252話 合流
屋敷が燃え、逃げる手段はない。
だが、そんな時少女は目を覚ます。
取り戻した魔力を糧に魔法を使い仲間を助けた彼女はその仲間に連れられ街へと戻るのだった。
街へと戻る道中メルはその武器について詳しく話を聞いていた。
「そ、それで……それはエルフからもらったって事だよね?」
その言葉に頷くリアスを見てメルは大きな瞳を更に大きくし驚いていた。
母達は会った事があるとは言ってはいたが、メルは出会ったことが無い精霊……それがエルフだ。
彼女達は世界を作った神とも呼ばれており、森族や鬼族は信仰している。
それは一部の魔族にも浸透しており、それがメルの母ユーリや祖母ナタリアの事でもあった。
メル自身、エルフが世界を作ったという話は信じており、是非会ってみたいと思っていたのだが、機会が無く会うことは敵わなかった。
それなのに……。
「メル?」
リアス達が先に出会った、そう聞きまだ近くに居るのだろうか? などと考えた彼女はゆっくりと首を振る。
「どうしたんだ!?」
それを見て慌てたシュレムがメルへと問うが、メルは笑みを浮かべ……。
「何でもないよ? ただ、もうエルフはこの辺りには居ないだろうなって……」
そう呟いて、リアスがエルフから受け取ったという剣を見つめた。
羨ましいと思う反面、彼は精霊を助けようとしてくれている魔族の少年だ、会えて当然……そう考えながらも彼女は歩く……。
二本の足でしっかりと歩く彼女はふとある事に気が付いた。
「ど、どうしたの?」
仲間達は何故かメルの様子をうかがうようにしているのだ。
確かに先ほどまで倒れてはいた。
しかし、今は身体のどこにも問題はない……。
その事は伝えてはいたはずだが、心配そうな視線は変わることが無かった。
「ね、リアス?」
「あ、ああ……やっぱり心配でさ」
そう言う彼からは嘘を言っている様には聞こえず。
嬉しさ反面、情けなさも感じ……。
「ごめんね、その……迷惑かけて……」
メルは謝る。
すると、三人はそろって首を振り……。
「メルが倒れたんだぞ!? 心配しない訳がないだろ!!」
「恩人を気遣うのは当然よ? 迷惑だなんて思ってないわ」
「寧ろ心配しなかったら、おかしいだろ」
仲間達の温かい言葉に感謝しつつ、メルは恥ずかしくなってしまったのか顔を下へと向けた。
その時だ……。
『仲がいい事だ』
「――――っ!?」
何かが聞こえ、メルは慌てた様に後ろを振り返る。
「な、なに?」
そして、呟くが……そこにはなにも居ない。
「どうした、メル……も、もしかしてまだ体が変なのか!? オレが背負っていってやるぞ?」
「そ、そうじゃなくて……」
メルは確かに聞こえた声に困惑する。
なんで、あんなにはっきり聞こえたのに……皆には聞こえてないの?
疑問を感じつつも辺りにはなにも居ない事を確認した彼女は首を傾げた。
「メル行こう」
「う、うん……」
彼女はリアスに促され歩いて行くのだが……やはり、気になってしまうのは声の事だ。
一体、なんだったんだろう……? 怖い、感じはしなかった。
でも不思議となんか優しそうだった?
「どうしたんだ?」
シュレムはメルの様子に気が付いたのか、立ち止まる。
しかし、メルは彼女の問いに対し首を小さく横に振り……。
「何でもないよ、ただ……うん、疲れてるのかも?」
メルがそう言った直後……。
『疲れではない、我が声に耳を傾けろ知識ある者の子よ……』
「っ!?」
再び聞こえた声にメルは辺りを見回す。
だが、やはり声の主の姿は見えず……。
『我を探すなら、山へと来い……かつて我が父が汝の母と戦った場所へと……』
だ、だれ? それに山に来いって……一体……まさかっ!?
メルは一瞬考えるが、すぐにある事に気が付いた。
母達が雪国で戦った魔物と言えば氷狼だ……。
だけど、父? 私は氷狼に子供が居るなんて聞いた事が無い。
それにユーリママの話からも一匹の綺麗な狼が居たって聞いたぐらいだし……。
幼い頃に聞いた知恵比べの魔物の話を思い出し、メルは立ち止まった。
しかし……考えても仕方がない、そう思った彼女は――。
「ねぇ皆……お願いがあるの」
「どうしたのメルちゃん?」
立ち止まった仲間達に向け少女は願う……。
「氷狼が居たって言う場所に行きたい……だから街に戻ったら情報を集めよう?」
どうやって氷狼の子供が声を送ってきたのかは分からない。
しかし、それでも会わなくてはならないそんな気がし、メルは仲間達に伝えたのだ。
彼女の願いを聞き顔を合わせた三人は溜息をつくと……。
「駄目って言ったら勝手に一人で行くつもりじゃないよな?」
「へ!?」
そんなつもりはなかったし、考え付きもしなかった。
しかし、もしそうなっていたら確かに一人で行きそうだなと自分でも思ったメルは苦笑いを浮かべる。
すると笑みを浮かべたシュレムは……。
「オレには聞かなくても良いぞ? 答えなんて決まってるんだからな!!」
頼もしい姉の言葉にホッとしたメルは二人の仲間へと目を向けるとどこか諦めた様な表情の二人の男性は……。
「俺も同じだ……メルを一人で行かせる訳にはいかない」
「そうね、仲間なんだし……それに何か理由があるのでしょう?」
「ありがとう! リアス、ライノさん!!」
メルはその顔に笑みを浮かべ、礼を告げた。
果たして彼女に語りかけたモノの正体は本当に氷狼の子供なのだろうか?
それはまだ分からない事だった……。




