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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
9章 奪われた精霊の首飾り
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191話 ツィーアへと向けて

 道具を買ったメル達はその足でタリムから去ろうとした。

 すると彼を見送るつもりだったのかフィオがそこに現れたのだった。

 しかし、そんな彼女の想いに気が付かないリアス……。

 二人の様子に少し焼餅を妬いたメルは彼に心配され焦ってしまうのだった。

 タリムから出発したメル達。

 目指す街はツィーアと言う港町だ。


「どの位で着きそうなの?」


 メルはリアスの持つ地図を覗き込みながら問う。


「……あれ?」


 だが、地図を見るとメルは首を傾げた。

 その地図にはアルムから先……つまり、ツィーアまで何も書かれていない。

 それどころか、かつての地図をそのまま書き写したような物だ。

 メル達が実際に見た景色とは違う、その証拠に……。


「あら? フィオちゃんが攫われたのはこっちだったわよね?」


 同じように地図を覗き込んだライノは首を傾げながら問う。

 リアスの持つ地図には木々やがある事は記されて居なかったのだ。


「ああ、ここ数年こっちに来る人間は少ない。だから地図も昔の物をそのまま写しただけなんだ」

「……でも、リアスお兄ちゃん、それならこの先に何があるって分らない事だよね?」


 エスイルはその事に気が付くと不安そうな顔を浮かべる。

 当然だろう、嘗ての地図であれば今もそこにツィーアと言う街があるかどうかも分からないのだ。

 しかし、メルはそんな少年の手を強く握り――。


「大丈夫だよ」


 ――と語り掛けた。


「メルお姉ちゃん、どうして大丈夫だって言えるの?」


 当然の疑問にメルは誇った様に笑みを浮かべた。

 メルにはこの先にツィーアがあると確信していたのだ。

 しかし、彼女はここタリムの方に来たことはない、リアスならともかくメルがこの先にツィーアがあると言い切れないはずなのだ。


「……確かに大丈夫だけど、なんでメルが言い切れるんだ?」


 リアスも疑問に思ったのだろう、首を傾げつつ彼女に聞くとメルは尻尾を振りながら答えた。


「実はね、リアスの持ってる地図だけど……それと違うものをあの二人が持ってたの! 詳しくは覚えてないけど今リアスの持っている物と地形何かが違うし間違いないよ!」

「違うものだって!? 流石はメル、オレの嫁だ!!」


 これから進むに辺り、安心できる情報ではあったが大げさに喜ぶのはシュレムだ。

 彼女はメルに近づくと抱きつかん勢いだったが、流石にエスイルの手を握っているからかそこはどうにか踏みとどまったようだ。


「う、うん……」


 しかし、メルは思わず一歩後ろへと下がり、警戒するように尻尾を少し立てた。


「落ち着けシュレム……確かにメルのお蔭で皆も安心できるけど、ツィーアはこの先にちゃんとある」


 リアスは溜息をつきながらシュレムを嗜めるようにそう言うと地図をしまい込みメルの方へと目を向けた。


「ツィーアまでは急いで一日、タリムを通らずに遠回りするなら二日……夜までかかるはずだ。船は毎日、朝昼晩と三回出てる」

「じゃぁ……」


 メルが表情を明るくするとリアスは頷く。


「ああ、十分間に合う」


 その言葉は何よりも頼りがいがあり、メルはほっとするような感じがした。

 やはり、首飾りを盗られたという事は彼女自身思う所があったのだ。

 いくらあの時、首飾りを持っていたのがリアスであろうと、最後に立っていたのはメルなのだから……。


「じゃ、行こうぜ! さっさと首飾りを取り戻して戻ってこよう!」

「い、いや……そのままルーフに行くからな?」


 シュレムに苦笑いをしながらリアスはそう伝える。

 そんな何時ものやり取りの中にもようやく少し笑みが戻っていた。

 一行は頷き合うとツィーアへ向け歩み始めた。









 タリムを出て太陽が真上に来る頃。

 メル達はそろそろ食事を取ろうかという話をしていた。

 いくら急いでいたとしても食事をとる時間位はある。

 事実そうであり、食事を取ることに決まった一行は準備を始めていた。

 そんな時――


「ん?」


 物音がし、メルは振り返る。

 魔物だろうか? 警戒をしていた彼女の目に映ったのは……。

 メル達の食料へと近づく一匹の犬だった。


「い、犬?」


 幾ら余裕があるとは言っても貴重な食料だ。

 メルは干し肉を一つ取り出すとそれを犬の前で振り気が付かせると遠くへと放り投げる。

 素直にそれを追って行く犬に可愛らしいと思いつつもメルは首を傾げた。


「なんでこんな所に犬が?」


 街の外には当然魔物が居る。

 群れで生活をする狼や犬型の魔物ならともかく、今そこに居たのはただの犬だ。


「どうしたの? メルお姉ちゃん」

「うん、今ここに犬が……」


 エスイルにそう伝えたメル。

 ふと、あの犬は迷子なのではないか? そう思い視線を犬の方へと向けた。


「あ、あれ?」


 だが、そこに犬の姿はなく……すぐそばで再び物音がした。

 戻ってきたのだろうか? メルは振り返ると――。


「――メルお姉ちゃん!!」


 エスイルが悲痛な叫びを上げ、メルもまたその理由に気が付いた。


「――なっ!?」


 彼女はエスイルを抱えると慌てて大地を蹴りその場から離れる。

 そう、そこには魔物が居たのだ。

 オーク並みの体躯を持ち丸太の様な太い腕を振り落とす魔物。

 もし、気が付くのが少しでも遅れていたら……メルはそう思うとぞっとするが――。


「でも、一体どこから!?」


 物音を聞き駆けつけた仲間達もまた魔物を見て驚きの声を上げる。

 それもそうだろう、それだけ大きな魔物が近づいている事を気が付かないという事は無い。


「メル! こいつは……!?」


 そう問いながら、盾を構えたシュレムはメル達を守る様に立つ。


「分らない、急に現れたの!」


 そして、メルは腰にあるアクアリムを鞘から滑られ問いに答え――。


「でも、魔物相手ならやることは一つだよ」


 そう言いアクアリムを握りしめた……。

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