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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
13章 精霊達とメル
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277話 港町の英雄?

 メル達が困惑する中、聞こえた声はエルフのものだった。

 しかし、そのエルフはリアスたちと出会ったエルフではないようだ……。 

 彼女はメル達に手を出さずに去っていったようだが、一体何を考えているのだろうか?

 老婆はメル達を見つめるとすぐに龍の姿のシレーヌへと目を向ける。

 まずい……そう思ったメル達だったが、最早遅く……。


「あ、あのこの子は……!」


 襲ってきた龍ではない。

 そう伝えようとしたメルだったが、老人は首を縦に振り笑みを浮かべた。

 突然の事に呆然とするメル。

 一体どうしたというのだろうか?


「全部見ていたよ……遠くからでも良く……」

「……え?」


 全部見てた?

 た、確かにシレーヌたちは大きい、というか大きくなってたけど……。


 遠目から見たら龍達がただ、仲違いをしているだけに見えたはずだ。

 そう思ったメルは口をパクパクとさせる。

 当然、リアス達も同じ考えだったのだろう……口を開きながら驚いていると……。


「この度は我が町の危機を救っていただき……ありがとうございます、冒険者様」


 老人は頭を下げる。


「……へ? あ……いえ、私達は別に大したことは……」

「龍を追い払っていただいたんだ。街の長として礼をしたい……」

「れ、礼?」


 リアスが驚く中、自分達は結局、龍を倒せた訳ではなくただのエルフの気まぐれで去って行っただけだ。

 そう口から出かかったメルはなんとか言葉を飲み込んだ。

 もし、口にしてしまえば目の前の人達はエルフが人に刃を向けたと怯えるだろう。

 何せ相手は世界を作ったとされる神。

 そんな者に対抗するなど、普通なら考え付かないだろう。


 メル達さえもこれからどうすれば良いのかが分からないのだから……。


「あ、あの! 偶々いただけですし、お礼は……」


 メルはそう言いつつ、シレーヌに元の姿に戻る様に小さな声で告げる。


「いえ、そうはいきません。これで漁にも行けるからね……」


 だが、町長は一向に引く気配を見せず。

 メルはあはは……と乾いた笑い声を上げる。


「なら、船を出してほしい……ルーフに行きたいんだ」


 するとリアスは困るメルの前へと身体を引きずりながら出て、町長と告げる。


「ルーフへ? ええ、構いませんよ」

「本当!? お婆ちゃん、ありがとう」


 エスイルは老婆の言葉に感謝を告げ喜ぶと、老婆はしわくちゃな顔にさらに皺を寄せ笑みを見せた。


「ったく……もう終わってたから良い物の危なかったんだぞ!」


 しかし、シュレムは一人怒っているようで老婆にそう強い口調で告げると老婆は申し訳なさそうに――。


「ごめんよ……ただ、あの龍が去って行くのは見えたからね」


 と笑うのだった。


「さて、船……だったね」


 そう言う町長の視線の先には荒れた港がある。


「あ……」


 それを目にしメル達はがっくりと項垂れた。

 そんな中、メルとエスイルは聞きなれた声を聞き、そちらの方へと目を向ける。


「ライノさん……」


 そう、何時までも戻って来ないシュレムを心配し、ライノまでこちらへと駆けつけてくれたようだ。


「おお、あの人も仲間か……」


 老人は落ち込むメル達の気持ちを知らないからだろうか? うんうんと頷き……。


「船ならちゃんと用意しよう」


 と約束をしてくれるのだが……。

 メルとリアスはそれに対し、申し訳なさそうな表情を浮かべた。


「それが……その……」


 そして、言おうかどうか迷っているメル。

 対しリアスは――。


「俺達は急がないといけないんだ……だから、言った手前だけど、この様子じゃ……」


 無理だ。

 そこまでは口に出さずともリアスの言いたい事は老人には伝わったようだ。


「分っている、港の船はもう使えないだろう……」


 漁に行ける……そう喜んでいた町長だったが、ならばなぜ喜んだのか? 疑問に思う一行の元にようやくライノが合流し……。


「そろったか、さぁ、行こうか」

「い、行くってどこにかしら?」


 息を切らしながら今来たばかりのライノは当然話について行けず首を傾げる。

 すると町長は皺だらけの顔で笑みを浮かべると……。


「船の所だ」


 と告げるのだった。


「船!? おい! 港にはひとつもないのに船があるのか!?」


 シュレムは当然驚くが町長はただ頷き――答える。


「ああ、随分と前にいくつか船が駄目になってね、新しく取り寄せたのさ……それがまだ港から離れた場所に置いてある」

「港からって……普通港に置いて行くんじゃ?」


 エスイルは当然の疑問を投げかけたが、町長は少年の方へと笑顔を向けると――。


「賢い坊やだね、そうだよ……だけどその時丁度漁から戻った時でね、漁師たちの邪魔になるからってこっちにおいてもらったんだ」


 と言いながら歩き始めた。


 船がある! その事だけでもありがたいのに町長はその新しい船に乗せてくれるというのだ。

 メル達は互いに顔を合わせ笑みを浮かべる。


「だけど、大きさは客船よりも小さいよ、君達ぐらいならギリギリ乗れる程度だ」

「そ、それでも大丈夫です! ありがとうございます!」


 メルは喜び礼を告げると町長は……。


「こっちの方が礼を言いたいんだ、気にしないでくれ」


 と笑うのだった。

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