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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
9章 奪われた精霊の首飾り
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189話 シュレムの盾

 騎士から首飾りを取り戻すことはできるのだろうか?

 ましてやあの騎士達と鉢合わせになり、無事でいられるのだろうか?

 メルは不安を抱えたのだが……。

 リアスはメルがかつて彼から首飾りと取った時の策で行こうというのだった。

 翌日、武具店へと再び向かうメル達。

 店の中へと入ると店主はすぐに大きな盾を取り出した。


「待たせたな」


 笑みを浮かべ盾に掛けられた布を解いて行く店主……そこにあったのは修復されたシュレムの盾だ。


「待ってなんていません、ありがとうございます!」


 メルは喜ぶが、シュレムは複雑そうな顔を浮かべた。

 店主はその表情を読み取ったのだろうか、申し訳なさそうに頭をかき――。


「うちじゃこれで限界だ。そもそもこの盾を作った奴は相当の腕だろ? 直せただけで運が良かったと思ってくれ」

「それはそうだけどよ」


 メルは不満そうなシュレムの服を引っ張る。

 すると、シュレムは嬉しそうな顔で振り返るが――。


「シュレム、無理言って直してもらったんだよ? 他にもお仕事あったはずなんだからね」


 そう嗜めるようにメルが口にするとシュレムは途端に表情を変え、店主へと視線を向けた。


「これで良い」

「手の平返すの早いなお嬢ちゃん……」


 呆れた様子の店主だったが、盾を本来の持ち主へと返すと笑みを浮かべた。


「一応言っておくが、その盾は前ほど頑丈じゃない。とは言ってもうちの店で出来る事はした。そこらの盾よりは頑丈だ……だが、次に壊れた時は直せないぞ大事に使えよ?」

「「助かりました(助かったよ)」」


 店主にそう返すのはメルとリアスだ。

 事実、シュレムの盾に幾度となく助けられてきたのだ。

 彼女が動けるようになるだけで戦力は上がる……いや、正しくは戻る。

 それだけでもメルの中ではあの二人の騎士に少しでも対抗出来るかもしれない。

 そんな、淡い期待も生まれる程に――。


 だけど、それはただの私の願いみたいなものだよね? 実際にはあの人達は強いし……。

 私はどうやって追い払ったのかも分からないし、それを知ってるはずのウンディーネは喋れない。

 リアスの作戦が上手くいけば良いけど……なんか嫌な予感がするよ。


「どうしたお嬢ちゃん、難しい顔をして……もしかして、気に入らなかったか?」

「あ、いえ……そう言う訳ではないです」


 メルは慌てて否定をするとライノは笑みを浮かべた。


「悩む年頃なのよ? それよりもあれは何かしら」


 店の中の一点を指差す。

 メル達も釣られ視線を動かすと其処にあったのは奇妙な物だ。


「あーあれか……」


 店主は頭をかきつつ、それの元へと向かうと手に取りメル達が見やすいように机の上に置いた。


「マジックアイテムですか?」


 見た事もないそれにメルは普通の武具ではない、そう決めつけ聞くと店主は首を振る。


「でも、こんなの僕見た事無いよ?」

「当たり前だ……タリムの王が残していた手記にあったものなんだが、どうやらこいつは投げて使うらしい」


 投げて使う? でも店主さんが言ってる通りこれじゃどう考えても……。


「これじゃ、対して意味がないだろ? それに鉱山何かで普通に使うとしても小さ過ぎねぇか?」


 こればっかりはシュレムも使えないと判断したのだろう、苦笑いを浮かべつつそう言う。

 しかし、店主は頭をかき――。


「これをデカくしちまったら、それこそ大惨事になりかねない。それに火薬の量だって無駄に多すぎる」

「確かにな……このまま大きくしたんじゃ崩落事故を起こすこともありそうだ……でも、タリムの王は何でこんなものを作ろうとしたんだ?」


 リアスの言う通り、何故こんなものを作り出そうとしたのか……それを考える一行だったが、首を傾げるだけで何も思いつかない。

 一応は身内であるメルも彼については知らないも同然だ。

 ただ唯一分かっていたのは世界をあの分厚い雲で覆い支配しようとしていた事だけだ。


「もしかしたら、魔法かなにかを付加して対魔物様に使うつもりだったのかもしれないな、っと前も思ったんだが、そんな物は必要ないだろうしなぁ……ただ大きな音が鳴るだけで――」


 大きな音? メルはその言葉に反応しピクリと尻尾と耳を揺らす。


「そんなに大きな音なんですか?」

「ああ、これは小さな爆弾が繋がってるだろ? だから破裂音が何度も聞こえて初めて聞いた奴は大抵驚く」

「なんか、シュレムお姉ちゃんが好きそうだね?」


 エスイルはあははと笑いながら、シュレムの方を見ると其処には目をらんらんと輝かせる女性の姿があり、一歩後ろへと足を動かした。


「ああ! 使えないって事は危なくないって事だろ! だったら、いくつか買っていって親父達に怒られそうになった時にそれを使って驚いてるうちに逃げてるじゃないか!」

「いや、まったく危険が無いって訳じゃないと思うのだけど……ねぇ? メルちゃん」


 ライノはメルへと同意を求め、彼女の名を呼ぶ。

 しかし、メルは黙り込んでおり――。


「メルちゃん?」

「……それ、使えるかも」


 メルの言葉にシュレムは喜んだ様子だ。


「そうだろメル!! でも、珍しいな? いつもならそういう事しない方が良いって怒るのに……」

「いや、メルにまで怒られるならそんな事、考えない方が良いんじゃないか?」


 二人の会話を聞きメルは慌てた様に首を左右に振る。

 別にシュレムのやろうとしたことを肯定した訳ではないのだ。


「勿論シアさん達に使うのは駄目!! だけど、その音でビックリはするんですよね?」

「あ? ああ……たいていの人間は何が起きたのか驚くと思うぞ、事実俺が手違いで火をつけちまった時何事かって飛び込んできた奴が居たからな」


 メルは大きく頷き、尻尾を大きく一回揺らす。

 そして、その顔に自信を持たせると――。


「なら……それで隙を作れないかな?」


 リアスへと尋ねた。

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