238話 洞窟の魔物
炎の剣ナウラメギル。
それを手に入れたリアス達はそのまま、上へと向かう。
剣を持っていれば出会わないという訳ではなく不運にも例の魔物には出会ってしまい。
戦う事を余儀なくされてしまうのだが……?
魔物を前にリアスは新たに手にした武器ナウラメギルを構える。
魔法を使った事が無い彼ではあったが、それはあくまで自身で魔法を唱えたことが無いという事だ。
こういった道具は何度かは使った事があった。
だからこそ、彼はどう使えばいいのかはすぐに理解し……。
「おおお! スゲェ!!」
シュレムが思わずそう口にしたが、リアスの手にある刃は焔を纏いそれはゆらゆらと揺れる。
だというのにリアスはその表情を変える事無く、魔物を睨む。
『ヴォ……』
彼らが自身の苦手とするものを持っている事に魔物は気づき、一歩後ろへと下がった。
それをリアスは見逃すはずもなく……。
「やっぱり、見た事も聞いた事もない魔物でもこっちの奴は火が苦手か……」
「そうね、下に降りてこなかったことからも間違いないわ……」
轟々と音を立ても得る炎の剣を涼しい顔で振るい、構え直したリアスは魔物へと向かい走り始める。
そして、その刃を振り抜くと――。
『ヴォォォォ!!』
魔物はそれを防ぐのではなく避ける。
そして、リアスの背後へと回ると拳を振り抜いた。
しかし……。
「させるかよ!!」
いつの間にか間に入ったシュレムはリアスへと迫っているその拳を蹴り上げ――。
「――っ!? のぉぉおおお!!」
痛みに顔を歪めつつも咆哮を上げると、見事その拳はリアスから狙いを外す。
『ヴォ!?』
魔物は自身の攻撃を逸らされた事に驚き、今度はシュレムへと狙いを向ける。
だが、シュレムは盾を持っている時とはまるで違う身のこなしでそれを避けると今度は向けられた拳を地面へと叩きつけるように蹴る。
「シュ、シュレムちゃん?」
「へっ!! こっちはな……武器が無い時にも戦えるように師匠に直伝の技も教え込まれてるんだよ!!」
得意げにそう叫ぶ少女の意外な才能に二人は驚きつつも、再び地面が割れるのではないか? と心配するが……その様子もなく……。
「ここは頑丈なのか……なんにしても!!」
早く事を済ませる事には変わりない。
そう言うかのようにその刃を振るう――!!
すると、魔物すぐに気が付きリアスの方へと向くのだが……。
「オラァ!!」
シュレムの渾身の蹴りをその腹へと受け、表情を歪め……僅かながらもその動きが鈍った。
「これで……終わりだ!!」
焔はリアスの声に呼応するかのようにその大きさを変え、魔物へと振り抜かれる。
逃げる術を失った魔物は……。
『ヴォォォォォ!!』
咆哮を上がると同時にリアスにはその巨大な拳が叩きつけられる。
当然、その身は耐えきることが出来ず、壁へと向かい吹き飛んだ。
「「リアス!!」」
遠のく意識の中、リアスは二人の悲鳴をやはりどこか遠くに聞いていた。
しかし、その脳裏に浮かんだのは……。
(メ、ル……)
今はここに居ないが、これまで共に旅をしてきた少女の笑顔と……涙。
彼女は一度死にかけた彼を助けた本人でもある。
もし、此処で倒れるような事があれば彼女はまた悲しむだろう……それだけじゃない、優しい彼女は恐らく逸れてしまった事を嘆き、罪と感じてしまうかもしれない。
そう思うと、リアスは――――。
(……ここで……死んで、堪るかぁっ!!)
「――ォォォォオオ!!」
咆哮を上げ、吹き飛ぶ身体を器用に捻ると壁に向け片方の刃を突きつけるような動きをする。
すると刃からは炎が噴き出し、それは壁へと突き刺さる。
どういう訳か理屈かもリアスには理解できなかったが、彼の身体は支えを得た様で空中で止まり……。
「今度こそ!! 終わりだ!!」
再びそれへと魔力を流し込むと――今度はもう片方から同じように炎の刃が現れ――。
『ヴォ!?』
危険だと判断したのだろう、魔物はそれを避けようとしたが……リアスの炎の刃の方が早く――魔物の胸を貫いた。
すると炎は瞬く間に魔物を包みそれだけを燃やしていく……先ほど心配だった氷の壁や床は無事なようだ。
だが、ナウラメギルの持ち主である、リアスが望んでした事ではない……。
それは無意識の内に仲間達に被害が及ばない様にと思ったのだろう……見事炎は魔物だけを焼き払い。
「…………よ、し……!」
リアスはその場に倒れるのだった。
「お、おい……リアス?」
倒れた彼の元に近づくシュレムは彼の身体をゆする。
しかし、反応が無く……。
「おい、おい!! まさか――!!」
「退いて、シュレムちゃん!!」
焦る彼女のに対しライノはそう言うとすぐに彼を診始め手首を触り、口元へと耳を近づけた。
暫くし、溜息をついたライノはシュレムの方へと向くと……。
「大丈夫、ただ気絶してるだけよ、多分魔力を使い過ぎたんでしょうね」
「なんだよ、ビックリさせやがって……」
命には別状がないという事を理解したのだろう、シュレムもほっとした様子だったが、すぐに変化に気が付いた。
「なぁライノの旦那……何か、寒くないか?」
「……そう言えば確かに寒くなって来たわね?」
首を傾げる二人だったが、同時にくしゃみをしたことで更に身を震わせる。
慌てて、先程脱いだ防寒具を身に着けるとリアスが凍えない様に彼の防寒具を身体の上にかけた。
「どういうことなのかしら?」
そして、ライノは寒くなった原因でもあろう剣を見つめ……そう呟くのだった。




