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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
11章 雪国の大陸フロム
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226話 氷の精霊に連れられて

 メルはエスイルへと別れを告げ部屋を去ろうとした。

 しかし、エスイルはついて来ようとしたのだ……。

 心配してくれているのはメルも理解していた。

 だが、危険だと思い、彼女はエスイルに頼みごとをすると旅立つのだった。

「す、すごい!」


 一人歩く中、メルは感動の声を上げる。


『何がすごいんですか?』


 そんな彼女に首を傾げながら訪ねるのは精霊ウンディーネだ。

 水の精霊の可愛らしい仕草にメルは微笑むと今自身が身に着けている防寒具を摘まみ。


「すっごく暖かいよ! 前とは大違い!」


 とさらに感動の声を上げた。

 それもそのはず、以前はその防寒具すら身に着けていなかったのだ。

 本来はそれでも寒いはずなのだが……。


『でも、メル震えてるよ。無理をしてるんじゃない?』


 そう指摘した精霊に二人の精霊はメルの目の前へと現れ敵意を持ち睨む。


「それはちょっと寒いけ……」

『――っ!?』


 シルフとウンディーネの視線に気が付いた思わずビクリと震える氷の精霊に苦笑いをしつつ、メルは答えながら水と風の精霊をなだめるように抱き寄せた。

 氷の精霊はグラネージュ……以前その身に危機を感じ、メルを見捨て逃げ出した精霊だ。

 一方風の精霊はシルフ、メルが幼い頃から共にいる精霊であり、彼女はメルの危機に駆け付けたのだ。

 ウンディーネもその場に居たが、逃げるという事はしなかったからだろう……二人の精霊はこのグラネージュを快く思っていないみたいだ。

 それを知るメルは引きつった笑みのままグラネージュの案内について行く……。


 もう……怒ってるのは分かってるけど……少しは仲直り出来ないのかな?

 でも、私の事で怒ってるんだし、なんかこう……私が仲良くしなきゃ駄目だよ! なんて言い辛いよ……。


 メルはその笑みの中にそんな悩みを感じつつ、前へと進む。

 目的は氷狼グラヴォールの巣。

 そして、そこへと道案内をグラネージュへと頼んだのだ。


『メル! 私達がしっかり道を覚えてますからね』

『帰りは任せて!』


 その理由はメルが迷子になるからだ。

 しかし、メルには他の人にはない特別な瞳を持っており、近づいた精霊に無意識の内に景色を見せさせることが出来る。

 それによってシルフ達に道を覚えてもらい、迷子にならない様にしていた。

 だがそれも初めての場所では意味がない。

 だからこそ、こうしてグラネージュに頼んでいる訳なのだが……。


「え、えっと……」


 メルは二人の気遣いに感謝しつつ、辺りを見回すが苦笑いをさらに深める。


 ど、動物とか目印になるのがないよ!?


 一面は銀世界……街から少し離れた程度だというのに目印が何もない場所だ。

 恐らく、嫌確実に迷子になるとメルにも分かるぐらいだった。


『その、どうやって案内するつもり?』


 グラネージュは勿論その事は理解しているのだろう……恐る恐ると尋ねるが二人の精霊はふいっとそっぽを向き答えない。

 それに落ち込んだ様子の氷の精霊を見てメルは疑問を深めた。


 ここまで怒るなんて……二人はどうしたんだろう?

 いくら私の事だと言っても精霊にとっては逃げる事は普通の事……それを知らないはずがないのに……


 以前薬草を取りに行った時にウンディーネが逃げなかったのは怖いという事があっても直接的な被害が無いと本能的に理解していたからだ。

 だが、今回のグラネージュは違う、精霊にも何かしらの被害があると分かったからであり、寧ろ逃げなかった二人の方が異常だという事はメルも理解していた。


 姿が変わった事と何か関係があるのかな?

 ううん、多分そう……だよね? だけど、それが何でグラネージュが危険だと判断した何かにこの子達が反応しなかったのか分からない。


 メルはそう思い浮かべた所でピタリと足を止める。

 すると三人の精霊もその場に留まり首を傾げた。


『メル?』


 風の精霊は心配そうにメルの顔を覗き込み……水の精霊はそっと寄り添うと……。


『やっぱり、まだ寒いですか?』


 メルを気遣う……。

 不安そうな顔を浮かべながらも氷の精霊だけはその場に佇んでいる。

 メルはそんな彼女達を順に見て行きながら――。


「な、何でもないよ? 行こう」


 再び歩き始める。


 まさか……グラネージュが危険だと判断したモノを二人はそうとは思わなかった?

 だから逃げなかったなら納得できるし、グラネージュを怒るのも分かる。

 だけど、そんな事ありえるのかな?

 だって……同じ精霊なのにウンディーネとシルフだけ怖くないなんて……。


 だが、他に原因が分からない。

 メルは二人の精霊に何が起きたのか困惑しつつ足を進めていたが……グラネージュは歩みを止めた事で彼女もまた、足を止める。


「どうしたの?」


 地図を広げてみるも、今何処に居るのか分からない。

 帰りもまたグラネージュに頼らなければいけないなっと考えていたメルは再び氷の精霊へと目を向けると……。


『……………………』


 そこにはがたがたと震える精霊の姿があり……彼女はゆっくりと振り返ると……。


『この先が目的地……ごめん、ごめん……!! 怖くてもう……先に行けない……』


 涙目で訴えてきた。

 それを見てメルは頷きかけたのだが……。


『怖い? 確かになにかが居そうな感じですが……』

『危険だとは思わないし、なんでそういう嘘を言うの?』


 二人の精霊はそう口にし……。


「『……え』」


 メルとグラネージュは同時に声を上げるのだった……。

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