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157話 リアスの戦い

 ヴォールクに続き現れた魔物。

 それはタリムへと何度も襲撃を繰り返していた突然変異の魔物との事だ。

 リアスはそんな魔物に向かっていくのだが?

 魔物はリアスの不意の一撃を避ける事は出来ず、続く追撃をまともに受けた。


「やった!」


 それを見たメルは思わず喜んだのだが――。


「まだだ!!」


 リアスの声は響く……そして――。


『ヴォォォォォ!!』


 彼の声に反応するかのように雄たけびを上げた魔物は立ち上がり、その屈強な腕をリアスへと振り下ろす。

 リアスはそれを難なくかわすのだが――魔物の攻撃は勢いを失わず地面へと叩きつけられる。

 すると、地は抉れ、破片がリアスを襲った。


「ぐぅ!?」


 早さが自慢の一つである彼もこれにはどうする事も出来ず、つぶてをその身に受け、体勢を崩す。


「リアス!?」


 メルは彼の名を呼び駆け寄ろうとするもシュレムに阻まれてしまう。

 当然だ。

 今、メルが向かった所で出来る事は何も無い。

 そして、リアスに頼まれずともメルを守ると誓うシュレムが彼女を止めないはずが無いのだ。


「落ち着けメル!」

「で、でも!」


 落ち着けと言うシュレムに対し、メルは反論を仕掛けるがシュレムの指した方を見て黙り込んだ。

 其処にはつぶてを受け、倒れるリアスが居るはずだ。

 しかし、メルの目に映ったのはしっかりと二本の足で立っている少年の姿。

 彼の姿にメルはほっとしつつも――。


「あ、あれじゃ危ないよ!」


 収まることの無い猛攻を目にし、焦りを見せた。


「だから落ち着け! 良く見て見ろって!」

「よくって、どう見たって――」


 メルは再びリアスの方へと目を向けると、ようやくシュレムの言った事を理解した。

 確かにつぶてはその身に受けたリアスだったが、今は上手く距離を取り、全てと言う訳ではないが見事にかわしていた。

 そして、隙を見ては針を投げ、棒を振るう。

 その内、魔物はリアスを狩り取れないと分かったのだろう、魔物の頭はメル達へと向けられ――魔物はリアスの攻撃を避けるとメル達の方へと向かって来る。

 だが――。


「させねぇよ!!」


 シュレムは大盾を向かって来た魔物に向け叩きつけた。

 彼女のゆっくりな動きでは魔物を捕らえる事は敵わず、避けられてしまうのだが――魔物が避けた先にはリアスの棒が今振られた所で……。


『ヴォ!?』


 魔物はそれを受け堪らずよろける。

 そして、リアスを睨むと一つ雄たけびをあげ……。


『………………』


 これ以上は無駄だと思ったのだろうか? 大きな足音を立て去って行った。


「や、やったの?」


 メルが再びそう口にするとリアスはようやく一息を付き、地面へと座り込む。


「追い払うのは……な……あの魔物は見ての通り素早く、そして頭が良い」

「あん? ただの臆病な魔物じゃないか逃げてったぞ?」


 リアスは静かに首を振り、それは違うと言う。


「どういう事なの?」

「あいつが次に来る時は俺達が居ない時だ……餌場は他にもあるんだろう、ただ人間が好物なのかなんだか、人里に良く来るんだ……だけど、今みたいに追い返す事は出来る。タフだからな倒すには魔法かなにかが必要だ」


 確かに魔法なら倒せそうだけど……。


 メルは先程の魔物を思い出す。

 リアスは決して手を抜いていた訳ではない、だが結局は致命傷には至らなかった。

 そして、標的を変えた後、メル達へと向かってきた時の事だ……。


 あれだけ速いと魔法を当てられる自身無いよ……。


「別にメルに倒してほしいって訳じゃないぞ? 万が一そうだとしても俺達も戦うんだ安心してくれ」

「え? なんでわかったの?」

「顔に出てたぞ……」


 リアスの言葉にメルはまたかっと尻尾を垂らす。


 また、出てたんだ……。

 でもリアスは私に倒してほしい訳じゃないっていったけど……このまま放っておくことは出来ないよね。

 この街を守る為なんだから……。


 メルはそう考えると一人頷き――。


「無理をするなよ? それにあいつを追い払う事も考えてライノにタリムに行ってもらったんだろ?」

「そうだって、メルは無理ばっかりするからな!」


 二人の言葉にメルは乾いた笑い声を発する。

 すると、エスイルまでも――。


「メルお姉ちゃん……笑い事じゃないよ?」

「う、うん……そうだね、ごめん……」


 メルは素直に謝りつつ、リアスの傍による。


「怪我、大丈夫?」

「ああ、大したことはない、魔法は使わなくても平気だよ」


 彼はそう言うがメルはそれでも心配なようで身体を擦って確かめると、シュレムは身を乗り出した。


「オ、オレ痛い所があるんだけど!」

「へ!? ど、どこ!?」


 シュレムの発言にメルは青い顔をし、反応する。

 すると、リアスとエスイルは溜息をつき――。


「シュレムお姉ちゃん……」

「シュレム……メルは魔力が無いんだ、魔法を使ったら気絶するぞ」


 リアスの冷静な言葉にシュレムは固まり――。


「ね? どこ、何処が痛いの!?」


 メルは泣きそうな顔でシュレムに傷が無いかを確認しようとし、それにシュレムは慌てて――。


「だ、大丈夫だ! 良く考えて見ればさっき何かにぶつけただけだった!」

「痣になってない? 大丈夫?」

「大丈夫だ!」


 そう言い切るシュレムを見てメルは安心したのか、一つ息をもらした。

 笑うシュレムを冷めた瞳で見るリアスは別の意味で息をもらすと――。


「魔物が来そうな気配はないし、少し休憩しよう」


 と口にし、メル達はそれに頷いた。


「そうだね、休めば少しは役に立てると思うし」

「メルはさっきみたいに手を貸してくれるだけで大丈夫だ」

「そ、そう?」


 笑みを向けられ、メルは嬉しく思うもどこか寂しい気もし複雑な気持ちを覚えるのだった。

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