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271話 新たな力

 知らず知らずの内に精霊力を使っていたのではないか?

 メルはそう考え、もう一度アクアリムに力を注ぐ……。

 しかし、特別おかしな変化はなかった……そう思われたのだが、メルは魔力があまり減っていない事に気付く。

 だが、シレーヌに変化はない、諦めて眠る事にしたメルだったが……。

 彼女の寝た後に変化は起き……精霊グラネージュはそれを目にするのだった。

 翌日、メルが起きると精霊シレーヌは彼女の前に浮かび頭を下げる。


『メル! おはようございます』

「おはようシレーヌ……体調は?」


 メルは彼女の事を心配するが、それに対しシレーヌは申し訳なさそうな表情を浮かべると。


『もう大丈夫ですよ! なんか昨日の夜に目が覚めたら少し良くなってました。人間が寝ると良くなるって言うのはこういう事だったんですね?』

「そ、そうだね?」


 メルはそう答えたが、どう考えてもシレーヌの回復は異常だった。


 やっぱり、私が精霊力を使えたって事?


「メル……!」


 そう思っていると声を掛けられ、彼女は振り返る。

 心配そうなリアスの顔を見て、メルは――。


「どうしたの!? まさかドラゴンが……!?」


 街に攻撃をし始めたのだろうか? そんな不安を覚えた彼女だったが、リアスの心配はそこではなかったようで首を横に振る。

 彼は先程までメルが見つめていた場所へと目を向けると……。


「その……シレーヌ……? だったか? 彼女は大丈夫なのか?」

「え? あ……」


 リアスが友を心配してくれた事に嬉しさを感じつつ、メルは笑みを浮かべると「うん!」と答える。

 するとほっとしたような表情を浮かべたリアスをシレーヌは興味ありげに見つめ……。


『メル? リアスさんは何を言ってたんですか?』


 と尋ねられたメルは――。


「シレーヌの体調は大丈夫か? って聞いてくれたんだよ」


 そう伝えるとシレーヌはリアスの方へと向かい彼の周りを飛び回りつつ、じーっと見つめる。

 そして……。


『流石はメルの恋人ですね。優しいです!』

「…………え?」


 何故か予想もしなかった事を言われ、メルは思わず固まってしまう。

 しかし、シレーヌは首を傾げ……。


『メルの恋人だから精霊に優しいなって思ったんですが……違うのですか? 仲がいいみたいですが……』

「ちょ……えっとそうじゃなくて……」


 メルは思わず顔から火が出そうになる位熱くなるのを感じつつ、手をばたばたとさせ……。


「ど、どうしたメル? 何か嬉しい事でもあったのか?」


 リアスはメルの後ろ……つまり彼女の尻尾を指差し――。

 それがトドメとなったのだろう、メルは自身の尻尾を押さえながら……。


「リ、リアスもシレーヌも知らないから!!」


 と大きな声を上げそっぽを向いてしまうのだった。


『「メル!?」』


 なぜ突然起こり始めたのか当然分からない二人は慌てて彼女をなだめようとするのだが、メルは頬を膨らませるだけ……。

 だが、その心の中では……。


 もう、恥ずかしい事言ってきて……でも、元気になったのは本当みたい。

 だとしたら、同じようにすればグラネージュにも力をあげれる?

 試してみる価値はあるかもしれない!


 そう考える。

 そして、食事を済ませた後、一度試そう……そう誓うのだった。



 食事を済ませたメルは昨日の夜の事を仲間達へと伝える。


「つまり、どういう事だ?」


 シュレムが首を傾げるが、彼女だけではなく仲間達全員が首を傾げていた。

 それもそうだろう……メルでさえ首を傾げる事なのだ。

 願いつつ魔力を籠めたら、魔力を使ったつもりが精霊力を使っていた。

 なんて事を誰が信じるだろうか?

 だが、そうでなければ説明がつかない程シレーヌの回復は早い。


「だから、多分……私は私の知らない所でなにかをしてるんだと思う……うーんと説明が難しいよ……」


 今まであるとは思わなかった力。

 それが使えただけでも奇跡だ……メルはそう感じつつ、エスイルへと目を向ける。


 何故、最初から精霊力を使えるエスイルでは駄目なのか?

 それが気がかりなのだ。


「メルお姉ちゃん?」


 そして、その少年は気持ち悪いと言われた事が未だにショックなのだろうか? シレーヌとメルの様子を窺うようにしていた。


「と、とにかく、もう一回試してみよう?」


 とメルは告げ外へと出る事を提案する。


「……そうだな、依頼を受けたいとも思うけど、精霊の力を引き出せるなら早い所その方法を知りたい」


 リアスは首を一回縦に振り、笑みを浮かべるとそう口にした。

 彼のその言葉に感謝しつつ、メルはライノ、シュレム、そしてエスイルへと目を向ける。

 彼らも反論はないのだろう、首を縦に振り、メル達は再び外へと出かけるのだった。









 昨日と同じ場所、そこでメルはアクアリムを握り願う。


 お願いシレーヌ……少しだけ力を貸して!!


 そして、徐々に魔力を注いでいくと……。


『メル! メル! なんだか元気が出てきました!!』


 水の精霊はメルの服の中かから顔を出したままそう口にし……。


「シレーヌ! お願い、何かをして!!」

『何か? ってなんですか?』


 メルの無茶な願いに対し可愛らしく首を傾げた精霊。

 彼女に対しメルは――。


「えっと例えば目の前に水柱を――」


 と言いかけるとシレーヌはコクコクと頷きメル達の目の前に水柱を生み出す。


「み、水柱!?」


 その現象に驚きの声を上げるリアス。


「流石はオレの嫁だな」


 いつ戻りの言葉とうんうんと頷くシュレム。

 ライノとエスイルは声を出さず驚いていた。


「…………」


 お願いをしたメル自身もぽかんと口を開けてそれを見ていたが、慌てて首を横に振ると――。


「ありがとうシレーヌ! もう、大丈夫だよ?」

『はい!』


 礼を告げるとシレーヌは頷き水柱の勢いは徐々にだが弱まっていった。


 うーん、やっぱり昨日と同じだと思うんだけど、何が違うのかな?


 メルは力を引き出せてあげた事よりも何が違うのかが気になり、首を傾げる。

 しかし、これでいざという時に一か八かで力に頼るなんて事はしなくてもよさそうだと考え……。


「じゃぁ、次はグラネージュの力を……」


 と氷の精霊へと目を向けるのだった。

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