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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
11章 雪国の大陸フロム
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233話 毛玉の魔物

 メル達を探すため、別の街に向かおうと洞窟へと入ったリアス達。

 だが、そこはフロスティという恐ろしい魔物が居る洞窟だ。

 彼らが進む中、フロスティの尻尾のような動物に出会い警戒するリアス。

 彼の予想は正しく……後ろからは毛玉の魔物が現れたのだった。

『ヴォォォォォォオオオオオオ!!』


 見たことも聞いた事もない魔物に追われ、リアス達は走る。

 しかし、慣れない足場に戸惑いその距離は着実に縮まっていく……。


「リアス! 戦うしかない!!」


 そう叫ぶのは大きな盾を持つ少女シュレムだ。

 彼女の言葉にライノは首を縦に振り……。


「そ、そうね、このままじゃいずれ追いつかれちゃうだけだわ」


 彼女の案に賛成の様だ。

 リアスは魔物へと目を向け少し考えるも、二人の判断は正しいと考えたのだろう……。


「分かった、戦うぞ!!」


 そう口にするとローブの中から何本かの短い棒を取り出し組み立てていく……そして、それを構えると――。


「シュレム! 奴の攻撃を防いでくれ!」

「ああ! 任せておきな!!」


 シュレムは盾を構える。

 すると、獲物が足を止めた事に気が付いた魔物は咆哮を上げ、その足を止めた。


「げ、元気な魔物ね……」


 ライノはそう言いつつ、懐から瓶を取り出し……。


「でも、おいたは駄目よ?」


 苦笑いを浮かべそれを魔物目掛け投げつける。

 当然魔物はそれを払い落とすのだが……、突如その顔を歪め――。


『ヴォォォ!?』


 払い落した手をもう片方の手で庇う様な仕草を取った。

 そう、ライノが投げたのはただの瓶ではなく、皮膚を焼く薬だった。

 しかし、大した傷にはならなかったのだろう……魔物はライノを睨むと怒り狂った方向を上げ、彼へと迫る。

 だが、その前にシュレムは割り込むとその手に持つ大きな盾で彼を庇う。


「グゥ!?」


 修理したとはいえ、不安が残るその盾で仲間を守るという事は彼女じゃなければそう簡単に出来る事ではないだろう。

 そう感心しつつリアスは魔物の背後から忍び寄り頭目掛け棒を振り下ろした。

 辺りには鈍い音が鳴り響く……見事に魔物の脳天を叩いたのだ。

 しかし……。


「どれだけ、頑丈なんだよ……」


 魔物はぽりぽりと頭をかくだけであり、どうやら焼けた手よりも気にする事ではないらしく……ゆっくりとリアスの方へと向くとその拳を振るう。

 だが、リアスは慣れない足場とはいえ、それを避けると――。


「どうする? どうやって倒す――」


 仲間達に聞こえる声でそう口にした。

 するとシュレムは苦虫をかみつぶしたような顔になり……。


「まずい、今ので盾がへこんだ! そう何発も耐えられないぞ!!」


 シュレムは叫び、その事を仲間へと伝えると……リアスは舌打ちをし、再び魔物目掛け棒を振り抜いた。

 だが、魔物はそれを避けると自身の攻撃を防いだシュレムへと向かい拳を振り抜く……。


「チッ!!」


 その攻撃を何とか防いだシュレムだったが、盾を見てがっくりと項垂れた。

 最早使い物にならない程、へこみ武器にも出来そうにはないのだ。


『ヴォヴォヴォヴォッ』


 魔物はそれを見て笑い……シュレムは盾を捨て拳を握る。

 ライノは彼女の後ろで何かないかと荷をあさるも……。


「だめ、さっきので最後だわ!」


 薬が無い事に気が付き、そう叫ぶと……。


「…………クソッ!!」


 メルが居なければ自分達は駄目なのか? リアスは喉まででかかっていた言葉を飲み込んだ。

 もし、それを言ってしまえば仲間達は意気消沈してしまう……。

 それだけではない、もしこの場を何とか凌げたとしてもメルと合流し、彼女に頼り続けるのか? そう考えが生まれたからこそ言葉を飲み込んだのだ。


「どこかに弱点があるはずだ!! そうじゃなくても逃げ切る隙を作る!! 良いな!?」


 代わりに発せられた言葉は強い口調で二人は頷く……。

 これで良い、リアスはそう心の中で呟くと再び魔物に向かい棒を振り抜くが、やはり避けられてしまう。

 いや、当たっても余程当たり所が良くなければ無意味だ。

 彼はそう判断したのだろうか、棒をしまい込むと今度は針を取り出し――。


「行くぞ、皆!!」


 仲間達の所へと戻るとそう叫ぶ。

 しかし……その直後――。


『ヴォォォォォォォ!!』


 魔物は咆哮と共に拳を地へと向け……地には亀裂が走り、轟音と共に崩れ行く……。


「な!?」

「おいおい……!?」

「まずいわね、二人共手を!」


 羽を持つ天族(パラモネ)であるライノは二人の手を握りその白い羽根を羽ばたかせるが、彼自身含め三人もの身体を支える事は叶わず……。

 リアス達は洞窟の奥底へと沈んでいくのだった……。


 リアスの瞳には咆哮を上げ、勝利を確信した魔物の姿が映り……。


(すまない、メル……)


 リアスは暗いそこへと落ちていく中、共に旅をした少女の顔を思い浮かべ名を心の中で唱える。

 何故、彼女の顔と名を……そう思う暇もなく、彼は……いや、彼らは洞窟の底へと消えた。





 待っているのは死だろう、そう確信していたリアスだったが……。


「こ、このぉ!! クソガァァァァ!!」


 聞きなれない怒号に驚き、瞳を向けるとライノは顔を歪め羽を広げている。

 徐々にではあるが落ちる速度が遅くなり、衝撃こそあれ彼らは無事生きたまま洞窟の底に辿り着いた。


「ラ、ライノの旦那?」

「はぁ……はぁ……」


 シュレムは恐る恐るライノの名を呼ぶが、本人はそれどころじゃないとばかりに肩で息をする。


「た、助かった……ありがとうライノ」


 リアスはそう礼を告げると辺りを見回した……。


「ここは安全そうだ、少し休もう」


 そして、そう提案するのだった。

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