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260話 眠れぬ夜

 氷の宝石を加工してもらう事にしたメル達。

 だが、信頼できる人物は近くに居ない。

 そして、そうゆっくりしていられる時間も多くはない。

 その為カルロスに師の事を尋ねる事にしつつ、これからの方針を話し合うのだった。

 シルフへと伝言を頼んだ一行はその日は休むことにし、翌日港へと向かう事にした。

 美味しい食事を済ませ、部屋で眠っていた彼女達……。

 そんな中、メルはベッドの上に座り込み氷狼に言われた事を思い出す。


「…………」


 エルフを信用するな……って言われたけど、本当にこの世界を終わらせるつもりなのかな?


 気になっているのはずっとそこだった。

 確かに人間は踏み込んではいけない場所に踏み込んでしまったのかもしれない。

 しかし、それでもエルフの作った世界に生きる人々はエルフの子に等しいのではないだろうか?

 そう思うのだが……。


 でも、過去に人間とエルフ達は戦争をしてる。


 次に思い出したのは昔話、鬼族(オーク)は勿論、森族(フォーレ)がまだ魔物と呼ばれていた時代の事だ。

 嘗てこの世界に存在する人間と呼ばれる種族は魔族(ヒューマ)一種だった。

 だが、そんな彼らに自分の庭を守らせようと考えたエルフは交渉役として森族を作った。

 しかし、人間はそれを捕まえ利用していたのだ。

 それに対し怒りを覚えたエルフは鬼族を作り、森族を救出……戦争になった。

 その戦争がどう終焉したのかは分からないが、エルフ側には魔族(ヒューマ)を良く思わない所があるだろう。


 だから何をされても分かる……。


 相手は神といってもいい。

 だというのにそれに逆らった魔族達は今もなおこの世界に生きている。

 もしそれがお情けでそうなっているのなら?

 エルフは元々、許してはおらず魔族達を滅ぼす時を待っていたというのなら?


 氷狼の言ってた事は納得できる。

 でも……。


 メルは一人宝石を握り絞め、仲間達を見回す。

 そこには眠っている仲間がおり……純血の魔族はリアスだけだ。

 そんな彼の寝顔を見つつメルは――。


 でも……それでもリアスやユーリママみたいな人は居てエルフは力をくれた。

 なら、何を考えているのか……分からないよ……。


 エルフの考える事だ人には理解できない。

 そう片付けるには事態が大きすぎる……そう思うメルは必死に考えていたのだが……。


「眠れないのか?」

「ひゃう!?」


 突然聞こえた声にメルは心臓が飛び跳ね変な声を上げてしまう。


「リリリリ!?」


 リアスに声をかけられたメルは焦りつつも小さな声で彼の名を呼ぼうとするも心臓の鼓動が早くなり上手く名前を呼べずにいた。

 すると、彼はベッドから抜け出し、メルの横に座ると……。


「エルフの事か?」


 彼女が何を考えていたのだろうか? と問い始めた。

 メルはそんな彼の質問に対し少し深呼吸をすると…………。


「……うん」


 と一言で肯定した。


「俺も信じられない、だけど……だからこそ本当の事を知るべきなんじゃないか?」


 リアスの言葉は最もであり、メルも理解はできる。


「ここで悩むよりも、当初の目的を果たそう……それが一番早い」

「そうだね……」


 当初の目的、それは精霊を救うというものだ。

 それは変わることの無い目的でもある……メルは素直に頷くとリアスはにっこりと微笑み彼女の頭へと手を乗せる。

 自慢の髪を触られることをあまり好かないメルではあったが、彼は別だった。

 その暖かい手の感触に目を細めると思わず欠伸が出てしまい……ハッとしつつ口元を塞ぐ、リアスはそれを見て少し笑うと……。


「色々あって疲れてるんだ。しっかり休んだ方が良い」


 そう言い、自身のベッドへと戻っていく……。

 メルはそんな彼を目で追うと……。


「おやすみ……」


 今度こそ寝る為にベッドの中へと潜り込むのだった。






 翌朝……。


「本当にもう行くの?」


 メル達は出発の準備をし終わり酒場の方へと顔を出していた。

 ブランシュは名残惜しそうに彼女達を見送りに出てくれ、メルはその事に感謝しつつ――。


「うん、行ってきます!」


 そう答えると仲間達と共に酒場を後にする。

 そして、リアス達が通ってきたという洞窟へと向かうのだが……。


「あ! でもどうするんだ!? 途中道が壊れてるんじゃないか?」


 シュレムがその事を思い出し叫ぶような声を上げた。

 するとリアスも思い出したのだろう……。


「そうだったあの魔物にやられたんだ……」

「困ったわね……」


 悩む三人に顔を見合わせ首を傾げるメルとエスイル……そしてウンディーネ。

 何故三人はそんな事で悩んでいるのだろうか? と頭に過ぎったメルは――。


「道が無いなら、空を飛べば大丈夫、だと思うけど……」


 もしかして空中も危ないのか? と考えつつそう口にすると三人はハッとし……。


「そうだった、今はメルが居るんだ」


 ほっとした様にリアスがそう口にしたことでライノとシュレム頷き始め歩き出す。


「……ん?」


 メルは再びエスイルと顔を合わせ首を傾げると……意味は分からないまでも彼らの後を追いかける。

 一体どうしたというのだろうか? と少し考えたメルだったが……やがて……。


 あ、そうか……リアスもシュレムも魔法が使えないから飛べないんだ。

 だから、どうしたら良いのか悩んでたんだね……。


 こっちに来る時には自信が居なかった事を思い出し、メルは一人納得をするとうんうんと頷き……。


「メルお姉ちゃん?」


 今だ納得していないエスイルにこっそりと伝えると少年は笑みを浮かべた。


「何してるんだ?」


 そんな事をしていると随分と先に言った仲間達に呼ばれ、メルとエスイルは焦りつつも追いかけるのだった。

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