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208話 絶望を告げた魔物

 船へと乗り、海を進むメル達。

 だが、航路中魔物に襲われる。

 逃げ切る為に船を操る操舵者に安全のため、客を室内に居れるように言われたメル達。

 そんな彼女達の目の前に現れた魔物は……ドラゴンだった。

 その後、何が起きたのかメルは……いや、メル達は理解できなかった。

 突然現れた水龍、その息吹によりメル達が乗る船は大きな音を立て、破壊された。

 ただ一つメルが理解出来たことがあるとすれば……近くにいたリアスとエスイル。

 そして仲間達にはそれが当たっておらず……思わず放してしまった手を再び握ろうと伸ばそうにも運良く手を握れたのがエスイルだけだったという事だ。















 その後の事は意識を失った二人には分からない事だった。












 そんな二人が目を覚ましたのは凍えるような寒さを覚える場所だった。


「…………メルお姉ちゃん」


 エスイルは不安そうに辺りへと目を向けると、メルの服を掴む。

 メルは周りにリアス達が居ないかを確かめるも……そこに居るのはメルとエスイルだけの様だ。

 残ったものは身に着けていた僅かな荷物と装備、アクアリムとリアスからもらった髪飾り……そして、首飾りだけだった。


「そ、そんな……皆は?」


 凍えそうな身体を温める為だろうか? メルはエスイルを抱き寄せ……再び周りを見る。

 しかし、何度確かめようとも現実は変わらなかった。


「う、うそ……だよね? リアスお兄ちゃん達何処かに居るんだよね?」


 エスイルの言葉には頷いて安心させたかった。

 しかし、メルにはそんな余裕などなかったのだ。

 リアスが居ない、シュレムもライノも……これまで共に旅をしてきた仲間達が居ない。

 そして、此処は何処だかも分からない場所だ。

 不安なのは彼女も同じであり、隠せる物ではなかった。


『メル……』


 だが、そんな彼女に優しい声が掛けられる。

 一体誰だろうか? メルが不思議の思うと……そこにはウンディーネだろうか? 以前の姿とは全く別の精霊らしき少女が居た。


「ウ、ウンディーネ?」

「……だよね?」


 二人はその精霊へと目を向け尋ねる。

 すると、その少女は頷き――。


『はい、私ですよ』


 微笑むのだった。

 一体どういう訳だろうか? 以前の姿は人の姿をしていたはずだ。

 しかし、今のウンディーネは下半身がまるで魚……いや、龍と言った方が良いのだろうか?

 だが、優し気な瞳と雰囲気はそのままだった。


「その姿は?」

『これは分かりません、気が付いたらこうでした。それより安心してくださいメル……他の皆は無事です』

「無事ってリアスお兄ちゃんたちの事!?」


 ウンディーネの言葉にエスイルは驚く。

 いや、エスイルだけではない……メルもだった。

 無事と分かることにまず驚いた……精霊は目が見えず何かが居るとしか分からない。

 しかし、冷静に考えてみると彼女が言っているのはそうではないのではないか? とメルは思い。


「船に乗ってた人全員無事なんだね?」


 そう尋ねる。

 それならば、辛うじて分かるかもしれないそう思ったからだ。

 しかし、ウンディーネは首を横に振り……。


『分かったのはメルの仲間……三人と近くにいた二人ぐらいです……その人達の無事は確認してます。残念ながら他の人は……分かりません』

「そ、そう……」


 メルの近くにいた五人恐らくそれでウンディーネが判断したという事に納得はしたメルだったが、他の人の安否が分からない事が気になった。

 あの船には客人も沢山乗っていたはずだからだ。


「メルお姉ちゃん……」

『メル、他の人達が心配なのは分かります、ですが今はお二人の安全を確保してください』


 二人の言葉を聞きメルは頭をゆっくりと左右に振ると自由な方の手で頬を叩く。


「分ってる……まずはこのままじゃ凍えちゃうよ、服を乾かそう」


 メルはそう言うと近くにある洞窟に目をつけ、落ちている古木を集めつつ其処へと向かう。

 その途中。


『ユーリ?』


 今まで見たことが無い精霊が彼女へと話しかけてきた。

 メルは突然の事に振り返り、彼女を見つめる。


『違う、ユーリは精霊が見えないはず! 誰?』


 ウンディーネにどこか似たような見た目の精霊。

 しかし、初めて会う精霊。

 メルは答えを待っている精霊にハッとし、慌てて答える。


「わ、私はメアルリース……皆からはメルって呼ばれてるの」


 そう答えると精霊は納得をしたように頷き。


『めある……りーす……ケルムが言ってたユーリの娘ね!』

「ケルム? ケルムって……」


 訪ねようとしたが、すぐにその言葉を飲み込んだ。

 なぜなら母ユーリの友人にケルムは一人しかいない。

 それに目の前の精霊が知っているということは森族である事は間違いないだろう。

 つまり、メルの知っているケルムの可能性が高い。


『それにしてもびちゃびちゃね、ウンディーネの悪戯?』

『私はそんな事しませんよ、グラネージュ』


 呆れた顔のグラネージュと呼ばれた精霊はウンディーネの方へと目を向けるとその瞳を丸くし……。


『……誰?』

『ウンディーネです!? 忘れないでください!!』


 ウンディーネは怒ったように頬を膨らませるとメルの傍へと寄る。


『もう良いです! それよりもメル早くあの洞窟に向かいましょう?』

「え、あ……うん」


 怒っているウンディーネは珍しいなっと思いつつメルはエスイルと共に言われた通り、洞窟へと向かう。

 すると、グラネージュと呼ばれた精霊もついて来て……。


『不思議な子だね、近づくと周りが見えるなんて』

「そ、そうかな?」


 どうやら、メルに興味を示した様だ。

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