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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
7章 決意を持った旅立ち
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146話 魔物騒動

 小さな木の魔物。

 それは領主の館……メルの曾祖母の家へと向かった。

 そこで擬態をする魔物を見つけたメル達は討伐をしたのだが……。

 果たして、この一件はそれで終わりなのだろうか?

 それほど大きな木ではない事が幸いだったのだろう……。

 若木はメルの刃を防ぐ手はなく、音を立てながらその身を折る。

 見事に折れたその魔物を見下ろし、メル達はほっと息をつく。


「これで終わった……んだよね?」

「ああ、他に魔物が居なければな」

「ぅぅ、心配になるような事言わないでよ……」


 メルはそう口にし、頬を膨らませる。

 何せ街の中に魔物が出たのだそれも仕方がないだろう。


「ごめん、メル……恐らく大丈夫だ」

「何でそう思うの?」


 リアスの言葉にメルは当然の問いを投げかける。

 魔物は確かに退治した。

 しかし、一匹だけとは限らず、まだ居るかもしれないのだ。


「もし、魔物がまだ居る、居たなら街の中に一匹ずつ現れるのはおかしい」

「……あ」


 メルはその事を言われ、納得した。

 その理由と言うのもライノ達の近くにはエスイルが居るのだ。

 もし、魔物が居れば現状を知った今ならメルかエスイルの所に精霊達が姿を現すだろう。

 ここから騒ぎに気が付けなくとも、エスイル達の近くで事が起きればすぐに分かるのだ。

 だが、精霊達は特に焦った様子も無く、メルの瞳に映る若木の魔物に近づいては首をかしげている。


「皆も慌ててないし……本当にそう、なのかな?」

「多分な、手放しに喜んで安心する訳には行かないだろうけど、取りあえずは終わったはずだ」


 再び心配になる様な事を言うリアスに頬を膨らませるメル。

 リアスは慌てた様子で彼女に言葉を告げるのだが――。

 やがてその慌てた様子がおかしくなったのだろう、メルは小さな笑みをこぼした。


「リ、リアスなんでそんなに……言い訳ぽくなってるの?」

「そ、それは……メルが拗ねるからだろ」

「へ? え? す、拗ねてないよ!?」


 リアスに思わずそう言い返したメル。

 だが、今度はリアスが笑い声を上げる。

 その事に今度はメルが何がおかしかったのか? っと疑問に思うのだが……すぐにメルもまた笑い始めた。


 理由は分からなかった。

 しかし、なんだか楽しいとすら思えたのだ。


「メルちゃん?」


 そんな時に聞こえたのはその屋敷の主の声。


「お婆ちゃん!」


 彼女の姿を目にしメルは声を弾ませる。

 しかし、すぐに首を傾げた。

 その理由はリアスもすぐに察し……。


「なんで剣を?」

「魔物が出たと聞きましたので」


 そう言う曾祖母の近くにメルは歩み寄る。

 そして、手を取り――気が付いた。


「お婆ちゃん駄目だよ……だって、剣なんて握った事ないんでしょ?」


 剣を使う者特有のたこがなかったのだ。

 そうじゃなくとも目の前の女性は戦いに身を投じるような筋力は無いだろう。


「魔物はあぶないんだから……」

「そうだな、冒険者達だって格下の魔物に殺される事はある……まともに武器を持ったことの無いような人が武装しても意味が無い」


 二人の言葉を受け、ゆっくりと目を閉じ頷くイリア。

 言われなくともその事は十分に理解していたのだろう。


「私はこの街の領主……街の者を守る義務があります」


 メルは彼女の言葉に「でも!」と思わず口にする。

 心配なのだ……やっと会えた曾祖母が……。

 メル自身は勿論、もし、彼女に何かあれば悲しむであろう祖母や母達の姿も容易に想像が出来た。


「メルちゃん……魔物は誰かが倒さなければらならないのですよ?」

「それは……」


 確かにその通りだ。

 しかし、今のままでは……そう思う事も確かなのだ。

 もし無事に魔物を討伐できたとしてもそれは運であり、現状まともに対処できる人間が居ないのだ。


「……」


 そんなメルの脳裏に思い浮かんだのは二人の門兵。

 それは隣に居るリアスも同様だったのだろう……。


「メル……まさか二人の面倒を見るっていうんじゃないだろうな?」

「え……?」


 そのつもりだったメルは思わず目を丸くするのだが――。


「あのな、確かにあの二人を鍛える方が早い、だが……俺達じゃ教えられることが無いだろ?」

「あ……そっか……」


 それもそうだろう、いくら平和な街とは言っても門兵を任されているのだ。

 それなりの実力が無くては話にならない。

 さらにメル達が教えられるとしたら基礎……それ位は知っているはずだろう事をメルは考えていなかった。


「な、なら魔法を!」

「それこそ時間かかる、メルだって魔紋を刻んだその日から強力な魔法を使えたわけじゃないだろ?」


 リアスの言葉にしゅんと項垂れ尻尾から力を抜くメル。


 そういえば、昔ナタリアがユーリママに怒られてたことあったよね……でも、あんな小さな魔物が出る以上……ん? でもなんでナタリアは……。


「なんでナタリアはその可能性があるのになにもしてないんだろう……だってこのままじゃ……」


 いずれまた魔物は現れる。

 いや、もう遅いのだ……大魔法使いと呼ばれるナタリアがその可能性に気が付かないのだろうか? そんなはずはない。

 何かが変だ……めるはそう思いゆっくりと尻尾を揺らす。


「それは……」


 メルの問いにイリアはゆっくりと語り出す。


「それは……ソーリオスの者達は外には危険があるとそしてこの中ならば安全だと信じて疑ないからです……」


 イリアはその事を申し訳なさそうに紡いだ。

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