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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
7章 決意を持った旅立ち
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140話 緊急事態?

 ライノの策にはまりデートをすることになったメル達。

 ぎこちなくも二人で街を探索していた二人だったが、ふとある音に気が付いた。

 不安を感じ音の発生源へと急ぐ二人だったのだが……。

 メル達は音が鳴り響く場所へと急ぐ――。

 過ぎ行くその景色にメルは不安に駆られていた。

 道を覚えるのが苦手なメルでさえ先程通ったような記憶がうっすらと残っていた――その証拠か否か、精霊シルフはメルの方へと向かってきて彼女の横を飛ぶ。


「シルフ! 何が起きてるの!?」


 メルは精霊へと問うと、その声に反応しリアスはメルの方へと視線を投げる。


『分からない! でも、多分魔物だよ! そこにいた何かがどこかに慌てて去って行くのが分かるよ!』

「魔物? 魔物って何処に!?」


 思わず立ち止まり、メルは叫ぶ。


「なんだって……精霊は魔物だって言ってるのか?」

「う、うん……」


 メルは頷き、その視線を精霊シルフへと戻す。


『メルこっち! 早く!!』


 そんな彼女に対しシルフは慌てた様に手招きをし、メルの不安を煽った。

 一体なにが起きていると言うのだろうか?

 そして、魔物が何処に現れたのか――。


「メル、なんて言ってるんだ?」

「とにかく、急がなきゃ……走りながら聞いて見るよ!」


 リアスにそう答えたメルは嫌な予感を胸にシルフの後をつける。


「シルフ! 一体なにが起きてるの?」

『魔物だよ! 魔物がエスイルの所に!!』

「――っ!!」


 その言葉にメルは全身から嫌な汗が出るような錯覚を感じる。

 そして、顔に出やすい彼女はそれもやはり出てしまったのだろう――。


「急ぐぞ!!」


 リアスはそれだけを口にし、メルは前を見据え――。


「このまま真っ直ぐ、多分エスイル達と分かれたその辺だと思う!」

「ああ!」


 メル達は恐らくは事態に気がつき慌ただしくなった人混みを避けつつ、シルフを追いそこへと急ぐのだった。










「エスイル!! 何とかできないか!!」


 大きな盾を持つ女性は少年の名を叫ぶ。


「ド、ドリアードに頑張ってもらってるんだ……でも!」


 少年は呼び出した精霊の名を呼び、巨大な木の魔物の足元に居る仲間へと目を向けた。

 巨木には弦が巻き付き、魔物を捕らえている様にも見える。

 だが、長い枝を持つ魔物は攻撃の手を休める事が無く、シュレムは防戦一方となっていた。


「クッソ!! ブン殴れりゃ……」


 苛立ちを見せる少女は見事な盾捌きで魔物の攻撃を防いでいく……しかし――。


「精霊をもう一人呼べないのか!?」

「む、無理だよ……」


 エスイルはそう答えると申し訳なさそうに表情を曇らせる。


「シ、シルフにメルお姉ちゃんの所に行ってもらってるけど……」

「なら、耐える……しかないな、エスイル!! ドリアードにも気張ってもらうぞ!!」


 ただ耐えるだけなら、メル達の元へと魔物を誘導した方が良いだろう。

 しかし、二人にはその場から動けない理由があった。

 そう、それは勘違いからエスイルを遊びに誘った子供達。

 彼らの一人は魔物が現れると共に驚き怪我をしてしまったのだ。

 決して大きな怪我ではなかった、しかし――痛みと恐怖で動けなくなったその子供を放って置くと言う事は――。


「ぼ、僕がこの子背負うよ!」

「へ、それも手だが、安心しな……オレに任せておけば安全だ!! 漢ってのはどんな状況でも仲間や弱い奴らを守る存在なんだぜ!!」


 言葉通り――そう言うかのようにその身と大盾は子供達を守る城壁の様になっていた。


「エスイルが動きを止めて、オレが守る――あとはメル達が来ればただのデカい木一本ぐらい簡単にへし折ってやる」

「そ、それはそうだけどシュレムお姉ちゃん……いくらなんでももう疲れて…………」


 エスイルはシュレムの背中を見つつそう呟くのだが、本人は特に気にした様子もなく――


「覚悟してろよ! この枯れ木野郎!! やるぞエスイル!!」

「え、えっと……うん」


 二人は魔物から目を逸らすこと無く対峙をするのだった。






 一方ライノは――。


「た、大変な事になったみたいね……」


 買い物を済ませた後、こっそりとメル達をつけていた彼はメル達の後を追う。

 しかし、彼はふと考える。

 自分が行っても役に立てるのか? 確かに自身の作り出す薬には絶対の自信があった。

 だが、それだけではっと……。

 そして、その瞳はメルへと向けられており――。


「治癒の魔法……ね……」


 その顔には複雑そうな表情が浮かんでおり、彼は頭を振る。


「いけない、人を助けられる人が増えるのは良い事よね」


 そう呟くと、真剣なまなざしで走るのだった。


「そうすれば、きっとあの子の様な子が減るはずなんだから」


 その表情をすぐに悲しみへと変えるとメル達の奥には巨大な木が見え、それが魔物なのだろう……。


「な、何あの大きさ……森に居た魔物の非じゃないわ!?」


 そう、そこに居たのは森で出会った魔物エイシェントツリーよりも一回り以上は大きいであろう魔物。


「それに、まさか――エスイルちゃん達が!?」


 彼は其処に街の子供が居る事を思い出し、青い顔をする。

 そして――。


「あの大きさじゃ倒れたら……」


 辺りを見回し彼はもしもの時の事を考え……。


「まずいわね……急がないと!」


 人混みを避ける為、背にある白い羽を広げるのだった。

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