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268話 魔力を使い果たす

 ドラゴンが去るまでの間。

 それまでに精霊の力とその代償を確認したい。

 メルの願いは仲間達に伝わり、早速練習をするのだが……。

 上手くはいかず、精霊力が必要では? と考えた。

 しかし、メルにはその地からの使い方が分からない……ライノは魔力を限界まで使ったらどうか? と言うが、果たして上手く行くのだろうか?

 メルは言われた通り魔力を限界までアクアリムへと注ごうとする。

 しかし、頭に過ぎるのは嘗て魔力を使い過ぎて倒れてしまった事……。

 それだけではなく、ほんの数日前に魔力を無理やり奪われた事だった。


「――っ!?」


 もう少しで魔力が無くなる。

 そう感じた所でメルは無意識のうちに魔力を込めるのをやめてしまった。


「……あ…………」


 気を失うまでとは言わずとも魔力を消費してしまったメルは膝を崩す……。

 だが、倒れる前にリアスに支えられ……。


「大丈夫か!? って……魔力を使ったんだ……そんな訳」


 と彼女を気遣い、その視線はライノの方へと向く……。


「ご、ごめんなさい、いくらなんでも魔力を全部と言うのは無茶だったわね」

「い、いえ……そんな事」


 死ぬわけではない。

 そうメルは理解していた。

 しかし、それでも怖い物は怖かったのだ。


「……」


 だが、そのお陰もあってか確認することが出来た事があった。

 アクアリムとシレーヌには変化は見られず。

 必要なのが魔力ではない事だ。

 それならばとメルは――。


「エスイル……お願い」

「ぼ、僕!?」


 メルは少年にアクアリムを差し出すと深く頷いた。

 魔力ではない。

 と言う事は別の力が必要だという事だ。


 魔力じゃ無いなら精霊力以外には考えられないし、私はどうやって使ったのかを覚えていない。

 なら、最初からそれが使えるエスイルに頼んだ方が無難……だよね?


 メルの考えを察したのかエスイルはその表情を硬くしながらもメルの持つアクアリムへと手を添える。

 そして、瞼をゆっくりと閉じたのだが……。


『ぴぃ!?』


 それはシレーヌの悲鳴で二人はびっくりし、彼女の方へと振り向いた。


「どうしたんだよ!?」

「シ、シレーヌが……」


 そこに居たのは自分の身体を抱くようにして震える精霊だ。

 彼女はメルの元へと急いで飛んでくると……。


『メル!? メルゥ!? ぞわわ、ぞわわわわ! ってしました!? 嫌です何か嫌です!!』


 シレーヌは涙目になりながらそう訴えるのだ。

 一体なにが起きたのだろうか? 疑問を感じつつもメルは何かの変化があった事を確信し、エスイルへと目を向け頷く。

 そして、再びアクアリムをエスイルに差し出そうとしたのだが……シレーヌが嫌だと言っている事が気になり……。


「どう、嫌なの?」

『と、とにかく嫌です! なんかこう……ぞわわって気持ち悪いのが……っ!!』


 ぞわわ? うーん……良く分からないけど……魔力と同じで精霊力にも人それぞれの違いはあるはず。

 なら、エスイルの精霊力がシレーヌには合わないって事?


 メルは一人結論を出している中。


「ぅぅ……なんかボク悪い事しちゃったかな……」


 がっくりと項垂れるエスイルに気が付きメルは慌てて首を振る。


「ち、違うよ! きっと精霊力に違いがあってシレーヌには合わないんだと思う」


 今考えた事を伝えるとエスイルは顔を持ち上げてほっとしかけたのだが……。


『ぅぅ……ぅぅぅ……と、とにかくエスイル()うぞぞってして気持ち悪いです! 嫌です!』


 シレーヌはメルに飛びつき服の中に隠れるとそう叫び声をあげ、それは森族(フォーレ)の血を引くエスイルには当然聞こえており、再びがっくりと項垂れるのだった。







「それで、何か分かった事はあるのか?」


 街へと戻る中、リアスにそう問われメルは難しい顔をする。


「その様子じゃなにも無さそうね?」


 ライノの言葉には頷き苦笑いを浮かべる。

 そんなメルの様子を見て、眉を寄せながら口を開いたシュレムは……。


「良く分からないけどさ、メルなら何とかなるんじゃないか?」


 と言ってくれたが、メル自身はそうは思わなかった。

 何故なら今回ばかりは専門外だ。

 今まで精霊力と言う物が自分にあるとは思わなかったのだから。

 ましてや、使った事さえない、以前に使えた時の事を思い出してもどうやってもシレーヌに力を与える事は出来なかった。

 何がきっかけで出来るのだろうか?

 それともあの時は偶々出来たのだろうか?

 何故あの時だけ出来たのか?

 そんな疑問が彼女の頭の中をぐるぐると回る。


 ただ、分かったのは精霊力にも違いがあるって事……もし、そうじゃないなら以前の時に何かしら感じてるはずだし、その時の事をシレーヌが言わないで今回だけ言ったなんて思えない。

 その証拠にエスイルはって言ってた。


 シレーヌ本人には決して悪気はないのだろう、しかしその言葉で傷ついてしまった様子の弟へとメルは目を向けた。

 メルとエスイル何が違うのだろうか?

 幼い頃から魔法を扱えたメル、一方生命の精霊という特別な者達との意思疎通が出来ていたエスイル。

 二人の違いは? それは精霊力に関係があるのだろうか?

 そして、精霊達に力を与えられるのはメルだけなのだろうか……?


「よく……わからないよ……」


 メルは小さな声でそう呟くと空を見上げるのだった。

 そこには大きな青空が広がっていた……。

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