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167話 タリムへ

 魔物の事を聞く為シルフに頼み込んだメル達。

 そこで、後から来るであろう母達に分かりやすくしたのだが……。

 後から来た二人組にその印は取られてしまうのだった……。

 トーナ廃村から経ち、メル達は魔物と戦いながらタリムを目指す。

 廃村に居た様な魔物とは出会うことなく、順調にタリムへと近づいた彼女達は目に見えてきた村に驚きの声を上げた。


「あ、あれがタリム?」


 メルはその街を知るリアスとライノへと目を向ける。


「な、なぁ本当にあれに人が住んでるのか?」


 シュレムの失礼な言葉にもメルは突っ込みを入れる事が出来なかった。

 それもそうだろう、目の前に見える村には守る為の壁が無いのだ。

 壁は魔物から身を守る為だけの手段ではない、野盗達から街を守るという役割もあるのだ。

 ましてやタリムは復興を進めているとはいえ、まだまだ戦いの傷跡が残る村なのだから……。


「驚いただろうが、あれがタリムだ。壁を作る資材がまだなくてな……でも、こっちの人間は人を襲う余裕すらない」

「アタシもビックリして聞いたのだけど、どうやら奪い合うより助け合った方が効率が良いとか言っていたわ」


 確かに助け合うならば良い案ではある。

 しかし、中にはそう思わない者も居るだろう。

 皆が皆、助け合おうと思うなら野盗などは居ないのだから……。


「ね、ねぇ……でも、大丈夫だとは限らないよね?」

「勿論、普通は中には助け合いなんて馬鹿らしいと去って行く人も居るだろうが、タリムは色々あったからな……その時助け合って生き残ったんだ。そうそう裏切らないさ」


 彼はそう言うと、メル達の戦闘に立ち村へと足を向ける。


「さ、後もう少しだ。まだ日もある武具店に向かおう」


 メル達は頷き彼の後をついて歩く……すると偶々外に居た女性はにっこりと微笑みリアスへと近づいてきた。


「リアス、無事だったんだね」


 彼女は嬉しそうに彼へと声をかけた。

 服こそはボロボロだが、笑みが可愛らしい女性だ。

 そんな彼女はリアスの手を取り村へと引っ張って行き、メルは頬を膨らませた。


「リアス! ほら武具店行くんでしょ?」


 そして彼女もまたリアスの手を取り訴えるように告げると女性の方はメルへと目を向けた。


「あ、ああ……そうだな、そうだった」


 リアスは苦笑いを浮かべ、メルにそう言うとすぐに女性の方へと目を向け申し訳なさそうな表情を浮かべた。


「悪い、フィオ今はちょっと急いでるんだ」


 彼の言葉に笑みを浮かべた女性は頷き――。


「そっか、分かったご飯は食べに来るんでしょ?」


 そう言って一瞬メルを睨む。


 な、何この人……何かリアスにべたべたしてるし、変な……いやな感じがする。

 追手とかそう言うのとは別の何かが……。


 メルはそう思うがその正体が何なのか自分でも分からないまま女性を睨んでいた。


「いや、今日は宿に泊まるよ」


 しかし、そんな二人のやり取りに気が付いてない様子のリアスはそう口にするとメルの方へと目を向け、ようやく首を傾げた。


「メル?」

「………………」


 名前を呼ばれても反応しないメル。

 そんな彼女をどこかおかしいと思ったのだろう、リアスは仲間へと目を向ける。

 するとそこには笑いを堪えるライノと困り顔のエスイル。

 そして――。


「お美しいお嬢さん、どうだ? リアスは放って置いてオレと食事を……」


 何故か口説きに走ったシュレムが彼の目に映った。


「え!? えっと……」


 フィオと呼ばれた女性は突然言い寄られた事に驚き、リアスの方へと助けを求めるような瞳を向ける。

 リアスは深く溜息をつくとメルの肩へと手を置き――。


「メル、シュレムを止めてくれ……」

「………………」

「メル!!」


 何度か彼女の名前を呼ぶとメルはようやくリアスの方へと顔を向けた。


「…………え?」

「え? じゃなくて、シュレムを止めてくれ……」


 メルが慌ててシュレムを探すと先ほどの女性に言い寄っている所が目に移り、彼女は慌ててシュレムの元へと駆け寄ると腕を掴む。

 当然シュレムは首を傾げつつ掴まれた腕を視線でたどって行き、そこのメルが居ると知ると慌て始め――。


「い、いや違うぞメル! 嫁はお前だけだ!」

「なんの話してるの!? そうじゃなくて約束したでしょ!」


 メルはタリムに来る途中、彼女とかわした約束を思い出しつつ告げるとシュレムは顔を引きつらせつつ笑みを浮かべた。


「い、いや体が勝手に……」

「勝手に……じゃないよ! ほら行くよ!!」


 腕を引っ張り仲間達の元へとメルは戻るとリアスもまた苦笑いのままフィオへと向き直り――。


「と、とにかく、俺達は行く所があるんだ。またなフィオ」

「え、あ!? ちょっと!!」


 突然の別れの言葉に女性は慌てるがリアスはメルの元へと近寄る。


「これ以上、何かすると変人だと思われるかもしれないぞシュレム……」

「うるさいな! 悪漢よりはマシだろ!?」


 悪漢とは誰の事だろうか、メルはそう考えたがその答えが出る暇も無かった。


「はぁ……ほら行くぞ」


 その理由はリアスが街の中へと歩き始めてしまった事でもあり――。


「う、うん……」


 フィオと呼ばれた女性がメルを睨み続けていたと言う事でもあった。

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