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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
11章 雪国の大陸フロム
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247話 悪夢

 男は戦いなどあまりしたことが無かったのだろう。

 リアスが相手では手も足も出なかった。

 無事メルを救出できたのだが、彼女に異変が起きていた。

 アクアリムを手に取った少女は男へとその凶刃を向け……。

 リアスに何度か名前を呼ばれ……ようやく彼の名を呟いたかと思うと倒れてしまうのだった。

「……リ……ア……ス……?」


 彼の名を呼んだメルはうめき声と共に倒れた。

 そして、暫くすると身体が揺られ運ばれているのを感じながらも彼女は目を開けれないでいた。


 …………一体、何が起こってるの?



 憶えている事はいくつかある。

 氷狼の事を聞き、ここまで来た……しかし罠にかかり捕まった。

 そして、ナイフを突きつけられ魔力が失われた。

 同時に何か大切な物も消えていく感覚に陥った事も覚えていた。

 しかし、リアス達がいつ来て、自分がいつ助けられたのか……。

 そう言った事は一切覚えていないのだ。


 身体が……重い……眠く……。


 そして、彼女はそんな不調を感じながら誰かの背に身を預けるのだった……。









「んぅ……」


 彼女が目を覚ました場所は綺麗な森だった。

 だが、周りには誰も居らず、彼女は首を傾げると……。

 一人女性がこちらへとやってくる。

 誰だろうか? メルは疑問を胸に彼女を注意深く見てみる。


「…………」


 初めて見る顔だ。

 だが、とても美しい女性。

 彼女はにっこりと微笑む、メルもつられて笑みを浮かべるのだが……。


「ひっ!?」


 彼女の笑みはどんどんと不気味な物へと変わっていき、同時に美しかった森は枯れ果てていく……。

 それだけではない、いつの間にかメルは知りもしない男女に囲まれていた。


「あ……あぁ?」


 何が起きているのだろうか? そんな疑問を感じる前に恐怖を感じ、その場に腰を降ろしてしまったメルは一つの事に気が付いた。

 そう、そこにいる者達は――。


「全員……森族(フォーレ)?」


 メルはそう呟くとはメルへ向け一歩一歩と近づいて来る。


「な、なに!?」


 逃げようと思っていても囲まれているのでは意味がない。

 どうしたら良いのか? そう迷っていると……。


「憎い……あの男が憎い……」

「せ……寄越せ……その身体……」


 その言葉を聞き、メルは何となくだが、事情を察した。

 この森族達はきっと……。


「…………」


 自分を襲ったあの男の犠牲者なのだろう……メルに行った非道な実験。

 あれと同じような事をされた森族たちだと考えたのだ……。

 つまりは……。


「ゆ……ゆゆゆゆ!?」


 幽霊、怨念。

 物語にしか出てこないはずのそれだと理解し、メルは狼狽しなお恐怖に駆られる。

 だが、相手はそんなメルの事を考えてくれるはずもなく……。


『『寄越せ!!』』


 その声が揃った時、人の形を失いメルの中へと入り込もうとして来る。


「ひっ!?」


 同時に彼女は自身の感情がぐちゃぐちゃになっていくのを感じるのだった。

 このまま自分は自分じゃなくなってしまうのだろうか?

 メルはそんな恐怖を感じた……だが……。


 ……だ……。


 自分が自分でなくなってしまったら……母達とはもう会えないだろう……。


 や………………だ…………。


 旅を続けることが出来ないだろう。


 い…………や……だ……。


 そして、もうリアスとは一緒に居れないのではないか?

 そう思うと少女は強く願った……。


 嫌だ!!


 ただ一言、しかし強い想いが秘められたそれを思い浮かべた瞬間。

 風がメルの周りに吹き荒れ、入りかけていたそれは外へとはじき出される。

 だが、相手も諦めるつもりはないのだろう……。

 再びメル目掛け、飢えた手を伸ばし――。


 来ないで!!


 彼女が拒絶の言葉を思い浮かべると今度は水の壁が行く手を阻む。

 どういう理屈なのかは分からなかった。

 しかし、唯一分かった事がある……どういう訳か精霊はメルを守ろうとしてくれているのだろう……。

 その証拠に彼女を守るのは風と水。

 姿が変わった精霊が司るそれだった……。


 しかし――。


『寄越せぇぇぇぇぇ!!』


 頭を抱え身を縮こませメルは……何時までも悪夢にうなされているのだった。

 お願いだから、早く覚めて……そう願いながらも……。

 メルは襲われ、その度にシルフとウンディーネに救われる。







 一体、何時になったら……ここから出られるの……?


 一生このままなのだろうか? 不安に駆られながらも、メルは……耐え続けていた。









 一方リアス達はメルを連れ屋敷を後にし街に向かっていた。

 目を覚まさない彼女が心配ではあるが、今は安全な場所へと運ぶことが重要だ。

 彼らは街の酒場に戻る為、歩き始め…………部屋を出ようとしたのだ。

 リアスやライノは未だにメルが苦しんでいる事には気が付かなかった。

 しかし、やはり心配だったのだろうシュレムはメルの顔を覗き込み……。


「おい待て! メルの様子がなんかおかしいぞ!!」


 メルの様子がおかしい事に気が付き、そう告げる。

 リアスはシュレムの声を聞き、メルをゆっくりと雪の上に座らせ、様子を窺うと……。


「確かに、苦しんでるな? メル? メル!!」

「どうしたのかしら? 魔力以外は何も問題はないはずよ!?」


 一行はメルの名を呼び……心配するも……。

 本人からは返事すらない。

 どういう事か? 疑問に思いつつもこのままではいけないと彼らは何か方法はないかと模索するのだった。

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