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266話 新たな名

 方法があるかもしれない。

 そう口にしたメルだったが、一人で無茶をする気はなかった。

 しかし、内容自体は無茶であり……。

 仲間達はそれを否定する。

 果たして方法は別にあるのだろうか?

 その日の夜、メルは眠れぬ夜を過ごしていた。

 何時までドラゴンはこの近くに居るのだろうか?

 そして、精霊たちの変化は何なのか……その力を引き出す方法は……。

 何より、此処で時間を取られることで精霊達は更に数を減らすことになる事……。


 やっぱり……どうにかして港を出たいよ。


 そう考えたメルは仲間達へと目を向ける。


 だが、どうしても一人でなにかをするという事は思い浮かばなかったのだ。

 何故なら……。


 ここで、一人でなにかをするのは簡単。

 だけど、それをしたらもう……私はリアス達に信じられなくなってしまうかもしれない。

 今までだってずっと、心配させてきたんだ。

 私は決して強くない、人よりも少しだけ……運が良かっただけ、家族に冒険者いっぱいいて修行をする機会があった。

 だからこそ、私は勘違いをした。

 自分は強いって……何でも出来るって! だから捕まったりリアスを死なせかけたりした。

 私には仲間が必要……でも、それは――。


 新たな悩みを抱える事になっていた。

 一人でなら自由に動ける。

 だが、仲間が居る事でそれは無理なのだ。

 しかし……それを窮屈とは思わなかった……何故ならメルもまた自分と言う仲間が居る事でリアス達が行動を制限されている事を分かっていたからだ。


「…………」

『メル……』


 心配そうに声を発しながらアクアリムに寄り添う精霊ウンディーネ。

 彼女へと目を向けたメルは微笑み……。


「大丈夫だよ、一人で行くなんて事は絶対にしない……」


 自身の考えを告げる。

 リアスの言う通り、今回ばかりは無謀すぎる……ドラゴン相手に力を試すというのは得策ではない事は十分に分かっていた。

 だが……。


「でも、それでも……ウンディーネ達の力を調べておきたいの、だからそれは皆に伝えるよ」


 だって、そうしないと……ウンディーネ達に何が起きてるのか、身体に問題はないのか……分からないもんね。


「ねぇ、ウンディーネ……その身体に……」


 メルはそう言いかけて口を閉ざした。

 ウンディーネの名を呼ぶと反応したのは変化した一人だけではなく他のウンディーネ達もメルの元へと集まってきたのだ。


「あ、えっと……」


 そっか、皆ウンディーネだから……。

 反応しちゃうんだ……ど、どうしよう?


 メルは少し困ると思いつつ、頬に指を当て尻尾を揺らす。


「そうだ! ねぇこれから貴女はシレーヌ!」

『シレーヌ……?』


 その言葉に反応したのは変化したウンディーネ。

 彼女の反応に満足しつつメルは大きく頷いた。


 他の子達が反応しちゃうならこの子だけの名前を付ければいいんだ!


 そう考えたメルだったが、シレーヌと呼ばれたウンディーネは暫く大きな瞳をぱちぱちとさせ……。


「え、えっと嫌?」


 メルはもしかして嫌だったのではないか? と不安になった。

 しかし、それは杞憂だった様でウンディーネ……いや、シレーヌはすぐに笑顔になるとメルの胸元へと飛び込んだ。


『いいえ! 嬉しいです! ところでシルフは何て呼ぶんですか?』


 シレーヌは興味津々な様子でメルへと問い、メルは少し考えるそぶりを見せる。


「えっと……」


 何か良い名はないだろうか? そう考えた彼女は……。


「アリア……かな?」

『可愛らしい名前ですね! シルフにぴったりです!』


 シレーヌは笑みを浮かべまたも嬉しそうにする。

 そんな彼女を見てメルもまた笑顔を浮かべたのだが……。


 って和んでる場合じゃないよ!?


「その、それでシレーヌ……その身体になってからなにか、変な事は起きてない?」


 見ただけでは特に問題はなさそうだ。

 しかし、本当は……なんて事もあるかもしれない。

 メルはその事を疑い聞いたのだが、シレーヌは首を横に振り……。


『いいえ、特に問題は起きていませんよ』


 その言葉にメルはほっとした。

 何故なら精霊は嘘をつかない……問題は起きていないという事ならば今は大丈夫と言う事に間違いないだろう。

 だが、今後どんなことが起きるかは分からない。

 その事を頭に入れつつ……。


「じゃぁ明日皆に言って力を試してみよう? ドラゴンとは戦わないにしても必要だと思うから」

『はい!』


 シレーヌは笑みを浮かべ頷き……メルもまた笑みを浮かべる。

 先程思い浮かべていた不安は消えてはいない。

 眠れぬ夜はまだまだ長そうだ。

 しかし、それでもメルは布団を頭からかぶると瞳を閉じ――。


「おやすみ、シレーヌ」


 新たな名を得た精霊に寝る事を告げる。


『おやすみなさい! メル』


 名前を呼ばれ嬉しそうな水の精霊(シレーヌ)は大人しい口調の中、どこか元気がありメルは少し不安が取り除かれた気がした。


 後は、明日試してみるだけ……そう言えばそれよりもシルフ……アリアは大丈夫なのかな?

 カルロスさんに師匠の事を聞きに行った後戻って来ないけど……。


 いつもであればもうすでに戻って来ても良い頃だ。

 それなのにいまだ戻らない風の精霊に不安を抱えるのだった。

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