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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
11章 雪国の大陸フロム
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228話 魔力を持つ少女

 メル達は氷狼を倒しに向かっていた。

 しかし、案内を頼んでいたグラネージュは恐ろしくその先はいけないという。

 そこで初めて精霊達は恐怖の違いがある事に気がついた。

 疑問に思いつつもメル達はグラネージュを先へと進む……。

 その先でメルは気を失ってしまうのだった。

 メルが目を覚ました場所そこは牢の中ではなかった。

 辺りに人の気配もない事にメルは疑問に思いつつゆっくりと起き上がる。

 しかし――。


「あ、あれ?」


 メルの四肢は拘束されており動くことが出来なかった。


 ど、どういう事? と思い浮かべたメルは唯一自由の利く頭を動かし確認してみるとどうやら鎖でつながれている様だ。

 更には腰にはアクアリムが無く、首飾りもない事に気が付き、最悪な状況に顔を青くした彼女は辺りを見回し……。


「シルフ……ウンディーネ」


 精霊の名を呼ぶ。

 すると現れた二人の精霊にホッとした彼女は……。


「お願い、あの時みたいに――」

『それが、無理なんです……』


 何故無理なのか? 理解できなかったメルだがその理由は二人にも分からない様だ。


『なんか、力が出ないんだ……へ、変なんだけどさ』

「そっか……大丈夫隙を見て逃げるから!」


 彼女がそう言った時、ギギギギギっと音がし……メルは思わずそちらの方へと目を向ける。

 するとそこから現れたのはやけに細めな男性だ。


「ようやく起きたか……お前がまた壊しちまったのかと思ったぞ」


 そして、彼の後に入って来た大柄の男にそう言うとメルの方を向き、歯をむき出しにし口角を釣り上げ……目尻は垂れ下がる。

 その表情に言いようのない恐怖を感じたメルは固まってしまうと……。


「これから何をされるか恐いか? だが気にする事は無い……」


 会話を始めながら近づいて来る二人に対し、メルは焦り魔法を唱えようと詠唱を唱え始める。


「我が意に従い……」


 だが、二人の男達は平然と近づいて来る。

 当然だ……メルは外見だけなら森族(フォーレ)魔法が使えるはずがないのは彼らにも分かっている事だ。

 しかし、その油断と思い込みが隙を生むことをメルは知っていた。

 だからこそ――。


「マテリアルショット!!」















「……………………………………え?」


 魔法を唱えても何も起こらない事にメルは驚いた。

 魔力は減った。

 その事は分かった……しかし、魔法自体が生み出せない。

 今まで手足同然に使って来た物が使えない事にメルは困惑し、恐怖する。

 そんな彼女の心情は顔に出ていたのだろう……二人の男の表情はますます歪み……。


「魔紋があったからな、用心しておいて正解だった」

「だろ? 私の言った通りだ……やはりこの娘は魔族(ヒューマ)森族(フォーレ)の間の子だな」


 何故その事が分かるのか? メルは自分の体に何をされたのか……恐怖と不安、そして自身の無力さにガチガチと歯を鳴らしその瞳には涙が堪り始めていた。


「怯えないでも良い、ちらりと魔紋が見えたから調べただけだ……君の身体は綺麗のまま、そして……私の研究では間の子は耳と尻尾が短くなるのではないか? と言う事があってね。それで分かっただけだ」

「嘘を言え、あれはただの勘だろうが……」


 細身の男の言葉に大柄の男は鼻を鳴らし、そう口にした。

 すると、細身は咳払いをし……。


「とにかく、君の様な物が欲しかった無理やり親になる物を連れて来ては壊れてしまったりで困っていてね。この馬鹿が子供を連れてきた時には馬鹿は馬鹿かと思ったが、考え直そう……研究がこれで進められる」

「何が研究だ。只の欲の発散だろう」


 その言葉には異論がないのか笑い声を上げる細身。

 メルはとうとう堪え切れずに涙をこぼし――。


 リアス……皆……。


 仲間達の顔を思い出す。

 なんとかして逃げなければならない、だが……魔法が使えない以上どうすることもできない。


「さて、では実験だ……」


 まるで死罪の宣告の様に告げられた言葉にびくりと身体を震わせたメル(捕らわれの少女)はこれから何をされるのかを見たくないと思いつつもその瞳はそれを捕らえていた。

 男の手にはナイフが握られており、それをメルへと近づけると……。


「我は望む……力を……汝が我が糧となりて……我が力となりて魔なるモノを穿つ矛となる事を――」


 詠唱を唱え終わると同時にその切先を少女の胸へと近づける。

 殺される――!! メルはそう感じギュッと瞳を閉じたのだが、次の瞬間――!!


「あ……かっ!? くぅ!?」


 目を見開き、苦悶の表情と喘ぎ声を発する。

 手足は固定されていて動く事すらできなかったが、腰は浮き、瞳からは涙が止まる事無く溢れ出た。

 痛みはない……しかし……。


 ま、魔力が……魔力が……抜かれ――っ!?


「クククク……ハハハハハハハハ!! 素晴らしい素晴らしいぞ! 本当にあった魔力があった!! これで研究が進められる!!」

「ほう……お前の計算通りとは珍しい……」


 細身は喜び声を上げ高笑いをし、もう一人は心底珍しいのだろう、顎に手を当て興味深げにメルの様子を見る。

 一方メルは――。


 し……死ぬ? この……ま……ま…………じゃ…………。


 大量の魔力を強制的に抜かれ、その意識は朦朧とし……。


「………………………あ……」


 その小さな口から言葉ですらない声を発した後、彼女はガクンと大きく震え意識を手放した。

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