248話 メルを助ける為に……。
メルは助け出された事を理解していた。
だが、動けなかった……。
疑問に思いつつ困惑する彼女は悪夢の中へと落ちる。
永遠と襲われ、風と水に守られる悪夢。
早く覚めて……そう思いながらも悪夢の中に捕らわれ続けるのだった。
一方リアス達は彼女の異変に気が付いた。
しかし、その原因は彼らには分からない……唯一怪しいと言えばそれしかないのだが?
「どうにかしてくれ!! ライノの旦那!!」
シュレムは叫ぶ。
しかし、ライノは首を振った……どうにも出来ないのだ。
それもそのはず……。
「医者じゃないのよ!? アタシ一人でどうにか出来る問題じゃないわ……」
それ対してはリアスも理解していた。
だが、目の前のメルを見ると……。
「だけど、何か分かる事は無いか? シュレムの様にどうにかしろとは言わない……せめて何か……」
この場で病気などに詳しいのはライノだ。
しかし、それはあくまで薬師としての知識……。
「分かってるわ……でも……」
ライノはメルを自身が診れる範囲で確かめるが……彼女が苦しむ原因は分からない。
最後に下された結論は……。
「何かあるとしたら……魔力ね、それを無理やり抜かれた事、それ位しか思いつかないわ」
「じゃぁ戻せば良いだろ!!」
シュレムの声が辺りに木霊する。
しかし、リアスもライノも首を縦には振らなかった。
その理由は単純な物だった。
「どうやって戻すんだ?」
「そ、それは……」
魔力は自然に回復する物。
つまり、外的要因で取り出された今が珍しいのだ。
そんな話を聞いた事も見た事も今回が初めてなのだから……。
どうすれば良いのか分からない。
そう感じていたところ……シュレムは何かを思いついたように一つのナイフを取り出した。
「シュレムちゃん?」
「これ! これを使えば戻せるんじゃないか!?」
それはあの男が持っていたナイフ。
魔力を取り出すマジックアイテムだ。
「それは魔力を取り出すための道具でしょ!?」
ライノはそう返すがリアスは少し考えた後……。
「いや、待てよ……出来るかもしれない」
と口にする。
「本当か!?」
彼の言葉に表情を明るくしたシュレム。
しかし、ライノは訝し気な表情でリアスを見た。
「考えてみてくれ、それが取り出すだけなら、あいつはどうやってそれから魔力を外に出したんだ? 何か方法があるはずだ! 魔力を出す方法が、それが分かればメルに戻せるかもしれない!!」
「そ、そうね、確かに……言われてみればそうだわ」
シュレムはリアスの話を聞くと頷き早速とナイフを手にメルへと近づく。
しかし、それをリアスは止めた。
「何だよ?」
「マジックアイテム、使ったことあるのか?」
彼女にそうとうと……。
「あるに決まってるだろ! 大丈夫だ問題ない」
「失敗すればメルの魔力を更に吸う事になるんだぞ!?」
自信満々の彼女に対し、リアスはそう口にした。
すると、シュレムはたじろぎ……つつ……。
「オレは……オレは!! メルを助けてやらなきゃらないんだ!! 大事な……家族なんだからな」
その言葉はいつもよりも真剣な物であり、リアスは彼女から手をはなすと……。
「なら、頼む、分かってると思うがメルは俺達にとっても大事な仲間だ」
そう告げ、彼女に任せる事にした。
リアスもメルを助けたいと思う物のマジックアイテムを使い魔力を戻すと言う方法はどうやってやるのかが分からない。
つまり、シュレムがやってもリアスがやっても大差はないのだ。
だが、他に方法が無い……そう思っていたのだが……。
「ま、待って!」
それを止めたのはライノだった。
「なんだよ!! ライノの旦那!!」
苛立った声を上げ、シュレムはライノを睨む。
するとライノはナイフを持つシュレムの腕に手を乗せ……。
「考えてみて? アタシ達はそのマジックアイテムが魔力を抜いたり出したりする道具だと考えているわ」
「そうだよ! だからメルを助けるんだ!!」
彼の言葉に噛みつくシュレム……しかし、リアスは黙って話の続きを待つ。
「だけど、もし違う道具があったら? 例えば魔力を分け与える物とか」
「違う道具? 考えられなくもないが……ナイフが奪った魔力はナイフにこもるんじゃないのか? なら、ナイフ自体にも魔力を戻す力はあるはずだ」
そう帰って来た返答にライノは口を閉ざし、考える。
そして……。
「そうよね……確かにそうなんだけど……」
「ああ! もうじれったいな!! とにかく魔力を戻す!! そう考えて使えば!!」
痺れを切らしたシュレムは叫び、ライノの手を振り払うとメルへと向けナイフを向けた。
魔力を込められた魔法の道具は光を帯び……それを目にしリアスは何か嫌な予感を感じた。
「シュレム……!! 止せ!!」
「はぁ!?」
何故だかは分からない。
しかし、それ以上続けてはいけないと感じたのだ。
「お前まで何を言ってるんだよ!! さっきはやれって言ったろ!!」
「そうだけど止せ、早く!!」
焦る様子のリアスに舌打ちをしたシュレムはナイフの切っ先を地面へと向ける。
すると……向けた先、そこにあった木が枯れ果てていき……雪が落ち、リアス達は慌ててメルを庇う。
「なんだよ……オレは魔力を出そうとしたんだぞ!?」
その現象に一行は驚くのだった。




