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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
13章 精霊達とメル
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276話 闇の精霊

 ドラゴンと戦いにようやく活路を見出したメル。

 しかし、ドラゴンにはあるはずの逆鱗が存在しなかった。

 困惑する彼女をよそにドラゴンは自らが精霊であることを告げるのだった。

 気絶させるだけ……そうは言われはしたが龍の息吹をまともに受ければただでは済まないだろう。

 メルはその身を縮こませ、龍から目を背けるとリアスを守る様に覆いかぶさった。


「メル!?」


 当然だ、今リアスは動くことが出来ないのだから……当たり所が悪ければ死んでしまう、そう考えたメルは無意識のうちに彼を庇い。

 アクアリムへと精霊力を通わせていた。


 駄目、もう……リアスを……。


『――ッ!?』

「『メルお姉ちゃん(メルッ!!)!!』」


 ――傷つけさせない!!


 その強い想いが引き金となったのか? それともほかに理由があるのかは分からなかった。

 しかし、再び顕現した水の龍(シレーヌ)はメル達とドラゴンの間へと割り込むと――!


『させません!!』


 同様に息吹を放つ――!!

 だが、いくら力を得たと言っても元をたどればメルの力。

 ドラゴン相手では分が悪く……息吹は押し返されていく――。


「シレーヌ!! もう、もう良いよ!!」


 このままではシレーヌが傷ついてしまうのではないか? メルは不安に駆られ叫ぶ。

 しかし、水の精霊はそこから逃げる事を一切せず――やがて息吹はその身体にあたる……寸前の所――。


『グゥゥ!? な、に……!?』


 オプスの息吹は根元から固まり、戸惑っている様だ。

 メル自身驚いたが、現状そんな事を出来るのは二人しかいない。

 しかも、その二人が揃っていなければ出来ない事……メルは彼らに目を向け――。


「エスイル?」

「ぼ、僕だって――僕だって戦えるんだ!! だから――グラネージュ!! メルお姉ちゃん達を――」

『分かってる! だからやってるでしょ!?』


 幼くとも勇ましい少年は白い宝石を握り絞め、叫ぶ――。

 そして、彼から力を得た氷の精霊は冷気を纏い……その姿をそのまま大きくしていく……。


『グラネージュ……ウンディーネ! 貴様等も人につくのか?』


 氷をかみ砕いたオプスは彼女達を睨み――。


『精霊を統べる王たる俺に歯向かうのか?』

「精霊の……王?」


 メルはその言葉を繰り返す……意味が分からなかったのだ。

 精霊の王と言えばエルフではないのか? 何故彼が王なのか? そして、今まさに起きている精霊たちの変化は何なのか?

 何も分からず――理解が追い付かなかった。


『歯向かうも何も私は貴方を知りません、それに先にメルを傷つけたのはそちらです』


 だが、唯一分かった事はウンディーネは……シレーヌはオプスと言う精霊に対し、怒りを覚えていたって事だ。


『愚かな……』


 その場に響いた声……それはとても美しい声だった。

 女性の物だろう声は何処から聞こえたのか、メル達は辺りを見回すと……。


『こちらです、精霊と魔の申し子よ……』


 声は龍の方から聞こえ、メルは彼女の姿を見て呆然とする。

 そこに居たのは……。


「エ、エルフ……?」


 そう、龍の頭に腰を掛けていたのはエルフ。

 この世界を作ったとされる神と言っても過言ではない彼女を前にメルは固まった。

 それは氷狼(グラヴォール)の言葉だけが理由ではなく……そのエルフが恐ろしく見えたのだ。


「な、何でエルフが!? この剣を託したのはどういう意味だ!?」


 リアスはナウラメギルを杖にし、よろよろと立ちあがり叫ぶ、しかしその声は小さなもので――エルフに届くか分からない物だった。

 だが――。


『なぜ人間がそれを……?』


 エルフはリアスに託した事など忘れたかのように……いや、最初から知らなかったようにエルフは彼へと目を向ける。

 リアスが持つ剣が特別ならエルフが忘れる事が無いだろう……メルはそう思っていた。

 どういう理由だろうか? メルはそれを考える間もなく気が付いた。


 エルフは確か二人組だったはず……ユーリママが会った事あるって話は何度も聞いた。

 フィーナママを助けた話だったから……その時は二人組のエルフって言ってたんだ! じゃぁ……。


「もう一人のエルフは何処!?」


 メルがそう叫ぶとエルフは彼女へと目を向け……。


『…………なるほど、あれが授けたという訳ですか……良いでしょう、何をしようがもう終わりですが……もう少しだけ様子を見る事にしましょう』


 エルフはオプスの頭を抱でると微笑み……。


『さぁ、行きましょう……』

『分かった、従おう……』


 龍はメル達から目を離すと海の中へと消えていく……何故突然去って行くのかとメル達が呆然としていると……。


『足掻きたいなら自由にしなさい、運命は変わりません……』


 エルフはそんな言葉を残し……去って行くのだった。


「た、助かった……の……?」


 エスイルは気を張っていた所為か、それとも精霊力を使った所為か分からなかったがその場に座り込む。


「……分からない、何を考えているんだ」


 リアスはそう言いながらも再び地に膝をつきメルは慌てて彼が倒れないように支えると自身も身体から力が抜けていくのが分かった。


「……っ」


 精霊力と魔力を使い過ぎたんだ。


 メルはそう考えつつもエルフ達の去った海を見つめ――。


 リアスの言う通り、エルフは……一体なにを考えてるの? 全く分からないよ……それにあれってもう一人のエルフの事?

 じゃぁ、二人のエルフはそれぞれ考えが違う? もう……どうなって……。


 その場に座り込むメル達。

 そんな彼女達の元へ聞こえてきた声があった。


「おい! 爺さん危ないって!!」


 それはシュレムの声で……彼女は誰かを追っている様だ。

 脅威が去ったとは限らないその場に誰かが戻ってくる。

 メルは慌てて声のする方へと目を向けると……お婆さんがメル達の元へと駆け寄ってくるのが見えた。

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