表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
9章 奪われた精霊の首飾り
195/486

187話 フィオ

 ウンディーネに何が起きたのか?

 それを聞く為にも首飾りが必要だと考えたメル達は旅立ちの準備をするために武具店へと向かう。

 だが、盾が直っている訳もなく……。

 メルは店主へと急ぐことを告げると彼はすぐに取り掛かってくれるとの事で翌日に取りに来いと言ってくれたのだった。

 武具店の店主に約束を取り付けたメル達。

 タリムの中をゆっくりと歩きながらメルはふと気になった事を口にしてみた。


「ねぇ、フィオさんの様子を見に行ってみない?」


 それは先程井戸のところで会って逃げて行った女性の事だ。

 彼女としては合わせる顔が無いのだろうが、メルとしては別だ。


「あの人達に何かされていないか心配だし、一応体調を確認した方が良いと思うの」

「……悪いなメル、迷惑をかけたのはフィオだって言うのに」


 その言葉にリアスは申し訳なさそうにそう口にし、メルの頭を撫でる。

 突然の事に驚くメルだったが、嫌ではなかったのだろうされるがままに撫でられていると……。


「おい……人の嫁に何してるんだ?」


 険しい顔つきになったシュレムはリアスの腕を掴み唸るような声で怒りを伝える。

 そんな彼女に対し――。


「いや、シュレムは女だからな?」


 リアスは呆れつつ一行のお決まりとなった言葉を告げたのだった。


「あはは……でも一体何処に居るんだろう? さっき会った時は何処かに行っちゃったよ?」


 エスイルはそんなやり取りを見て笑みをこぼしつつ首を傾げる。

 確かにフィオの行き先を知る訳がないメル達は顔を見合わせ考えるのだが――。


「取りあえず……アニィちゃんの家に行ってみない? お友達なのよね?」

「ああ、そうしよう……昨日の今日であそこには行かないと思うし、アニィの所が一番可能性がある」

「じゃぁアニィさんの所に行こう!」


 メルは意気揚々と声を上げると歩き始める。

 しかし、彼女は迷子になりやすいユーリ、ナタリアからそれを継いでおり……。


「メ、メルお姉ちゃん!?」

「そっちは全く逆方向だ……」


 リアスとエスイルの言葉を聞き顔を真っ赤に染めたメルはすぐに顔を伏せるとくるりと身を回転させ、反対方向へと歩き出す。


 な、何でいつもこうなるの!!

 シルフ達もそろそろ戻って来てくれていいのに……。


 いつもであれば、道を示してくれる精霊シルフ。

 彼女さえいればこんな事にはならなかったと思いつつ、自分の家系にある呪いじみたその弱点を恨むのだった。






 メル達は目的の場所であるアニィの家へと辿り着くと扉を叩く。

 すると顔をのぞかせたのは以前に事件の真相を教えてくれた女性アニィ本人だ。

 彼女はメル達を見ると驚いたように瞳を丸めた。


「リアス!? それに……」


 リアス、そしてメル達へと視線を動かした彼女は引きつった笑みを浮かべつつ……。


「もしかして、フィオですか? その、悪かったと反省はしています! だから……余り怒らないで上げてください」

「お、怒る? そんなつもりはないよ、ただ気を失ってたし、何か異常がないか聞きに来ただけだよ?」


 メルはアニィにそう伝えると意外そうな表情を浮かべた彼女は後ろへとチラチラと視線を送る。

 恐らくこの家の中にフィオは居るのだろう。


「お、怒ってないんですか?」

「メルは怒りはしないよ」


 リアスの言葉を聞きほっとした様子のアニィ。

 メルはそんな彼女の様子にもしかして自分がすぐ起こる様な怖い人物とでも思われたのだろうか? と不満に思いつつも笑みを浮かべようと努力をする。


「……あ、あの、本当に怒りませんよね?」


 メルの顔を見て少し震え始めたアニィにメルは頷き――。


「大丈夫だよ?」


 何故か母フィーナのような口調になってしまっているな、と自身でぼんやりと考えた。


 それからメル達はアニィの案内の元、家の中へと招かれる。


「アニィ! 誰……だっ……た……?」


 友人が戻ってきたことにホッとした様子のフィオは顔を跳ね上げ、その名を呼ぶがメル達を瞳に捉えると途端に顔を青く染め――。


「ア、アアアアアアアアニィ!?」


 酷く狼狽した様子の彼女は友人、リアス、メルの間に視線を彷徨わせる。


「そ、その……この人達がフィオの事を心配してたから、ね?」

「ねって、ね? って!?」


 アニィへと掴みかからん勢いで近づいたフィオ。

 その様子を見てリアスは呆れたように溜息をつき口を開いた。


「この様子じゃ大丈夫みたいだな?」

「う、うん……元気みたいでよかったよ」


 攫われた時何かされているのでは? そんな不安があったメルだったが、フィオは何処か問題がありそうな雰囲気はない。

 メルは安心する反面ふと気になる事が浮かんだ。


 そういえば、フィオさんはあの二人になにかをされようとしてたんだよね。

 私達が駆けつけた時はもう気を失っていたけど……もしかして、何か知ってることもあるんじゃ?


「あの……」

「な、なに!?」


 フィオへと声をかけたメルは警戒された事を悲しみつつも先程思い浮かべた事を尋ねる。


「貴女を攫った二人組……その事についてちょっと聞きたい事があるんだけど……」

「わ、私を脅したってリア……って、え?」


 一体なにを言いかけたのだろうか? メルは疑問に思いつつももう一度彼女に同じことを尋ねた。

 すると意外そうな表情を浮かべた女性は――。


「分らない、ただ……どこかの王国の騎士だって事は聞いていきなり、斬りかかられた……一番近い国と言ったらリラーグだけど騎士がそんな事するはずないし……」


 確かにリラーグの騎士達がそんな事をすることはないだろう、そもそもリラーグにいるのは兵士と冒険者だけであり、騎士と呼ばれる者達は居ないのだ。

 それはメル自身も分かっている事だ。

 それ所か、もしリラーグの騎士であればメルの事を知っているはずだ。

 エルフの使者の娘に手を出すことはないだろう……そもそもメル自身あの剣を見たことが無い。


「他に何か分かることはない?」

「ほ、他に? うーん……確かなんとかの国への対抗手段の手伝いとか言ってたような? 怖くなって逃げようとしたんだけど……」


 彼女の表情が暗くなり、メルは其処で口を閉ざした。

 おそらくその時にフィオは気を失ったのだろう……そう察したからだ。


 でも、何処の国への対抗を? もしリラーグならママ達に何か話があるはず。

 じゃぁフォーグ? それでも援助を求められるはず……じゃぁ、一体どこの国と戦ってるの? あの人達は……

 そして、それに首飾りや人を使った実験が必要だって言うの? なんかよく分からないよ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ