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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
11章 雪国の大陸フロム
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236話 受け継いだ物

 熱と炎を発する魔道具。

 それを守る魔法陣へと入ってしまったリアスに問いが向けられる。

 彼は友人から遺志を受け継いだんだと口にするのだが?

「っ!?」


 リアスは慌てて周りを見るが炎の壁は彼の逃げ道を塞いでいた。

 だが、不思議な事に彼は熱さを感じなかったのだ。


「どういう訳だ?」


 いつまで経っても、熱が伝わらない事を疑問に感じた彼はそう口にし立ち上がる。


「……ん?」


 だが、先ほどは立つ事すら無理だったことに気が付くとやはり、疑問を感じ声をもらす。


「おい! なんのまねだ!?」


 リアスは答えを知るだろう、先程聞こえた声に尋ねる。

 すると……。


『なんのまね……と言われましても』


 女性の声は再び部屋の中へと響き……いや、リアスの後ろから聞こえ、彼は振り返る。

 すると、彼は驚き言葉を失った。

 ありえない、すぐにその言葉が思い浮かんだのだ。


「なん、で……こんな所に?」


 本来ならば自然豊かな場所に居るはずだ。

 確かに今いる洞窟も自然と言ったら自然なのだろう、だが……。

 そう簡単に会えるはずがないと彼は知っている。

 いや、寧ろ本当に居るのかさえ怪しいと言われていた者がその場に立っているのだ。


「……エルフっ!」


 その名を呼ばれた女性は表情を変える事無くリアスへと近づく……。

 彼は思わず身構えるが……当然だろう、エルフとは出会えれば幸福が訪れると言われてはいるが、誰一人として出会った事は無い。

 エルフの使者は出会っていた可能性があるが、リアスはその事実を知らない。

 だからこそ、目の前にいるエルフが善であるか悪であるか判断がつかないのだ。

 しかし、一つだけ分かった事があった……。


『人の子よ……そう、身構えなくても』

「身構えるさ……さっきのはお前たちの仕業だったのか! 何のために……っ!!」


 それは、つい先ほどの事だ。

 リアスはそれだけで相手が何を考えているのか分かった物ではないと悟り、身構えたのだ。

 だが、エルフの方は態度を変えるそぶりも無く、ゆっくりとリアスへと近づくと語り出す。


『かつて面白い人の子が居ました。森の子を助けるために魔力が必要だと』

「…………は?」


 突然始まった会話にリアスは呆けた声を出す。


『そう、私達も同じ様な声が出そうでした。ですが、彼女は嘘を言ってはいなかった……』


 何の事だろうか? リアスは相手に敵意が無い事に気が付くと話へと耳を澄ます。

 するとその行動に満足したのだろうか微笑むエルフは……。


『貴方も同じように嘘はついていない』


 微笑みながら何かを思い出すように目を閉じた彼女は――


『それは火の精霊を司る剣……我らが熱と火を創造した時に用意た物』


 エルフは剣を示し、ゆっくりと語り続ける。


『火の精霊の力を宿し剣……ナウラメギル……こちらを……貴方へと授けましょう』


 リアスは話を聞きつつも驚いた。

 それもそうだろう、精霊エルフは神とも言われることがある……そんな彼女達が何故魔族(ヒューマ)である自分に力を授けるのか?

 確かに、噂話では出会うことが出来れば豊かになれるという話は聞いていた。

 しかし、それにしたって謎だ……。


「何でそんなものを……」

『何故……ですか? 簡単な事貴方は……森の子(我が子)の願いを聞き入れた』


 彼の問いにエルフは微笑むと剣へとその手を向ける。

 取れと言う事だろうか? リアスはそう思いつつ一歩一歩と剣へと近づく……。

 やがて辿り着き……両端にある刃へと手を触れない様にその柄へと手を伸ばした所でふとある事を考え、止まった。


『どうしたのですか?』

「…………」


 エルフは首を傾げ、問う……。


「これは火の精霊の力を宿すと言ってたな……? どういう意味だ?」


 そう、おかしいのだ……。

 精霊の力を宿すにしては巨大な火柱は上がり、熱も人が動けない程だった。

 精霊魔法とは通常、そこまでの力はないはずだ。

 その事に気が付いたリアスだったが、彼女は――。


『言ったままの意味です……精霊が力を取り戻せばいずれ分かる事、貴方達と彼女はそれをしなければならない』

「力を……?」


 どういう事だろうか? リアスはその意味を探ろうと再び思考するも……。


『人の子よ、我が(つるぎ)を受け取りなさい』

「………………」


 炎を操る剣は今確かに必要だ。

 魔法を使うことが出来ないリアス達では上に居るあの魔物を倒す術はない。

 覚悟を決め、彼はその剣を引き抜いた。


 すると、周りを囲んでいた火柱はリアスへと襲い掛かってくる……いや、正しくは剣へと飲み込まれ……。

 魔法陣は徐々に光を失っていく……同時にエルフの姿も薄れていき。


「待ってくれまだ聞きたい事が!」


 その言葉には答えずにエルフはその場に何も居なかったかのように消えたのだった。


「リアス! おい! 大丈夫か!?」

「火傷は無い? 身体は大丈夫なの!?」


 二人の仲間は彼の事を気遣う中その手に先程の剣がある事に気が付く。


「良く分からないけど炎の魔道具よね? それがあればあの魔物もなんとかなりそうね」

「それオレが使いたい所だけどな、剣とかは苦手だしな! リアス頼んだぞ!!」

「あ、ああ……」


 彼は仲間の言葉にそう返事を返すとエルフのいた場所にいつの間にかあった鞘へと目を向け……それで『ナウラメギル』の刃をしまうと紐で背負うようにする。


「……行こう」

「リアス……?」


 彼はシュレムの呼びかけには答えずまっすぐと進む……。

 武器は手に入れた……だが、何故か嫌な予感がして、それがぬぐえなかったのだ。


(一体……なんなんだ……?)


 そう、心の中で呟くのだった。

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