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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
9章 奪われた精霊の首飾り
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206話 メルンからの旅立ち

 街から出て行くように……そう告げられたメル達。

 だが、どうやらツィーアの統治者は彼女達の事を悪くは思ってない様だ。

 若干の猶予は与えられるのだった。

 領主との会話の後、メル達はすぐに船出の準備を済ませた。

 目的は勿論ルーフ地方。

 リラーグから旅立ちようやくここまで来たのだ。

 その事にホッとしたメルだったが……辺りを見回すと船の乗務員はあまり良い顔をしていなかった。

 当然だ、メル達が来た事で……いや、首飾りを奪われてしまった事でウンディーネは海を荒れさせたのだから……。

 メルは申し訳ないという気持ちを持ちつつも今回助けてくれた精霊の方へと目を向ける。


『どうしたのですか?』


 そこには本の数時間前には喋る事すらできなかった精霊、ウンディーネの姿があった。


「どうしたの? って、ウンディーネ……体の方は大丈夫なの?」


 あれほどの力を使ったのだ。

 その影響で小さくなっていたウンディーネは何事もなかったかのように以前の姿へと戻った。

 メルはその事に不安を感じる……そもそもどうして元に戻ったのか分からないのだから……。


『大丈夫ですよ、問題ありません』


 だが、ウンディーネは微笑むとそう答え言葉を続けた。


『それよりも、メルは大丈夫ですか?』

「……私?」


 返ってきた言葉にメルは瞳を丸めた。

 ウンディーネが大丈夫であるのはほっとしたが、まさか自分の身を案じられるとは思わなかった。

 しかし、確かに変だという事は自覚があった。


「大丈夫……だとは思う」


 だからこそ、はっきりと言えなかった。

 何故なら……。


 魔力がまだ回復してない。

 ううん、回復自体は徐々にして行ってる……だけど、何時倒れてもおかしくない。

 なのに……ふらついたり、眠気があったりとか全然そんな感じがしない、私には精霊力が無いんだから、魔力が底を尽きる前に眠くなるはず。

 何で急にこんな風になったんだろう? もし、底を尽きたら死ぬ。

 だから、そうならない様に魔力が減ったら眠る様に倒れるってナタリアが言ってたし、実際今まではそうだった。


 不思議に思いメルは自身の首へと手で触れる……。

 先程まで首飾りがあったその場所にだ。


 もしかして、あの首飾りの影響? でも……そんな魔法聞いた事が無い。

 あれだけが特別なのかな……ううん、それもあるかもしれない、だけど……やっぱりどう考えても首飾りで倒れないようになるなんてありえない。


『メル……』

「うん、不安ではあるよ? でも……体は凄く元気」


 不安そうに見つめてきたウンディーネにそう答えたメルは……今度は自身の胸の前でこぶしを握った。


 大丈夫……だよね?








 メル達がメルン地方から旅立ってから太陽が大分降りた頃……。

 ツィーアの街は慌ただしく衛兵達が駆けまわっていた。


「居たか?」

「いや、こっちには居なかった!!」


 二人の衛兵はその表情をこわばらせつつ、焦った様子を隠す事もない。

 一体なにが起きたのだろうか? 近くにいた人……男性は気になり訪ねようとした……その時――。


「ひっ!?」


 街のランプの明かりに照らされるように何かが光りったと気が付いた時にはもう遅く……。

 衛兵達はこわばらせた表情のまま首を落とす。


「あ? ぁぁあぁあ?」


 それを見ていた街人は腰を抜かし、目の前に来た()()を見上げた。


「船はあるか?」


 すぐに殺される。

 そう思ったのだが、女の方がそう尋ねてきたのだ。

 答えれば助かるかもしれない、そう思ったのだろうか慌てて首を縦に振った男性は――。


「み、港に小さいが俺の船がある! まだ新品だ……ひ、必要ならも、ももも、持って行って構わない!!」


 叫ぶようにそう答えた。

 とにかく一刻も早く目の前の二人が去って行ってほしかったのだ。


「そうか……」


 彼の願いは通じたのだろうか? 男は目を閉じながらそう言うと……。


「船はありがたく頂いて行く……だが、勘違いするな魔物(他種族)達とじゃれ合う異国の民に一々許可を得るつもりはない」

「は……?」


 何を言っているのかが理解できなかった。

 すると……。


「抑え込んでたのにね、あの犬のお嬢ちゃんの所為でアダドの悪い癖が出た」


 女は驚くほど残忍な笑みを浮かべそんな事を言い、それに対しアダドと言われた男は……。


「黙れ、ピスア……お前だって牢で必要以上にやっただろう?」

「あれは引っかかる男が悪い……」

「あ…………」


 二人の表情とその会話を聞き、男性は察した。

 この二人を牢に入れてはいけなかったのだ……と、もしそうするのであれば魔物を操ったとはいえ街を救った少女達をもてはやすべきだったと……。

 そう……男性はメル達をこの街から追い出せと強く言っていたのだ。

 しかし、後悔をしようがもう遅く……。

 悲鳴を上げる暇もなく、彼の身体は地へと倒れた。


「さて、あの小娘達を追うぞ」


 動かぬそれに興味を亡くしたのか、アダドはピスアの方へと向き直りそう告げる。

 その言葉にピスアは頷き、港の方へと歩み始めた。

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