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155話 ソーリオスを守れ!

 ソーリオスの街を守るため、自ら護衛を務めるメル達。

 しかし、メルは魔力を消耗してしまっている。

 当然まともに動けるはずはなく……仲間達を頼らざるを得ないのだった。

 メル達はライノの帰りを待つ間、ソーリオスの門へと立つ。

 しかし、メルはエスイルの後ろへと追いやられており……。


「守る立場が逆だよ……」


 そう呟いた。

 その声に気が付いたリアスは振り返る。


「確かに逆だ……でも、エスイルもリラーグを出た時とは違ってただ守られるだけの子供じゃない、ちゃんと手段を得ただろ?」

「ぅぅ……それは、そうだけど」


 でも、確かに今の私は魔力が無い。

 起きてるのが不思議な位だし……例え剣を握っても役に立てないのは分かってる。

 納得いかないのは気持ちだけで、リアスの言ってることは正しいのも理解してる。


「はぁ……」


 メルはそう考えると尻尾から力を抜く――今自分でも思った通り、メルは戦力外だ。

 出来るとしたら魔物の動きを見て把握する程度……。

 剣を握ろうにも魔族(ヒューマ)は魔力が無ければ動けない、それがいくら体力が有り余っていても動けないのだ。


「大丈夫だよ! メルお姉ちゃんは絶対に守るから!」


 しかし、エスイルはメルのそんな考え等知るはずもなく、意気込みつつメルへとそう伝えた。

 そんな少年に対しメルは頭を撫でつつ――。


「あ、ありがとうね、エスイル」


 お礼を告げつつやはり、どこか複雑な気持ちを感じるのだった……。








 門の前にメル達が出てからどのぐらいの時間が経ったのだろうか……。


「魔物……来ないな……」


 シュレムは暇そうに欠伸をし、眠そうな瞳を森へと向けた。


「元々あの森まで覆う結界だったんだ、そんな直ぐに魔物が寄ってくるとは限らないさ」

「寄ってこないとも限らないけどね……」

「ああ、そうだな……それにこの付近には……」


 メルの言葉にリアスは頷いて答え何かを言いかけた……その時――。

 森の奥から物音が聞こえた。

 その雄たけびに身構え魔物へと備える。


「気をつけろ……エスイル! 嫁をメルを頼んだぞ!」

「うん! って……だからシュレムお姉ちゃんも女の子でしょ!?」


 エスイルの訴えを無視し、シュレムは背にある大きな盾を構え――。

 リアスは棒を組み立て、すぐに筒状のものを投げそれへとナイフを投げ当てる。

 すると辺りに焦げたような臭いが広がって行き――。


「リアス!? 何を投げたの!?」

「臭いを発生させるだけの物だよ、魔物や獣相手には役に立つ」


 リアスはメルを安心させるためにそう口にした。

 メルは慌てて森を見るも確かに火が燃え広がっている様子はなく、ひとまず安心し溜息をついたのだが、慌てて鼻を塞いだ。

 ――が、思ったより臭くはない。

 嗅覚が優れているのに何故と疑問に思うメル。


「なるほど山火事だと思って魔物達が逃げるんだな!」

「山ではないけどな……大体そうだ、でも、絶対に此処に来ないと言う訳じゃない」


 リアスはそう言うと森の奥へと目を凝らす。


「この臭いは作ったものだ、事実俺やシュレムの様な魔族(ヒューマ)には香ばしい匂いにしか思えない、だけど――」


 そして、彼はその言葉と共に森の奥から現れた影に狙いを定め針を投げた!


「メル達や森族(フォーレ)には焼け焦げたような臭いに感じるはずだが……中には作り物って気づく奴もいる」

「は?」


 森から飛び出して来た影はリアスの投げた針により急所を貫かれたのだろう……音を立て上げて倒れ込んだ。


「け、獣!? なんでだよ! 来ないはずだろ!?」


 シュレムはリアスに向かい叫ぶ――するとメルは苦笑いをし……


「い、今リアスが説明したよね!? それは焦げたような臭いで違うって分る魔物が居るって!」

「そ、そうだった!」

「と、とにかく、リアスお兄ちゃん、魔物は臭いだけじゃ来るかもしれないって事だよね!?」


 エスイルは声を上げ慌てる。


「ああ、対して効果はないかもしれないが、無いよりはマシだ」


 彼がそう言うと同時に再び辺りは騒がしくなり……。


「ね、ねぇ……」

「あ、ああ……」

「あの、リアスお兄ちゃん?」


 メル達はリアスへと目を向けた。


「……全く効かないみたいだな?」


 匂いに関しては先程の説明通り偽物と気が付かれても仕方がないだろう……。

 更に、いくら焼けた様な臭いを発した所でそれが本当に燃えているように広がっていけばともかく、いずれは薄れる……賢い魔物達にはすぐにばれてしまってもおかしくはないのだ。


「それにこの雄たけび……一匹や二匹じゃないよ……」


 聞こえてくるそれにメルは思わず一歩後ろへと下がる。

 一体どれだけの数の獣や魔物がこの近辺に居たのだろうか? 不思議ではあったが――。


「今まで森に拒まれてただけで此処に街がある事は気がついてたんだろうな……やるぞ!!」


 現れたヴォールクの群れを睨み、魔物へと迫るとリアスは声を上げ棒を叩きこむ。

 頷いたシュレムもまた盾で殴り飛ばし応戦をし――エスイルは精霊であるドリアードを呼び出した。

 一人、メルだけは武器を構えようとしたのだが――。


 ……駄目だ……手に力が入らない……!!


 剣を握ろうにも辛うじて握れるだけで戦いに参加できるほどの体力と魔力は残っていない事を再確認させられるのだった。


 皆が戦ってるのにっ!!


 そう歯痒く感じつつ、メルは魔物と戦う仲間達を見守る他無かった。

 だが、何かできる事はないか? そう考えた彼女は――。


 そうだ! 鼻が利かない訳じゃないんだから……でも鼻だけで役に立てるの? でも魔法も剣も使えない今の私に出来る事なんて……。

 だけど、もし本当の役立たずだって思われてたら、リアスは街で休んでろって言うはず……だから、きっと! 私にも手伝えることがあるはずなんだ……!


 メルはそう思い、魔物達を睨む――。


 何か、皆の為に……出来る事を――!

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