


「考える事は大切よ? でも、今は休みましょう? 明日はまた船旅なんだから」


 そう言われ一同は頷くと椅子から立ち上がる。


「そうだね、このまま話してても何も変わらないと思うし今日はもう寝よう……」


 メルは困った様な笑みを浮かべつつライノの案に乗るのだった。





 その夜……メルはやはりすぐには眠りにつく事は無く……。


「………………」


 瞳を窓へと向け、エルフの事を考えていた。

 すると――いつの間にか窓の外に美しい女性が立っており、メルはお化けだと思い声無き悲鳴を上げる。

 心臓も張り裂けそうなぐらい、バクバクとなり始めた。

 そんな時……。


『話があります……どうかこちらに』


 女性は不思議な位優しい声でメルを呼ぶ――。


 まさか、エルフ……?


 メルは一つの可能性を信じゆっくりとベッドから抜け出すと急いで支度をし外へと向かう。


『メル?』

『どうしたの?』


 不思議がったシレーヌとアリアはメルについて来たが、メルは彼女達を止める事無く歩き続けると……。


「エルフに呼ばれた……」


 とだけ口にする。

 だが、たどり着いたその場所には誰の姿もないのだった……。

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