245話 リアスとライノ
メルを助ける為に屋敷へと入ったリアス達。
だが、大柄な男に行く手を阻まれてしまう。
しかし、シュレムの機転によりリアス達は先へと進む事が出来た。
果たしてメルは無事なのか?
彼らは彼女を助ける事が出来るのだろうか?
シュレムがリアス達を追いかけ始めた頃……。
彼らは重々しい扉の前に立っていた。
「ここだけ、何か違うわね……」
「ああ……」
この先に何かある事は間違いないだろう扉の前で二人は一言交わすと、扉へと手をかけ……開いて行く……。
その先に見えたのは……何かの施設だろうがリアスには理解が及ばない物だった。
「錬金術……か、なにかかしら? でも、それにしては薬瓶とかもあるわね?」
しかし、ライノは部屋を見るなりそう口にし……辺りを見回す。
そして、最後に首を傾げ……。
「ライノ、どうしたんだ?」
「何でもないわ……私が良く使う道具があるんだけど、それに必要な別の道具や材料が見当たらないだけよ……」
彼はそう言うと、奥の方にも部屋がある事を見つけ……そこを指差した。
「あっちにも部屋があるわ」
「メルはそこか? 行こう!」
二人は音を立てない様に注意をしながら歩き、扉へと近づく……そしてリアスは聞き耳を立てた。
「クククク……ハハハハハハ!! 素晴らしい! 素晴らしいぞ!!」
すると聞こえてくるのは笑い声……一体なにが素晴らしいのか? そんな事を考える暇もなくリアスはもう一人の声に気が付いた。
いや、声と言っていいのだろうか? 時折聞こえる呻き声と言った方が正しいのだろう、彼は彼女の声を聞くなり、眉をひそめ怒りをその顔に浮かべると扉を蹴破り――。
「リ、リアスちゃん!?」
部屋の中へと飛び込んだ。
それに気が付いた男は振り返ると興味無さげな瞳をリアスへと向け……。
「何だお前は?」
不思議な色の水が入っている瓶へとその瞳を向けた。
「…………」
だが、リアスも彼よりも気になる事がある……彼女を探すように視線を動かす必要はなかった。
すぐに少女を見つけると……。
「メルに何をした?」
怒鳴る訳でもない、焦る訳でもない。
ただ、怒っているのは誰にでも分かるだろう声で男に問う、すると男は溜息をつく。
「何、ただ研究の手伝いをしてもらっていただけだ」
うっすらと笑みを浮かべつつそう答える。
それを見聞きし……。
「研究? 幼い女の子を机の上に拘束してする研究なんてあるのかしら? ただの変態ね……」
男の解にライノはそう返し、メガネの位置を直すとその表情に憤りを見せる。
「テメェ……人の仲間傷つけておいてへらへらしてるんじゃねーぞ!?」
「…………何を言う! これは大事な研究だ! 魔族や魔物から魔力を取り出し、結晶化させる……そして、高品質な魔法の道具を生み出す! お前達のような愚民には分からんだろうが、今よりも優れた……そう、アーティファクトの様な道具を作り出せるのだぞ!?」
男は恍惚とした表情でそう言うと瓶を突き出し……叫ぶ。
「魔力を取り出すだと!?」
聞いた事もない事を聞きリアスは繰り返す、すると男は満足そうに頷き……。
「そうだ、通常魔族は魔力が完全に無くなってしまうと死に至る、だが……コレは違う」
男はメルへとナイフを向けその表情を歪める。
「魔力を抜き取っても死ぬ事は無く! 精霊力が魔力へと変換される! コレが居ればアーティファクトさえ作り出せるのだ!!」
「どういうことだ!? 魔力が無くなったら気絶するだけだろう!!」
リアスはそう叫びメルの元へと駆け寄る隙を図りつつ言葉を続ける。
「それにメルは物じゃない! 返してもらうぞ!!」
そう叫ぶと……男は大声で笑い始め。
「やはりお前達には分からんのか!? アーティファクトを作れるのだぞ!?」
「そんなもの大昔の人が作ったマジックアイテムに過ぎないだろうが! 欲しければ探せばいいんじゃぁないか!? メルちゃんをとっとと離せよ!」
ライノもまた叫び、睨みつける。
しかし、男は表情をこわばらせ……。
「お前達愚民はアーティファクトが作られた過程を知らん! あれは本物のアーティファクトを元に作られた人の命を犠牲にして作られた道具だ! だからこそ、現在のマジックアイテムよりも強力で素晴らしい! それを作るには大量の魔力が無ければ意味がない! それも同じ魔力だ、魔力と言うのは人によって微妙に違うものだ……その点コレが優れているという事が何故わからない!」
男は大きく息を吸うと……。
「コレは俺が求めていた材料そのものだ!! 素晴らしいマジックアイテム……いや、アーティファクトを作る為のな!!」
材料……その言葉を聞きリアスはアクアリムをライノへと渡し、ナウラメギルを構え、男目掛け走る。
すると、ライノもまたメルの元へと走り……。
「やれやれ……何も理解できないただの馬鹿はこれだから意味がない……」
男はナイフをリアスへと向けると……笑みを浮かべ……。
「邪魔をするならば死んでもらうぞ? その魔力を根こそぎ吸い取って……な……」
だが、その構え方は何処をどう見ても素人そのものであり、リアスにとっては何ら脅威には感じなかった。
しかし、相手の持っているその短剣には何らかの力がある事は話を聞いている限り間違いない。
リアスは願う様に剣に魔力を伝わせ……。
「出た!!」
リアスの持つ剣ナウラメギルはその刃に炎を纏わせた……。




