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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
11章 雪国の大陸フロム
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230話 休息が必要だ

 暖かい部屋……。

 そこで目を覚ましたリアスは傍にメルの姿が無い事に焦る。

 だが、彼女を探そうにも装備も無く仲間達も目を覚まさない。

 彼は2人の仲間が目を覚ますのを待ち……目を覚ますと早速今後の話をしたのだった。

 目を覚ましたリアス達は体力の回復を待ってメル達を探しに行くことを相談していた。

 そんな中、バンっと机をたたき立ち上がったのは一人の少女だ。


「こんな寒い場所なんだぞ!? メルが心配だ!!」


 そう口にするのはメルの姉でもあるシュレムだ。

 彼女は二人の話を聞き、段々と不機嫌にはなっていたのだが、ついに耐え切れなくなったようだった。

 だが……。


「こっちだってそうだ! だけどな……俺達まで行方知れずになったら誰がメルを探すんだ!!」


 普段は声を荒げないリアスは机こそ叩かないまでも強い口調で叫び……シュレムは思わず一歩後ろへと下がる。

 そんな様子を見てひとり溜息をつくのはライノだ。


「二人共落ち着きなさい! ここで喧嘩をしても意味はないわ……皆あの子達が心配なのは一緒でしょ?」


 彼の言葉は二人の胸へと刺さったのか、それとも彼が付いてくるきっかけになった事件を思い出したのか、表情を変化させると大きく息をつく……。

 シュレムは力なく座り込み、リアスは項垂れ……そこには重苦しい空気が流れた。


「もし……このまま外に居たらどうなる?」

「寒さで凍え死ぬ……」


 ぼそりと呟かれた言葉にリアスは答え、シュレムは表情をこわばらせるがすぐに視線を机へと向け……。


「メルちゃんの事よ、きっと精霊の力を借りてるに違いないわ」


 ライノは二人を励ます為だろうか? そんな事を口にした。


「そうだな……きっとメルも俺達を探してるはずだ……」

「だったら――!!」


 早くメルを探そう。

 そう口にしかけたシュレムは再び黙り込んだ。

 心配なのは皆同じだ……だが、シュレムは雪国に来た事が無い。

 リアスが言う凍え死ぬというのも本当なのかも分からない。

 しかし――。


「本当に……危ないのか?」


 確認するように尋ねるとリアスは頷き……。


「俺も話に聞いた程度だけどな、ろくな装備も無く、体力も消耗してる今じゃ雪道を超えていくのは無理だ」

「装備は買えばいいでしょ? それに体力回復にだっていい物があるわ!」


 落ち込む二人に対し、笑みを浮かべそう答えたライノは荷物の中かからなにかを取り出そうとする。

 しかし――。


「っ!?」

「ライノの旦那?」


 顔を歪めた彼は荷物から手をはなし指を押さえる。

 どうやら何かで切ったようだった。

 彼は暫くその体勢で痛みを我慢すると荷物の中を覗き込み……。


「良かった一つはあるようね」


 そう言って今度は慎重に手を伸ばしていく……取り出されたのは薬の入った小瓶。

 それを机の上に置くと……。


「効き目は弱くなるけど、これを三人で分けましょう」


 彼はそう言ってシュレムの方へと目を向ける。

 まずは彼女からと言う事だろう……。

 その意味がちゃんと通じたのかシュレムは瓶を掴み蓋を開け、ごくりと喉を鳴らす……。

 そして、目をぎゅっと閉じつつそれを口元へと一気に運ぼうとした所でリアスは慌てて止めた。


「待て待て……お前それ、ちゃんと残せるのか?」


 失礼な質問だ。

 誰もがそう思うだろう……しかし、シュレムはどう見ても一気に飲み干そうとしているようにしか見えなかったのだ。

 それにはライノも思わず苦笑いをしており……。


「う、器を用意するわね」


 と呟くとシュレムの手から瓶を取り、三つの容器へと移していく……。


「何だ分けるのか?」

「いや、そう言ったはずなんだけど……」


 まるで初めて分ける事を知ったかのような口ぶりの彼女に対し、リアスはやっぱりかとため息をつきつつそう呟くのだった。


「さ、これで飲みましょう?」


 そうこうしている内に二人の目の前には器に入れられた薬があり、それを手に取ったリアス達は一気に煽る。

 口の中には悶絶するほどの苦みが広がっていき、ようやく飲み干すのだが、ライノは薬を口に含んでも少しだけ顔を歪める程度……。

 その様子を恨めしそうに見ていたシュレムは……。


「だ、旦那だけ違う薬じゃないだろうな!?」

「そんな訳ないでしょう!?」


 笑っているのか困っているのか、中途半端な表情を浮かべたライノはそう言うと真面目な表情へと変える。


「とにかく後は少し休むべきよ。薬を飲んだからってすぐに回復する訳じゃないわ」

「分ってる……今日は一日休んで、明日装備を買いに行く……」


 リアスは二人に確認するかのように告げ……。


「そして、日がまだ高かったら次の街に向かおう……勿論、この街の酒場にはメルの事を依頼する……良いな? シュレム」

「ああ……」


 頷いた彼女に今度はメルのことであるし大丈夫だろうとリアスはゆっくりとその瞳を逸らす。


「分かった!」


 だが……。


「早速装備を買いに行こう!」


 シュレムが話を聞いている訳がなく、二人は思わず椅子から落ちそうになる。


「あ、あのな!? まずは体力回復が優先だ!」

「薬飲んだろ?」


 リアスの言葉を全く理解していない彼女は首を傾げつつ答えるも――。


「だから、あの薬はすぐに疲れを取る訳じゃないのよ? 休息は必要なの!」

「へ!? そうなのか!? なら早く言ってくれよ!?」


 だから、そう言ったじゃない……ライノの呟きはその部屋の中に消えて行き……。


「とにかく今日は休む! じゃなきゃ、メルを探しに言った俺達が倒れる羽目になるからな!」

「お、おう……分かった」


 リアスの強い口調に身を後ろに引いた少女は仕方なしっと言った風に首を縦に振るのだった。

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