表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
11章 雪国の大陸フロム
254/486

244話 シュレム

 メルを助けに屋敷の中へと入ったリアス達。

 だが、大柄な男に行く手を遮られてしまう。

 しかし、このままではメルが危ない。

 そう考えたシュレムは仲間を先に行かせ男と対峙するのだった。

「……小娘……何を考えている? お前一人で俺に適うとでも思っているのか?」


 男はシュレムを前でその大きな体を余すことなく見せつける。

 常人であればその押しつぶされそうな体躯と威圧感に押しつぶされてしまうだろう。


「無駄だ、お前が何をしようと……ここで倒れ、俺はあのガキ達を追う……それが分からないのか?」


 しかし、彼女にはそんな事は関係なかった。

 例え相手が自分よりも大きかろうとどうでもいいのだ。

 それどころかシュレムは構えを解き、首を傾げると……。


「意味分からないな? ここでお前をぶん殴って気絶させりゃ良い事だろ?」


 彼女はそう口にするなり再び構えをとる……。

 そして、その表情を怒りを含んだ物へと変え――。


「ごちゃごちゃしてるのは嫌いなんだよ……早く行かないとあいつがメルを助けちまう……」

「俺に勝った気でいるのか……」


 男はシュレムの態度を見て気に入らない様子だったが、彼女にはそんな事は関係ない。

 床を蹴り、拳を振るうと……男はそれを受け止め――。


「ガキはガキか……自分の実力を分からないとはな」

「そりゃお前だろ? さっきはそのガキ一人に簡単に拳を受け止められるんだから……なぁ!!」


 シュレムは空いている拳で男を殴り飛ばす。

 それに反応が出来なかった男は彼女の拳を腹に受け思わず手をはなしてしまい。


「くっ!?」

「はっ!! 思った通りだ!! 武器なんか必要なかったな!!」


 シュレムは勝ち誇り、その場を後にしようとした。

 しかし……。


「へ!?」


 隙を見せた彼女は腕を掴まれしまい。

 振り返った先には当然大男が居る、彼は力の限りシュレムを投げ飛ばし――。


「がっ!?」


 彼女は壁へと叩きつけられ、更にはその身体へと拳をまともに受けた。

 逃げ場のない彼女は壁を突き破り、部屋の中へと入るとゴロゴロと転がっていき……。


「ゲホッ!? が……っ!?」


 起き上がろうとするのだが、頭を踏まれそれは敵わなかった。


「ガキが良い気になるな……」


 男は先程とは違った声色でシュレムへとそう告げるとじわりじわりと足に力を込めているのだろう……。


「――っ!!?」


 彼女は痛みに声を上げそうになるが、それを堪える。


「ほう……叫んでいいんだぞ?」


 だが、叫ぶわけにはいかない。

 もし、痛みに声を上げれば……リアス達は戻ってきてしまうだろう。

 そうなればメルを助けるのが遅れるかもしれない……そう感じた彼女は……。


「オレを……舐め、るな……よ?」


 不敵な笑みを浮かべ、男へと告げた。


「………………」

「漢ってのはな……どんな時も、好きな女を守る為に……身体を張るんだよ……」


 彼女はそう語り始め――。


「何を言っている? お前はガキだが女だろう?」

「性別は……なぁ……関係ないんだよ……! ”師匠”が、そう言ったんだ……!!」


 両腕に力を籠め、身体を起こそうともがくシュレム。

 だが、体格の差がある……そう簡単に退かすことなどできはしない。

 ……それは誰の目から見ても分かるだろう……しかし、シュレムはもがく事をやめず……自身を踏んでいる足下で踏まれている位置を徐々にずらす。

 そして……体の向きを変え、ようやくその足を掴むと……。


「師匠は……弱虫だ……だけど、逃げた事は無い……なら、師匠より強いオレが諦めたり、逃げたりする訳には……」


 力の限りそれを持ち上げ……。


「いかねぇだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「なに!?」


 ついに退かすと、そのまま男の体勢を崩す。

 だが、男は倒れる事無く、再び彼女を踏みつけようと足を繰り出し……シュレムはそれを転がり避けると床に手の平を付き腕の力で体を起こす……そして、渾身の力を籠め床を蹴り……。


「だから、お前は邪魔だぁぁぁぁぁぁあああああ!!」


 飛び上がると拳ではなく、(イカズチ)の様な蹴りを繰り出した。

 拳よりも早く鋭いそれを男は咄嗟に避ける事は出来ず、顔にもろに受けてしまい、一瞬の隙が出来る……シュレムはそれを見逃すことなく……再び蹴りを……男に繰り出した。


「――――っ!?」


 腹を抱えてはいるが未だに立っている男に舌打ちをした彼女は休むことなく顎の下を狙いその小さな拳を天井へと向け振り抜く……流れるような攻撃を受け、ついに大男は床に背を付けた。


「…………へ、へへ……おいおっさん! 切り札は最後までとって置かないとな……」


 動かない事を確認したシュレムはそう呟くとよろよろとしつつもリアス達を追いかけるために部屋の外へと出ると、階段を降り……。


「メル……待ってろよ……すぐにオレが助けてやる……」


 立ち止まって彼女はそう呟くなり、拳と手のひらを合わせると……大きな息を一つ吐き、真剣な表情を浮かべ足を速める。

 果たしてリアス達はもうすでにメルの所へと言っているのだろうか?

 そして、メルは無事なのだろうか?


「ぐだぐだ考えてる暇なんてないだろ!! ごちゃごちゃ考えるより行動だ行動!!」


 彼女はぶんぶんと頭を振ると妹であり、最愛の人でもある少女を助けるべく急ぐ……。


「メル……」


 彼女が無事であることを祈りながら……。

 急いだ先には当然リアス達の姿は無く、暗闇が広がっていた。


「…………」


 無言のままランタンに火をくべた彼女は道が分かれていない事にホッとしつつ……前へと進む。


「なんだか様子が変だな?」


 上の階とは全く違うその景色に彼女は首を傾げつつ、気持ち悪さと嫌な予感を感じ……。


「やっぱり走るか!!」


 急いだ方が良い! そう本能に急かされ回廊を走るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ