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174話 捜査

 フィオを探すことになったメル達。

 しかし、彼女の行動を辿るも、何処にいるかは分からない。

 はたして、無事なのだろうか?

 井戸から離れた一行はフィオの友人という女性の住む家へと尋ねる。

 現れた女性はメル達を見て慌てた様子で当時の事を話した。

 そんな彼女を見てリアスは「変だな」っと呟き、メルは何処が変なのか見逃さないよう彼女を注視する。


「え、ええと……フィオはその、いつも私を起こしに来るんです」


 彼女の話を不安そうな表情を浮かべ聞いているフィッツ。

 しかし、メル達は違った。

 彼女の様子はおかしいのだ……決してメル達と目を合わせようとせず。

 視線をあっちこっちに送り、やたらと手をバタバタとさせ……何かを隠しているのは見て取れた。


「あの……」

「っ!? は、はい!!」


 メルが声をかけると女性はびくりと身体を震わせ、いよいよおかしいと感じたメルは問う。


「お名前……聞いてなかったんですけど……」


 その問いが自身の名前の事だと分かり、ほっと息をつく女性はメルへと微笑むと――。


「そ、そうでしたね、わたしはアニィです」


 先程とは違いはっきりとした受け答え、もし友人が本当に行方知れずになっているなら話題を変えただけでここまで変わるだろうか?

 メルはそう考え再び問おうと口を開いた瞬間。


「待て……」


 シュレムが一歩前に進みメルを止める。


「シュレム?」


 彼女もおかしい事に気付き自分が聞くとでも言うのだろうか? とメルは引き下がる。


「アニィさん、今夜空いてますか?」

「はい? えと……い、いえ今日は用事が……」

「「「「……………………」」」」


 一瞬何を言っているのか分からなかったメルだったがすぐに理解すると冷めた視線をシュレムへと向ける。

 リアス達も同様に呆れているのだろう、四人はそろって黙り込むとシュレムは振り向き――。


「あ……」


 と一言だけ呟いた。

 それにメルは大きなため気を返すとシュレムの横へと並びアニィへの質問を口にした。


「フィオさんは何処ですか?」


 率直な質問にアニィはびくりと肩を震わせる。

 そして、何かを恐れるようにメルを見つめその視線は彼女の腰にある剣へと流れる。

 冒険者を恐れているのだろうか? メルは笑みを見せた。


「大丈夫ですよ、貴女を傷つけることはしませんから」

「へ? 何を言っているんだ冒険者様、何でアニィちゃんがフィオの事を知ってるって……」


 メル達の会話に入り込んできたのはフィオの父であるフィッツだ。

 彼は気が付かなかったのだろうか?


「アニィは変だった……それもフィオの話になるとな、もし本当にフィオが居ないならアニィは泣いても良いはずだ」

「リ、リアス……はぁ……」


 父であるフィッツは騙せてもリアスは騙せないと理解したのだろう、溜息をついた彼女は――。


「実は昨日、フィオが家に来て……リアスが戻って来たって喜んでたんです。でも、どうしても以前みたいに話したいってだからその……朝、自分が居なくなったって事にしてって……」

「な、なんだって!?」


 アニィの告白に驚きの声を上げたのは探し人の父であるフィッツだ。

 彼はアニィの肩を掴み前後に揺らす。


「それは本当なのか!? あの子がそんな馬鹿な事を!?」

「お、おおおじさん落ち着いてください!?」


 アニィは揺られつつもそう告げるとやっと方から手を離したフィッツに頭を下げメルやリアス達の方へと目を向けた。

 そして、再び深く頭を下げた彼女は――。


「すみません、村の中だと見つかるかもしれないって……いつもの場所に居るの……」

「はぁ……仕方ない、迎えに行こう」

「う、うん」


 ひ、人攫いじゃなかったみたいでよかったけど……なんでだろう、素直に喜べない結果だよ。


 メルは苦笑いを浮かべて頷く、ライノも同じなのだろうか? 苦い物を口に入れた様な顔になっていた。





 フィッツ、そしてアニィとフィオが待つ場所へと一行は向かう。

 タリム近郊にあるそこにはどうやら食べられる野草が豊富にある様だ。

 メル達は感心しつつも辺りを見回すと小屋を見つけ――。


「休憩小屋なんですがあそこにフィオが居るはずです」

「フィオ!!」

「フィッツさん待ってください!」


 メル達も慌てて追うのだが、フィッツは小屋へと逸早く辿り着くと扉を開け放ち……。


「………………」


 その場で固まっている。

 メル達は首を傾げつつも嫌な予感を感じ、小屋へと近づくと――。


「どうしたの? おじさん」


 エスイルはそう尋ねつつ小屋の中へと目を向ける。

 メル達も覗き込んだ所で彼が固まっていた原因を理解した。


「な、なに、これ……」


 何者かがここにあった机や椅子を壊したのだろうか? 折れた木材や割れた家具。

 抵抗をした時に敗れてしまったのか、布の一部がそこに落ちていた。

 更には赤い血液らしきものも少量残っており――。


「……血が乾いてる……結構時間が経ってるみたいだよ」


 メルは血痕を調べつつ呟いた。

 そして、机を調べていたリアスやシュレムは険しい顔で口にする。


「魔物じゃないな……」

「ああ、爪の跡がない……が剣の跡はある! ってことは」


 ――人の仕業だ。


「う、嘘だ……本当にフィオが……」

「メルちゃん、二人を一回村に戻しましょう、そしてもう一度ここに来るの」

「うん! そうしよう皆!」


 ショックを受けるフィッツと言葉を失ったアニィの二人をタリムへと送り返したメル達は再びこの小屋へと戻る。

 そして、改めて調査を始めるのだった……。

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