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173話 フィオは何処に?

 状況を整理するためフィッツの家へと向かうメル達。

 しかし、そこに居た彼の妻は冒険者を雇う金はないという。

 だが、メル達は十分に報酬をもらったと言い、依頼を受ける事を告げるのだった。

 フィオの部屋へと足を踏み入れたメル達は早速部屋の中になにか残されていないかを探し始めた。

 しかし、フィッツが宿に来た時にすでに口にしていた通り、荒された形跡はなく……。


「綺麗なまま……この加護を持っていくんですよね?」


 残されているという籠を指差しフィッツに問う。

 メルの質問に夫婦は頷き答えた。


「窓も締まってるが……ガラスは入れてないのか?」


 シュレムの質問に二人はゆっくりと首を振った。


「元々は合ったんだ。だけど割れた後、直すことは出来なくてね……」


 フィッツの言葉を聞き、メルは首を傾げた。

 この村……タリムはナタリア達にとっても特別な場所だ。

 そうでなくてもリラーグが支援をしている。

 窓を直したいと言えば比較的安い値段で直すことができるはずなのだ。


 それをしないなんて、タリムってもしかして私達(リラーグの人)が思ってる以上に苦しんでるんじゃ?

 お金も食料も……。


 メルは今まで知りもしなかった事実を目にし、尻尾から力を抜く……。

 だらりと垂れたそれを目にしたのだろう、リアスは彼女の肩へと手を乗せ小さな声で呟いた。


「俺達が自ら言ったんだよ。必要以上の支援は受けないって……幸いなことに治安は悪くなかった」

「そうなの?」


 その言葉はエスイルにも聞こえ彼もまた小さな声でリアスへと問う。

 その問いに頭を撫で微笑むみつつ一回頷いたリアスはガラスの無い窓を睨み――。


「あれなら窓を開けるのも閉めるのも簡単だ」

「だとするとあそこから入って出たって事かしら?」


 ライノは徐に窓へと近づくと鍵を外し、ゆっくりと開けてみる。

 恐らくそうやって開けたと考えたのだろう――しかし……。


『ギィィィイィィィィイィイ……』


 立て付けが悪いのか、油が足りないのか、ライノがどんなにゆっくり動かそうが、早く動かそうが部屋の中に――いや、辺りには大きな音が鳴り響いた。


「なぁ、ライノの旦那、何遊んでるんだ?」

「失礼ね! 遊んでないわよ!!」


 シュレムの発言にライノは思わず叫びつつ返すとすぐにため息をついた。


「とてもじゃないけど、こんなに音が鳴るんじゃここからって言うのは無理ね」


 ライノの意見にメル達は揃って頷く。

 無理もない……いくら寝ていようが、起きてしまうような音だったのだ。


「でも……それじゃ……」


 メルは改めて部屋の中へと目を向ける。

 そこには綺麗にされている部屋しか見当たらず。

 魔物が暴れたりフィオと言う女性が抵抗した様子もなかった。


 これじゃ、どうして攫われたのか……分からないよ。


 メルは思わず口に出そうになったその言葉を何とか心の中に留める。


「なぁ、フィッツさん、フィオの奴は朝外に出るとかは無いのか?」

「そ、外? ああ、そう言えば時々顔を洗うために井戸の水を汲んでる……」

「井戸……?」


 メルはフィッツの方へと目を向けると彼は――。


「そうだ! 思い出した。そう言えば昨日汲んでおくのを忘れてて朝汲みに行くと言っていたんだ!」

「おっさん! 早く言えよ! そっちに行ってみようぜ!!」


 シュレムは呆れつつもメル達に振り返るとそう口にした。

 珍しくもそんな態度を取った彼女に驚きつつも――。


「すみません、その井戸は何処ですか?」


 メルはフィッツに尋ね。


「すぐに案内する」


 その場から移動をする。

 部屋を出る前メルはふと振り返り、部屋の中を今一度見回した。


 でも……この部屋……一つだけ気になることがあるんだよね。


 そう、彼女には一つだけ気になったことがあった。


 この部屋本当に誰かが住んでるの?


 それは――部屋が綺麗すぎるという事だった。

 起きてすぐ攫われたなら何かしらの抵抗の後があってもいいはずだ、しかしどう見ても整えた後の様で……。

 だが、両親の様子を見るとこの部屋はこれがいつもなのかもしれず、外で攫われしまったならそれほどまでにフィオを言う女性は几帳面だったのだろうか? メルは首を傾げつつフィッツの後を追う仲間達の元へと急いだ。








 井戸はフィッツの家から少し離れた場所にあり、彼は蒼い顔をし辺りを探し回る。


「フィオ! フィオー!!」


 しかし返事はなく、フィッツは一つの最悪な結果へと思考を巡らせた。


「まさか、井戸の中に落ちたんじゃ……」


 ふらふらと歩く彼を見て慌ててメル達は止める。

 だが、彼は歩みを止めず井戸の中を見下ろし――。


「フィオーーーー!!」


 その中へ叫び声を放つ。


「お、落ち着いてください! 落ちますよ!?」


 メルはそう告げた後すぐに腰にある水袋で休んでいた精霊へと尋ねた。


「ウンディーネ! この中に人……何か居る?」

『いいえ、何も居ませんよメル』


 精霊は嘘をつかない。

 その事を知るメルは最悪の事態ではない事をフィッツに告げると彼はメルの方へとその瞳を向けた。


「本当か?」

「はい、精霊は嘘をつきません。だからこの中にフィオさんが居るという事は無いですよ」

「でも、だとしたら一体どこに行ったんだ?」


 リアスの疑問にメルは頬に手を当てつつ考えるも――思い浮かぶはずもなく……。


「取りあえずそのフィオさんの友人に会いに行ってみよう?」


 今度はフィオを迎えに来たという人の元へ向かう事を提案するのだった。

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