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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
9章 奪われた精霊の首飾り
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205話 二人の騎士

 首飾りを取り戻した。

 しかし状況は変わらない……いや、それどころか今度こそ騎士達はその牙を突き立ててくるだろう。

 そんな時、首飾りを受けた取ったメルは誰かの声を聞き、それを身に着ける。

 すると、魔力が溢れ……再び水龍が姿を現した。

 しかし、メルの魔力は失われた……だというのに彼女は魔力不足で意識を失う事が無かったのだった。

 倒れた騎士達を拘束するメル達。

 何とか倒すことが出来たとはいえ命を奪った訳ではない、目を覚ませば当然メル達が危機的状況に陥るだろう。

 その前に武装を解かせしっかりと牢の中に入れるためだ。

 それも街の憲兵の力を借り何とか目を覚ます前に済ませると彼女達は領主の元へと出向くように言われるのだった。


「話ってなにかな?」


 突然の呼び出しにエスイルは不安そうだが、そんな少年を見てシュレムは笑みを見せた。


「オレ達は町民を守ったんだぜ! そのお礼に何かもらえるに決まってる!!」

「そうね、もらえるかは分からないけど感謝の言葉はあると思うわ」


 二人の予想はメルとリアスも首を縦に振った。

 あの騎士を倒してから海も大人しくなり、やはり自分のではないか? と考えていたメルだったが海に出るまでには時間があった。

 その上、あの騎士は町民に刃を向けたのだ。許されるはずがない。


 そんな人達を倒したんだからシュレム達の言う通りお礼かもしれないよね。

 でも、私達も迷惑をかけた事には変わりがないんだし其処は謝らないと……。


 メルはそう考えつつ仲間達と共に領主の館へと向かう。


 辿り着いたツィーアの領主の館の扉を叩くと中から顔を出した男性は話を聞いていたのだろう。


「お待ちしておりました。どうぞこちらへ……」


 そう口にするなりメル達を大きな部屋へと誘導した。

 メル達は当然期待を胸に領主を待つのだが……入って来た領主はメル達を見るなり……。


「よく来てくれた」


 全く笑みを見せずにそう口にする。

 そんな彼の様子にメルは不安を覚え……エスイルも同じだったのだろう、メルの服の裾を握る。


「さて、来てもらったのは簡単な理由だ。この街から出て行ってくれないか?」

「え……」


 その言葉に驚いたのはシュレムだった。

 彼女は慌てたように立ち上がり……。


「な、何でだよ!! 俺達は!!」

「あの二人から街の者を守ってくれた……分かっている、だが事実君達が来てから海は荒れ……その上、海から現れた魔物を操っていたようにも見えたと聞いている」


 ……魔物?


 メルはその言葉に疑問を感じつつ、少し考える。


「……水の龍の事か?」


 そして、リアスの言葉にはっとし気が付いた。

 あれは魔物なんかではない、精霊ウンディーネが姿を変え力を貸してくれただけだ。

 しかし、他人から見ればただの魔物にしか見えない、そう言われてしまうのは当然だった。

 だが、あれは精霊だ……メルは大切な仲間を魔物と言われた事にひどく傷ついた。

 それだけではない、あのウンディーネはメル達を助けようとしてくれたのだ……結果的に街も救っている。

 だというのにその扱いは無いのではないだろうか……? そんな思いがメルの中に生まれた。


「一部の者からはあれが精霊だと言う事は聞いている……だが、精霊にしろ魔物にしろ、恐怖を感じた者がいるのだ……」

「ふ、ふざけんなよ! オレ達は……!」


 思わず噛みつくシュレム……しかし、その場に居たメルもリアスも納得は出来ず止めることは出来なかった。

 ただ一人、ライノは……。


「やめなさい、シュレムちゃん」

「ライノの旦那!?」

「あの騎士を捕まえてからそんなに時間が経ってないとはいえ、ここまで来るようにって丁寧に言われているのよ? もし、アタシ達を危険な存在だとだけ考えてるならすぐに追い出されてるわ、話をするという事は一方的に出て行けと言う訳じゃないのでしょう?」


 彼が領主にそう尋ねると領主は頷き……。


「当然だ……船に乗りたければ、自由に乗ると良い。それと出て行けとは言ったが、此処は港町、買い物と通り過ぎるぐらいは許可する」

「で、でも……なんでそれは許してくれるんですか?」


 出て行けと言った割にはメル達にとって悪いとは言えない条件だ。

 事実、滞在できない程度で目的があれば寄っても良いという事なのだから、帰って来る時も困るようなことはない。


「実はな……そちらのお嬢さんが助けたという森族(フォーレ)の女性……あれは息子の恋人だ。それに酒場の者からも話は来ている……私としては一泊でも二泊でも休んでもらいたい。だが街の者も安心させなくてはならない……」


 彼はそう言うと申し訳なさそうな顔を浮かべ頭を下げると……。


「本来ならば盛大にもてなしたい所ではあるが、事情が事情……どうか、条件を飲んでもらえないか?」

「………………」


 黙り込む仲間達に見つめられたメルは静かに頷き……。


「分りました」


 そう、答えたのだった。


「メル!?」


 ただ一人、怒った様に黙り込んだシュレムだけはやはり納得が出来ない様だ。

 そんな彼女にメルは……。


「出て行けとは言っても、船は使えるし元々すぐに出るつもりだったでしょ? それに話を聞いてる限りでは船に乗る時にお金は要らないみたいだしお礼は受け取ってるよ?」

「……それは……そうなんだろうけど……出て行けって」

「リラーグで同じような事が起きたらシルトさんだって同じことをする。相手は街を守らなきゃいけないんだから、これ以上は駄目だよ、ね?」


 メルの言葉に黙り込んだシュレムはふいっとそっぽを向く……それが、分かったという事だと思ったメルはほっと息をついた。

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