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178話 騎士?

 まるで騎士の様な仕草をする二人。

 メルは皮肉を込め騎士の様だというが、果たしてその実力は?

 メル達は無事、フィオを守ることが出来るのだろうか?

 リアスは男性にメルは女性に振り下ろしたそれぞれの武器はいとも簡単に防がれた。


「え!?」


 それは驚いた事に武器で防いだのではなくもう片方の手に身に着けていた小手で防いだのだ。

 隙が出来た。

 そう思いメル達は焦りを見せるのだが、二人は刃を振りほどくだけだった。


「こらこら、まだ名乗っていないだろ?」

「人を騎士って言っておきながら名乗らせないなんて失礼な連中だね」


 まだふざけているのだろうか? 二人は笑いつつ名を名乗る。


「俺はケルス……そして」

「私はアシェリーだ」


 二人は名乗り終えると同時に走り出し――メル達は武器を構える。

 しかし、彼女達の視線が自分達に無い事を察した二人は振り返ると仲間の名を叫ぶ。


「ライノ!!」

「エスイル逃げて!!」


 ケルスとアシェリーが自分達の横を通り過ぎるのとほぼ同時に二人の名を叫んだ。

 いつもなら盾を持ったシュレムが居る。

 その安心感があった……しかし今のシュレムは丸腰だ。

 いくら体術が使えても限度があるだろう。


「あら……逃げてとは無理な相談ね」

「う、うんっ!!」


 だが、二人は逃げる様子もなくライノは薬瓶をエスイルは傍に従えたシルフへと目を移す。

 戦うつもりなのだろうか? いや、正しくは逃げられない故に戦うしかないのだろうか?

 メルとリアスはケルスとアシェリーを追う、しかし――。


 は、速い……!!

 本当に鍛えられた騎士みたいだよ!?


 メルは一向に追いつけず、思わずそう考えた時。

 その瞳に奇妙な物を捕らえた。


 ん? なに……あれ?


 それはアシェリーと名乗った女性の腰にある布。

 その裏地に模様が見えたのだ。

 裏地に模様がある服というのは珍しい、いや、普通ならその模様を見せるように身に着けるはずだ。

 メルはケルスという男性の方へと視線を向け、目を凝らしてみると……やはり身に着けている布の裏に何か模様がある。


 わざと裏返しにしてる? って、今はそれどころじゃ!!


「エスイル!!」


 メルはワザとじらすように待つ二人の敵に恐怖を抱きつつ弟の名を叫ぶ――すると――。


「オレを忘れてもらった困るな!!」


 フィオを守っていたシュレムはエスイル達の前へと躍り出て二人を迎え撃とうとしていた。

 しかし、武器を持たない彼女ではそれは無謀だろう――。


「馬鹿!! シュレム下がれ!!」


 リアスの言葉に眉を吊り上げた彼女は――。


「弟やライノの旦那を見捨てられるかよ!!」


 と叫ぶ――と同時に……。


「皆伏せて!!」


 エスイルの声が響き――メル達は驚きつつも伏せる。

 すると突風が吹き荒れ……ケルスとアシェリーはその体勢を崩したが、すぐに持ち直すとわざとらしい態度を取り驚いて見せる。


「驚いた、こんな少年が精霊召喚が出来るとはな」

「しかも、自分の背中に隠しておくなんて面白い事をする」


 メルは三人が助かった事にホッとしつつも、嫌な汗をかく……。


 この人達……強い、今のだってエスイルが居なかったら皆……私達、勝てるの?


 不安を募らせるメル、そんな彼女の心情を知ってか知らずかリアスは視線をメルへと送る。


「リアス?」

「大丈夫だ……」


 その言葉はなにをもって大丈夫なのか分からなかった。

 しかし、メルには温かく信頼できる言葉である事は変わらず……彼女は力強く頷いた。


 そうだ、私には皆が居る。

 一人で戦ってきた訳じゃない……勝つことは無理でも逃げる事ならきっと!!

 でも、どうすればフィオさんを連れて逃げることができる?

 今できることは……。


 メルは必死に思考を働かせている最中、アシェリーと名乗った女性は身を翻しメルとリアスの元へと刃を構えつつ駆けてきた。

 まるで稲妻の様にも見えるその美しくも恐ろしい一撃を何とか避ける事が出来た二人は苦いものを口に入れたかのような表情を浮かべつつ女性を睨む。


 なんだろう? 何か引っかかる。

 力強い一撃だけどフィーナママとは違う……ママは我流なんだろうし、違うのは当たり前なんだけど……。


 通常冒険者……いや、剣士とは師から弟子に剣術を受け継がれる。

 だが、稀にその才能だけで剣術を磨き上げる者がいる……それがメルの母であるフィーナだ。

 フィーナは幼い頃、ロクな剣術も教えてもらえずただ生き残って見せろという言葉と共に武器や少しの食料を与えられたという。

 その時、それまでに見て来たマリーやゼル達兄弟、そしてナタリアの戦い方を参考にはしたとメルは聞いていたが……


 この人は違う、きっと師匠か誰かに教えてもらってる。


 二撃、三撃とかわしていく内にメルはそう確信づいたものを感じた。

 だが、一つ新たに気になる事もあった。


 魔物相手に戦うには綺麗すぎる? なんか、剣を振る一つ一つの動作が妙に細かい。

 確かに、鍛えられてるから避けるのも精一杯だけど……これ、魔物に通じるの?


 生き残るための手段である武器の扱いは繰り出す攻撃の速さも重要だ。

 しかし、メル達が辛うじて避けられている程度には動作は読みやすく一貫性があるのだ。


「……そういう事か」


 メルの疑問の先に行きついたのだろうか、リアスはアシェリーの一撃を避けた後、眉をひそめつつ呟いた。


「お前達、その剣……王かなにかに捧げる舞かなにかだろ? ってことは本当に騎士だな? 騎士が何でこんな非道な事をしてる!!」

「え……騎士?」


 彼の思いがけない言葉にメルは戸惑い、アシェリーとケルスはぴたりとその動きを止めた。

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