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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
9章 奪われた精霊の首飾り
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197話 シュレムの強襲

 メルは相手に下されている命令を逆に利用し魔物を倒すことを考えた。

 そして、安全に倒すために襲われたら逃げることを提案する。

 しかし、シュレムは何故か突っ込んで行ってしまい……。

 スプリガンと戦う事を強いられたメル達。

 しかし、彼女たちを悩ませたのは魔物ではなく……。


「おらぁぁああ!!」


 巨大な盾を振り回す仲間シュレムだった。

 そんな彼女を手助けするためリアスはシュレムと同じ魔法がかかった棒を巧みに操る。

 エスイルは精霊ドリアードを呼び出すと魔物の足をからめ取り、僅かではあるが時間稼ぎを行い、ライノの薬が飛ぶ。

 メルは魔物の苦手とする陽光の魔法を唱え続け確実に数を減らしていった。


「よし、後一匹!!」


 シュレムが叫ぶように確かに一匹に見える。

 しかし、相手は変化を得意とする魔物……油断はできないとメル達は思うのだが――。


「待ってシュレム!」


 制止の声を聞かず手入れをされていない髪を揺らしながら走る女性は魔物を捕らえるとその手に持つ盾をまるで鎚の様に振り下ろした。










「これじゃ、カロンの時と同じだ」


 リアスはシュレムへとそう告げる。

 肝心のシュレムは首を傾げ――。


「いや、オレだってちゃんと成長してるぞ、今回は皆居るし倒せただろ?」

「それは、そうだけど!」


 メルはそう言いつつも一つの事に気が付いた。

 以前シュレムに振り回された時は疲労感があった……しかし、今回はそれほどでもないのだ。


「だからってね、シュレムちゃん……戦う事は決まってもちゃんと警戒しないと駄目よ? 相手はどこから来るのか分からないんだから」

「大丈夫だ! メルとエスイルの耳があるし、精霊だっている。メルを取ろうとして憎たらしいがリアスだってその時はなんとかするだろ?」


 カラカラと笑う女性に対しリアスは引きつった笑みを浮かべる。


「俺はシュレムに信用されてるのか恨まれてるのかどっちなんだよ……」


 そう口にした後、彼は溜息をつくとメルの方へと目を向けた。

 リアスの視線に気が付いたメルは色々と言いたい事があるのだろうと感じた。

 しかし、ここで再び仲違いされても困るとも思い、耳と尻尾を垂らす……。


「……リアス」

「分ってる、結果的に悪くなかった。だけどな次からは控えてくれ……俺やメルが少し考えれば安全策があったかもしれない、いや実際あったんだ」


 シュレムはそれを聞くと以前の事を思い出したのだろうか? 気まずそうに頭をかくと……。


「……お、おう」

「とにかく、怪我は無くて良かったよ。でも本当に気を付けてね?」


 メルはほっとしつつも念を押し、シュレムの方へと近づく……。


 大丈夫、怪我は見当たらないし血の臭いもしない。


「分かったって! 悪かった!」


 妹でもあるメルに心配をされ、慌て始めたシュレムの様子に一同は笑い声を重ねる。

 やがてシュレムもつられ笑い始め……少し経つと表情を引き締めたリアスは口を動かした。


「そろそろ行こう、時間を取られた……急がないと間に合わないかもしれないな」

「そんなに!?」


 メルがリアスに尋ねるとシュレムは一瞬申し訳なさそうな表情を浮かべ、メルはそれに気が付いた。

 もしかしたら、自分が勝手な行動を取った所為ではないか……そう思っているのだろうか? そう考えていると……。


「ああ、今回はシュレムのお蔭で思ったより時間は喰ってないはずだ。だけど、シュレムここから先は余計な戦闘を避けたい、皆を護るように頼む」

「……あ、ああ!」


 シュレムが力強く頷いたのを見てメルもほっと息をついた。

 この様子なら喧嘩になる事はなさそうだと思ったからだ、とは言ってもカロンでの一件以降、メル達が仲違いしたことはない。


「それじゃ私とエスイルで耳を利かせてるね」


 メルはそう言うとライノの方へと目を向ける。

 これから先魔物を避けて通りたい、それならば適任の者が居る。

 その理由に気が付いたライノは微笑むと小瓶を一つ取り出した。


「それと、この薬を使いましょうか?」


 それは良い香りのする薬で魔物避けに使うとされる物だった。

 一行は魔物避けの香りを身に着けると急ぎツィーアへと向かうのだった。












 ライノの薬のお蔭もあり、今度は順調に進むメル達。

 彼女達はようやく、スプリガンに出会った場所を通り過ぎツィーアがぼんやりと見える場所までたどり着いた。


「ま、間に合ったのかな?」

「分らない、とにかく街に行って聞き込みをしよう」


 一同はリアスの提案を聞き首を縦に振り、急ぎツィーアへと向かう。

 門には勿論兵が配備されており、彼らはメル達を目にすると笑みを浮かべた。


「ツィーアへようこそ、何の様かな?」

「えっと探し物とルーフへ渡る船に乗りたいんです!」


 メルがそう告げると門兵は頷き答えた。


「そうか、では良い船旅が迎えられるよう私からも祈っておこう」


 彼はそう屈託のない笑みを浮かべた。

 メル達は取りあえず自分達の悪いうわさが流されていないことにホッとしつつ街に入る為、お金を手渡すと門をくぐり抜けるのだった。

 暫く街の中を歩いていたメル達。


「どうやって調べたらいいのかな?」


 エスイルはそんな事を口にした。


「適当に街の中を歩くしかないだろ?」


 シュレムは何を当然なことを……と言った風に首を傾げる。

 しかし、メルやリアス、ライノは目的を持ち街の中を歩いていた。


「まずは酒場……冒険者が集まるあの場所なら情報だってあるはずだよ!」


 そう、メルが口にした通りリアスやライノも探していた場所は酒場だ。

 理由も同じ情報収集のためだ。


「そうか! 流石はメルだな! なら酒場を探すぞ!!」


 シュレムは一人意気込むと街の中を見回し始めるのだった。

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