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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
13章 精霊達とメル
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274話 ドラゴンとの闘い

 ルーフへと向けて出発したい。

 その気持ちを抑え、メル達はドラゴンが去るのを待っていた。

 身を挺しリアスを守ろうとしたメル。

 しかし、それは誰から見ても無謀そのもの。

 彼女の行動は意味の無い物と思われた。

 いや、事実意味の無い物だった。


『ったくもう! 見てられない!!』


 もう駄目だ。

 メルがそう感じた時に聞こえたその声はアリアの物でもシレーヌの物でもなかった。

 だからと言って一度も聞いたことの無い声ではない。

 そう、その声の主は――。


「グラネージュ!! メルお姉ちゃん達を守って!!」


 グラネージュ……氷の精霊は震えながらも逃げる事もせず、エスイルの声に首を縦に振る。

 そして、エスイルはその手に持つ白い宝石に精霊力を注ぎ込む……。

 すると――。


『……に、逃げれる隙ぐらいなら!!』


 そう叫んだグラネージュは解き放たれた龍の息吹を一瞬のうちに凍らせる。

 何が起きたのか、メルは理解が追い付かなかった。

 いくら氷の精霊だと言ってもここまで迅速に水を凍らせるなんて事は出来ないだろう。

 ましてや、氷の魔法を生みだした母ユーリだって同じだ。

 だが、メルの知る手段で唯一それを可能とするものがあった。


 アーティファクトの力?


 そう、それは魔法の道具でありながら、何故か精霊の力を増幅する物。

 エルフが作ったとされるアクアリムと同じ白い宝石。


 なら……もしかして……。


 メルは疑問を感じつつ、グラネージュへと目を向ける。

 そこにはやはり姿の変わった精霊が居り、彼女は怖いのだろう涙目でありながらも瞳を釣り上げ、龍を睨む。


 やっぱり、変化にはアーティファクトが関係してる。

 ウンディーネはアクアリム、シルフは首飾り……そしてグラネージュは白い宝石。

 だけど、一体なんでそんな事が起きてるの?


『ほ、ほら! ぼさっとしてない!』


 グラネージュにそう急かされたメルは慌ててリアスを引っ張り、その場から移動をする。

 確かに彼女達精霊の変化は疑問だ。


 だけど、今はそれ所じゃなかった!!

 皆を守らないと……このドラゴンから!!


 リアスを何とか少し後ろへと移動させたメルは再びアクアリムを構えると魔力を通わせる。

 シレーヌに力を与えられないのならば仕方ない。

 例え精霊の力を借りれずとも、絶対に守りきる……そう考えた矢先だった……。


『メル! メル!! なんだか元気が出てきました!!』


 誰かを守りたい、その強い意志が引き金になったのだろうか? それは分からなかったが、シレーヌは嬉しそうにメルの周りを飛び回ると……。


『今なら何でもできそうです!』

「分かったお願い力を貸してシレーヌ!!」


 メルは頷き、再びアクアリムを握り締める。

 今、彼女の中にある思いは純粋に仲間を街の人を守らなければいけないという強い想い。

 これなら、きっと精霊は力を貸してくれる。

 いや、事実力を与えられているそう確信したメルはアクアリムを掲げると――。


『任せてください!!』


 シレーヌは海へと飛び込んだ。


「メル! 下がれ!!」


 彼女によって庇われたリアスは地へと座り込みながらもそう叫ぶが、メルは退く気などなかった。

 それどころか……。


「ぼ、僕たちも行くよ! グラネージュ!!」

『……わ、分かってるよ!!』


 半場やけになった精霊を従えたエスイルまで彼の前へと立ちメルと横に並んだ。


「エスイル!? 何をしてるんだ……早く……」

「リアス、大丈夫だよ……」


 メルはリアスの方へと振り返ると笑みを浮かべる。

 そして、それと同時に龍は息吹を彼女達に向かって解き放つ……が、それはグラネージュの冷気によってすぐに固まっていき。

 それでも続けて息吹を吐こうとする龍は海から出てきた新たな龍……いや、海その物が龍の姿を形どったシレーヌに拘束され、空へと息吹を放つ。

 拘束された龍は怒り狂い、海水の龍へと喰らいつく。

 しかし、シレーヌは水の龍だ……その実態は存在してはいても物理的な攻撃では何の効果もない。

 そう、メルは考えていたのだが……。


『ぅぅ……』


 呻き声が聞こえ、彼女の考えが違った事に気が付くと慌ててシレーヌへと声を飛ばす。


「っ! もう良いよ!!」


 どんな理由であれ、シレーヌが傷つくのが嫌だと感じたのだ。

 だが、シレーヌは拘束を緩める事はせず……。


『駄目です! メル……早く倒す手を考えてください!!』


 このままそこに繋ぎ止めて置く気だとメルはその言葉で確信をした。


「おい……あれじゃ、水の精霊はシレーヌは大丈夫なのか!?」


 それは精霊の声が聞こえないリアスにも無理をしていると分かるほどだ。

 どうにかしなければ……そう考えた彼女はリアスの持つナウラメギルへと目を向ける。


 これでフラニスを同じように出来るかも? ……ううん、駄目! 出来てもフラニスの力は借りれない!

 グラネージュやシレーヌが大怪我しちゃう!!

 なら…………どうやって動きを……。


 メルは考える中、ハッとし龍たちの方へと目を向ける。

 シレーヌへと喰らいつく龍は水にぬれ光っていた……。

 もし、それを凍らせることが出来たのなら……?


「エスイル! グラネージュにお願いしてあの龍を凍らせて!! お願い、シレーヌが戻った時……すぐに!!」


 そう叫び――頷いた弟と氷の精霊の事を信じ、メルは再びアクアリムを掲げ、目を閉じると願う――。


 お願い……シレーヌ! 戻って来て!!


 すると、シレーヌだった水の龍は形を崩していき――。


『あ、あれ? おかしいです……力が――』


 その言葉が紡がれる事無く海水は形を失い崩れて行った。


「エスイル!! グラネージュ!!」


 メルはシレーヌがその場に浮かんでいる姿を確認するとエスイル達の名を叫び――。


『メル! ごめんなさい!!』


 慌ててメルの元へと駆けつけ謝罪する水の精霊を抱えるようにすると、その場にしゃがみ込むのだった。

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