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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
7章 決意を持った旅立ち
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137話 冒険者見習いの休日

 出された食事は隔離された街とは思えない程豪勢だった。

 だが、それはきっと無理をしたのだろう……。

 察したメル達は狩りをすることを申し出た。

 しかし、翌日はゆっくりと休むことにしたのだが……?

 その日、ゆっくりと休むことにしたメル達は街の中を歩く――。

 周りの人々はそんなメル達を驚いた表情で見つめる者が多く、メル達は首を傾げた。

 すると――。


「おい、あいつらって確か昨日の……」

「まさか一日で逃げ帰ってきたのか!?」


 そう言う声が聞こえ、一方で――。


「まさか魔物を本当に退治してきたのか!?」

「それも無傷で、子供に見えて流石は冒険者だな……」


 と言う声も聞こえるのだ。

 すると先日メル達に絡んできた青年が目の前に現れた。


「お前達魔物を倒すんじゃなかったのかよ」

「失礼ね、ちゃんと魔物は退治したわよ? 今日はゆっくり休んで明日また魔物を探しに行くわ」


 そう言うと彼はライノへと詰め寄り――。


「はぁ!? 倒すって言ったんだ一回で倒して来いよ!!」

「だから、魔物は倒したって言ってんだろ? 森の中を相当歩き回ったんだ」

「それでも見逃してるかもしれないから、明日ちゃんと確認しに行くよ。ただ魔物避けの薬を使って調べたから恐らくもう安全だとは思うよ」


 メルはそう言いつつ、何度も考えていた不安を思い出す。


 魔物は自然に生まれる可能性はある。

 だけど、この街にはその対処が出来ない。

 やっぱり早々にこの事はリラーグに伝えた方が良いよね。

 じゃないと、また誰かが犠牲になるかもしれない。

 ライラさんの家族だって仲間が居れば助かったかもしれないんだから……連絡だけは今日の内にしておこう。


「あのなっ! お前らが倒すって!!」

「もしもの時の為に酒場には今日の内に連絡をします」


 メルがそう言うと青年は黙り込んでしまってしまう。


「私達もここにずっと居れる訳じゃない。でも、何も対策をせずに去る事はしないから……」


 ここはナタリアやユーリママの大切な場所なんだ。

 ううん、そうじゃなくても街を見捨てるなんて出来ないよね……。

 それに、今日連絡すれば数日以内にはデゼルトがこの森の近くまで運んでくれるはず。

 ユーリママ達にも連絡をしたいし、鳥とシルフにお願いしよう。


「という訳だ、メルやその家族も犯人なんかじゃない」

「………」


 リアスの言葉を信じられないのか、青年はただメルを見つめ――


「その、さっきも言ったけどまだ魔物が残ってる可能性はあるよ? だから、ちゃんと確認はするから」


 メルは手でなにかをこねるようなしぐさをしつつ、垂れた耳を更に垂らし伝える。

 すると青年は舌打ちを残しその身をくるりと反転させると――。


「こっちは困ってるんだ!!」


 そう言葉を吐き捨て去って行った。

 そんな背中を悲しそうな瞳で見つめたメルは尻尾を丸め足の間へと潜り込ませる。

 彼女の様子に気が付いたのか、リアスとシュレムは肩に手を乗せ――。


「「気にするな」」


 同じ言葉を伝える。


「う、うん……」


 メルは頷くのだが、やはりどこか悲し気で――


「ほら、今日は休むんだろ? 何処か店に入ろう」


 リアスは微笑みつつそう提案をするとライノも頷き――。


「そうね、何かここでしか無い……珍しい薬草は勿論だけど、美味しい物も何かあったら儲けものね」


 彼はそう言うと近くにある店へと目を向ける。


「あれは何かしら?」

「……あ」


 それを見てメルは思わず声を漏らす。

 そこにある物を見て驚いたのは――


「肉巻き? でも、大きなお肉が無いみたい……」

「それってリラーグで食べたあれか?」


 そう、それはリアスと共に食べた物に材料がそっくりなのだ。

 しかし、肉塊を焼いている様子は無い。

 その事を不思議に思いメル達が近づくと――。


「いらっしゃいっ!」


 若い女性が笑みを浮かべ、メル達を迎える。


「ん? もしかしてユーリさんの娘さん?」


 彼女はメルへと目を向けるなり、白い歯を見せ笑う。

 寧ろこの街で見かけないと言う事は紛れ込んできたか、ナタリアの関係者だけだ。

 彼女達の中にその血縁者が居る可能性は高いのだ。


「ユ、ユーリさんを知ってるのか?」


 だが、シュレムはこの街での事があったからだろうメルを守る様に前に出つつ女性に声を掛ける。


「ええ、この料理を教えてくれたのよ! 美味しいんだから、どう? 娘さんなら食べたことあると思うけど」


 そう言われてメル達はその料理へと目を向けるのだが……。


「これは?」


 見覚えの無い物だった。

 あるのは数種類の野菜、薄く切られた肉に小麦を練って作った麺。

 そして調味料である岩塩に胡椒になにかのタレのような物だ。


「なんでも塩やきそばとか言ってたよ? 野菜とお肉を使った料理を作ろうとしたんだけど……」


 彼女はそう言うと向かいの店へと目を向ける。

 そこにはすでに彼女の言った食材で作ったであろう料理が並べられていた。


「あっちのお店と被って……そこで困ってたらユーリさんが教えてくれたのよ」

「へぇ……」


 そんな料理聞いた事も見た事も食べた事も無い。

 もしかして、その場で作ったのかな? ユーリママは確かに料理が出来たはずだし……たまに美味しいけど変な物を作って来るよね?

 でも、塩焼きそば? っていうのは気になるかも。


「見た事が無い麺だし、なんか珍しいわね」

「でも、美味しそうかも」


 どうやらライノとエスイルもその食べ物に興味がある様で――。

「そのそれを皆の分もらえますか?」


 メルは財布の中からお金を取り出すと女性へと手渡す。

 それを受け取った女性はすぐにそれをしまい、釣りをメルへと返し――。


「へへ、ありがとう! じゃ、ちょっと待っててね!」


 彼女はそう言いながら手慣れた手つきで調理を始めたのだった。

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