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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
11章 雪国の大陸フロム
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231話 不安な一行の旅立ち

 リアスとシュレムはメル達を心配するがあまり怒鳴り合う。

 しかし、冷静なライノはそれを止めた。

 だが時刻は一刻を争うかもしれない、それは仲間達全員にあったのだろう……。

 ライノは鞄の中に残っていた薬を一つ取り出しそれを3人で分けて飲むことにした。

 後は体力の回復を待つだけだが……。

 翌日、装備を整えたリアス達は次の街へと向かう前に酒場へと尋ねていた。


「それで、その子が来たら、此処で待つように言ってほしい」


 リアスはそう依頼を出すと店主は首を傾げた。


「どこに行ったのかは言わなくて良いのか?」

「とにかく、そう伝えてくれ……その上で冒険者にこの金で俺達に連絡を取って欲しいんだ」


 いくらエスイルと精霊が居るとはいえ、雪国が初めてのメルが迷わない訳がない。

 そう考えたリアスはあらかじめ、金になりそうなものを売り払い依頼の為の金を用意していた。

 しかし、店主は手の平をリアスへと向けると――。


「いや、まだ依頼を受けてないのにこれは受け取れない」

「それでも頼む、大事な仲間なんだ……その為なら、(こんなもの)は惜しい物じゃない」


 リアスの言葉に頷くのはシュレムとライノ。

 これは二人とも相談して決めていた事だ。

 彼ら3人の態度を見て、店主は最初こそ渋っていたものの大きなため息をつくと……。


「分かった! 分かったよ! 何も無かったら必ず金を取りに来い! それが条件だ」


 そう口にし、折れて依頼を受け入れてくれた。

 リアス達はそれを聞きほっとしたのだろう笑みを浮かべそれぞれ礼を告げると酒場を後にし、街の外へと向かう。

 目的地は洞窟を抜けた先にある町。

 嘗て村だったというそこにはどうやら雪見の屋敷と言う物が昔から建っており、そこではエルフの使者が従者を決めたとされる噂が流れていた。

 街の名前はグラールム……。

 嘗ては名の無い街だったそこは誰も知らないという訳ではなく、その逸話の事を知る人物が彼らの中には一人居た。

 そう、彼女は――。


「確か師匠が最初に冒険者になった場所だ! 美人の店主が居るって言ってたぞ!」

「いや、美人かどうかじゃなくてだな? その前にメルの……いや、シュレムが忘れるはずがないか……他ならともかく」


 リアスは苦笑いを浮かべつつシュレムの肩へと手を乗せると――。


「頼むぞ、頼りにしてる」


 彼女へとそう告げる。

 すると、シュレムは口角を釣り上げ歯を見せて笑い。


「おう! メルを助けるってんなら手を貸してやる!」


 旅が始まったその日では仲違いを起こした二人は本当の意味で仲間となったのだろうか?

 同じ目的を持ち、協力することを確かめ合うとその瞳はライノへと向かう。

 二人の仲間割れからの事件から共について来た天族(パラモネ)の青年も笑みを浮かべ頷き――。


「メルちゃんが居ないのだから、怪我は絶対にしちゃだめよ? 街の外には――」


 真面目な顔を浮かべ、そう言うと一呼吸置き忠告を続ける。


「魔物だけじゃなく、アタシ達が知らない雪国っていう自然も襲い掛かって来るんだから」

「ああ……」

「分ってるって! 旦那も心配性だな!」


 二人はそれぞれそう答えると、街の外へと一歩足を踏み出す。

 目指すはグラールム……そこへと続く洞窟だ。






「さっむぅぅぅぅぅぅ!?」


 街の外に出たシュレムは自身の身を抱くようなしぐさをし、叫ぶ。


「いや、宿を出てからもう寒かっただろ?」


 リアスがそう言うとシュレムは彼の方へと向き……。


「だってよ、他の連中なんでもない顔をして歩いてたんだぞ!? 可愛い女の子に寒さに弱いなんて思われたら、頼りにならないだろ!?」

「あ、あのねシュレムちゃん……? 別に気にしないと思うけど……」


 そう言うライノだが、シュレムはゆっくりと首を振り……それを否定する。


「そう言う物なのか……良く分からないが洞窟に向かうぞ」


 リアスは苦笑いをしつつ、先頭を歩き始めた。

 すると仲間達は彼へとついて行き……雪道を進む。


「なぁ、魔物が出たらどうするんだ? メルが居れば炎の魔法でどうにか出来るけどさ」


 シュレムはそう言いながら遠目に見える魔物を睨む。

 するとリアスは彼女が飛び出していかない事に感心しつつその質問に答えた。


「基本は避ける……それとメルが居ても炎の魔法は使えないぞ」

「はぁ!?」


 心底馬鹿にしたかのような声と顔に溜息をつくリアスとライノ。

 そう、雪国の魔物はシュレムの予想通り炎の魔法に弱い。

 だが、リアスの言う通り、下手に炎の魔法は使えないのだ。

 その理由は――。


「シュレムちゃん……こんな所で炎なんて使ったら雪が溶けてしまうの、下手をすればそれで雪崩が起きたり、足場の氷がなくなってしまう事があるのよ?」

「ナダレ……? なんだ? それ……起きたりなくなるって魔物かなにかか?」

「違う、雪が崩れて流れてくる事を言うんだ……それと氷は溶けると水になる水の上は歩けないだろ?」


 リアスの説明を聞き目を丸め固まるシュレム……暫くすると納得したのか拳と手のひらを合わせ……。


「つまり、水になるから歩けなくて、雪が溶けるとずれて流れてくるのか! それならそうと言え!」

「それと、大声でも雪崩が起きる事があるからな、魔物の咆哮とかも気をつけろ」


 そう口にしたリアスの言葉にうんうんと頷き……。


「おう、気をつけろよ?」


 何故か彼にそう返したシュレムは勝ち誇った様な顔を浮かべその後をついて行く……それを見て不安そうなライノは……。


「は、早く合流した方が良さそうね……」


 と呟くのだった。

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