プロローグ10
無事メルンから発ったメル達。
目指すはルーフ地方だが……。
果たして無事に着けるのだろうか?
メル達がツィーアを出てから早数日、航海は順調に進んでいた。
しかし、メル達が船の上ではしゃぐような事は無かった……何故なら……。
「な、なぁ……あいつら何処まで乗るんだ?」
「知らないわよ……早く降りてくれると良いのだけど……」
メル達が甲板へと顔を出すたびに聞こえるそんな会話。
それを聞くと酷く気分は落ち込んだ。
だが、メル達は街の者や旅人、冒険者を傷つけるつもりは無かった……。
しかし、起きた事は起きた事。
いくら犠牲が出ていなくともメル達が警戒され、畏怖を抱かれていたのは分かっていた。
だからこそ、彼女達はこの数日間の殆どをあてがわれた部屋で過ごしていたのだった。
とは言え、メル達もじっとしているだけとはいかず、人が少ないのを見計らって甲板へと出るのだが、客を乗せている船ではそれも全く出くわさないというのは無理な話だ。
「チッ! 助けてやったのによ!!」
「シュレム……そうは言ってもあの騎士があそこで暴れたのは私達が居たからだし、海もウンディーネが気を利かせてくれたから……それに私とウンディーネの力も人から見たら怖いよ?」
苛立った様子のシュレムに対し、そう告げ続けるメル。
その話は聞き飽きたのだろううんざりしたような表情を浮かべた彼女は……。
「分ってる、分かってるよ……でも、あの態度はないだろ?」
「相手にとってそれだけ俺達が警戒する対象なんだ……海に放り出されないだけマシだ」
リアスの言葉を聞き、シュレムは深い溜息を吐く……そして、黙っているエスイルとライノの方へと目を向け……。
「なぁ、旦那……エスイル、どう思うよ?」
「複雑ね……」
シュレムの質問に困った笑みを浮かべライノは答え……。
「ただ、アタシも立場が違ったらメルちゃん達の事を警戒するかもしれないし、何も言えないわ……」
「旦那もかよ……エスイル……エスイル?」
ライノの言葉にうんざりしたシュレムはエスイルに答えを求めるが……その少年は耳を立て何かに集中している様だった。
それはメルにも分かり……。
「エスイル、あまり気にしない方が良いよ」
メルは心配になり、弟にそう告げる。
するとエスイルは首を振り……。
「違う、なにか聞こえる!」
焦った表情を浮かべ、メル達へと訴えるのだった。




