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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
7章 決意を持った旅立ち
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148話 結界を解くために

 街の結界を解く……メルはそう口にし領主の説得を試みる。

 そして、領主イリアはひ孫の言葉に首を縦に振るのだった。

 後は結界を解く事を伝えるだけとなったのだが……意外な事実がメルを襲うのだった。

 イリアを説得したメルとリアスは仲間達と合流し、屋敷の一室へと集まるとソーリオスにある結界を解く事を告げる。

 それを聞きライノは頷いたのだが、シュレムとエスイルは驚いていた。

 仕方のない事だ……メルはそう思うのだが――。


「で、でも、この街の結界ってナタリアさんが作ったものだろ!? いくらメルでも勝手に解いて良いのか!?」

「そ、そうだよ! だって外には魔物がいっぱいいるんだよ!」


 二人はそう言い反論をするが、メルは困った様な表情を浮かべつつも口にする。


「このままじゃ、次に魔物が出た時に対処が出来るか分からない。龍に抱かれる太陽の冒険者もずっとここに居られるって訳じゃないだろうし……多少乱暴でも、今の内に出来る事をしておいた方が良いよ」

「それに無策で結界を解く訳じゃない、タリムに連絡してからだ、ここ位なら二日もあればつける」


 リアスはメルの言葉に頷きつつそう伝える。

 それに続きメルは更に言葉を重ねた。



「後で怒られるかもしれないのは分かってる……でも、元々この結界はタリムの王が居た時にナタリアがここを動くつもりが無い曾お婆ちゃんの為に作った結界なんだよ? もう、その心配はないから……」


 今後タリムの王みたいな人が出ないとは限らないけど、でも……今は居ない。

 それよりも、一番怖いのはやっぱり魔物に対抗できないって事だよ。


 メルは一人そう考える。

 そんなメルの心情を察してなのか、イリアは一歩前へと出ると――。


「このままでは近い未来、ディーネに折角救ってもらったこの街が滅びるかもしれません、それに――」


 イリアはそう言うとすぐに表情を曇らせる。

 メルはその顔を心配そうにのぞき込むのだが――。


「それに、これ以上の犠牲は少なくしたいのです……それだけじゃなく、怒りの矛先を魔物ではなく、恩人に向けられるというのはその恩人が娘……家族じゃなくても悲しく辛いものです」

「で、でも……結界解いたら魔物が襲ってくるかもしれないんだよ? そうなったら……」


 エスイルの言う事もまた真実だ。

 結界を解いてしまえば、今まではこの街に……いや、森へと入る事が出来なかった魔物たちはこの街へと近づくだろう。

 戦う者が居たとしてもその肝心の戦力がここに付く前に魔物が来てしまえば意味が無い。


「だから、私も最初の予定通り家に連絡をするよ。デゼルトならすぐに来れるはずだし……ナタリアもこの街の事になればきっとすぐに対処してくれるはず」


 家族だから特別だ。

 そう言われてしまっても仕方が無いのかもしれない。

 メルはそう思いつつも事が事なのだから今回だけはそれを利用するしかないと考えた。


「あーもう! 難しい事は分かんねぇが……とにかく、メルのばーちゃんが決めたら文句言えないな! んで、何時結界を解くんだよ?」

「シュレムお姉ちゃん!?」


 思いのほか反論が少なかったシュレムに対し、エスイルは驚きの声を上げる。

 それにはシュレムは口を尖らせる。


「仕方が無いだろ!? メルがこのままじゃ危険だって言うなら危険なんだろうし」

「ぅぅ……」


 エスイルはがっくりとうなだれてしまった。

 長い耳もまた何処か元気が無いように見え、メルは心配をしてくれたのに申し訳ないという気持ちになるものの視線を曾祖母へと向ける。


「結界を解くのは民にその事を伝えてからです……メルちゃん、リアスさん……その前にお願いできますか?」


 お願いとは連絡の事だろうとすぐに察した二人は頷き答える。


「ああ、でも鳥を飛ばすには外に行かないといけないな……というか言っておいてなんだが、鳥は居るのか?」


 メルの連絡は精霊シルフに頼む事になる。

 だから特に問題はないのだが、リアスは当然精霊を介して連絡などが出来ない訳で鳥を頼る事になるのだが……。


「以前は街の外にも飛んでいたのですが、今いる鳥は街の中だけですね……」


 イリアは頬に手の平を当て困り果ててしまい、リアスはその事を失念していたと手で額を覆う。


「参ったな……近くに鳥小屋は無いしな……」

「今いる鳥じゃ駄目なの?」


 その質問にイリアは頷く……。


「先ほど言った通り、今いる鳥は街の中だけです……一羽でも残っていれば良かったのですが……」

「それじゃ直接行くしかないわね」


 ライノの提案に頷く一行。


「じゃぁ、その事はやっぱりリラーグに連絡が行ってからだね」


 メルはそう言うとシルフを呼び、ソーリオスの現状を母達に伝えるようにお願いする。

 シルフは無邪気な笑みを浮かべ頷くとその場から飛び去って行き――。

 少し進んだ所で振り返るとその小さな手をメル達に向けて振った。

 メルはシルフを見送るとその瞳を曾祖母へと向ける。

 すると彼女は頷く。


「では、街の者を集めるよう手配します」


 そして、そう口にすると傍に控える執事へと顔を向け、お互いに頷き合う。


「畏まりました、早急に手配いたします」


 主人へと頭を下げた執事はその場から、去って行く……鳥を飛ばせばすぐに伝えられるだろう。

 だが、それに疑問を感じたのかエスイルは首を傾げつつ、メルの袖を引っ張る。


「どうしたの?」

「お手紙で結界を解くって言った方が早いんじゃ……?」


 エスイルの言う事は確かにそうなのだ。

 しかし、そうしない理由をメルはもちろん知っており。


「それはね、大切な事は皆に直接言わないといけないからだよ? 手紙だと偽れる可能性もあるし、領主や王様の意思だって伝える為なの」

「その通りです、それに今回の事は私の独断と言っても過言ではありません、手紙だけでは納得できないものも多いでしょう」

「うーん……王様や領主様って大変なんだね」


 エスイルは難しい顔をしながら呟いた。

 それに思わず笑みをこぼすイリアは――。


「ええ、そうですね、大変です……ですがその分、街の者達を思え、また思ってもらえるお仕事ですよ」


 優しそうな笑みを笑みのままそう言うのだった。

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