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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
9章 奪われた精霊の首飾り
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188話 騎士の目的

 フィオへと騎士の事を尋ねるメル達。

 だが、彼らが何処から来たのはか分からなかった。

 ただ唯一分かった事はどこかの国への対抗の手段を探しているとの事。

 それが理由で首飾りを狙ったのだろうか?

 フィオから情報を得たメル達は一旦宿へと戻り、部屋の中で話していた。

 他にも情報が欲しかったのだが、残念ながらフィオはそれ以上分からないとの事だった。


「どこかの国……か……」

「本当に騎士なのか分からないけど、少なくともこのメルンの人間じゃなさそうね?」


 呟くリアスにライノ。

 メルは彼らの言葉を聞きつつも、首を傾げた。

 確かにメルンの者ではない。

 だが同時にフォーグの人間でもない……いや、正直な所彼女に言い切れる訳もないのだが、メルはそう信じていた。


「やっぱりツィーアって場所に行かないと分からないのかな?」

「そうだな! オレの盾も優先してくれるみたいだし、直ったらすぐに行こうぜ!」


 エスイルとシュレムはそうは言うが、メルは一つの懸念があった。


「メル?」


 そんな彼女の様子に気が付いたのか、リアスはメルの顔を覗き込む。


「あ……うん」

「どうしたんだよ、メル!」


 シュレムも負けじとリアスを押しのけメルの顔を覗き込み、訪ねる。

 するとメルはゆっくりと口を開いた。


「もし……もし、だけど、あの人達とツィーアで鉢合わせになったらどうなるんだろう?」

「…………」


 メルが口にした事、それは考えなくてはならない事だった。

 事実メル達は何とか無事ではあったが、負けている。

 相手とは圧倒的な実力の差があったのだ。

 もし、メルがあの時精霊召喚を行えていなかったら……。


『仲間だって死ぬかもしれない……』


 メルの脳裏に思い浮かぶ言葉は母ユーリの言ったそれだ。


「首飾りを取り戻す……それは分かってる。でも……今の私達じゃ適わないよ?」

「…………そう、だな」


 リアスはメルの言葉を受け、その表情を曇らせた。

 彼自身、今メルの言った事を理解していたからだ。


「でもよ、あの時は俺が戦えなかったろ?」


 シュレムは笑いながらそう言い、普段なら頼もしい姉の姿だったが……。


「それでも、例えシュレムが盾を持ってても私達は負けてたよ」


 メルは非情な現実を噛みしめていた。


「確かに、メルちゃんの言うとおりね……でも、どうするの? このまま諦める?」


 諦める……それが出来たらどんなに楽な事だろうか?

 そもそも現状ではメル達の実力を遥かに超えている……母達に頼った方がいいのではないか?

 そんな考えがメルの頭に浮かんだ。

 しかし、ふとリアスの方へと視線を向けたメルは――。


「……何か手はないかな?」


 彼の顔を見るなり、急に不安を感じ逃げるという言葉ではなく、そう口にした。


「何か手はないかって言われてもな……オレはぶん殴って取るのが一番楽だと思うぞ」


 返ってきた作戦とは言えない作戦にメルはがっくりと項垂れ、力無く尻尾を垂らす。

 確かにそれが出来れば一番手っ取り早い。

 しかし、それが出来ないのだ。


「手か……」


 考え込む一同の中、リアスははっとすると――メルの方へと向く。

 彼の顔を見て何か良い手が浮かんだのだとメルは感じ、表情を明るくさせた。


「何か言い手があったのかしら?」


 ライノはリアスに尋ね。

 リアスはニヤリと笑う……その表情に何処か嫌な予感を感じたメルは恐る恐る耳を傾ける。


「メル、リラーグで俺から首飾りを取った時のことを覚えてるか?」

「……え?」


 それはリアスとの出会い。

 忘れるはずもない……メル自身が彼を勘違いし、その所為で迷惑をかけたのだから。


「そんな事あったの? メルお姉ちゃん」

「う、うん勿論……お、覚えてるよ?」


 弟にも問われ、思わず覚えてないと喉ま出かかった言葉を飲み込むとメルは答える。


「あれで行こう」

「え?」

「だから、俺達で隙を作ってメルが奪い返す」


 確かにそれならば後は逃げるだけだ。

 簡単ではないだろうが、戦うよりは安全の確率は上がる……しかし――。


「どうやって首飾りを出させるの!?」

「俺に考えがある」


 その考えを言ってほしいのに……メルはそう思うがそれ以上聞けないという事は彼自身その策が漏れる事を気にしているのだろうと思い、メルはそれ以上問う事は出来なかった。


「だから、その考えってなんだよ!」

「うっかり口にしない為に黙ってるんだよ……」


 だが、シュレムはそんな事を考えず問い、メルが想像した通りの言葉でリアスは返す。


「ああ、なるほど……意外と頭いいなお前」

「シュ、シュレム……」


 姉の上から目線なその言葉にメルは顔を赤くする。

 何故、こうなのだろうか? そう思う彼女の様子を見てなのか、そうではないのか少し引きつった表情を浮かべたライノは――。


「じゃぁ、とにかくシュレムちゃんの盾が戻ったら、出発ね?」

「うん!」


 エスイルは元気よく頷き、彼のその雰囲気に釣られた一行。

 その中、メルは表情を引き締めると――。


「でも、リアス……危険だと判断したらすぐに逃げて……首飾りは大事だけど取り返す隙はきっと来るはずだから」


 リアスへと忠告をしつつ彼の手を握る。


「………………ああ」


 しかし、随分と長い沈黙の後、頷いた彼に不安を感じるのだった。

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