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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
7章 決意を持った旅立ち
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136話 帰還

 魔物を無事倒したメル達。

 彼女達はソーリオスの領主であり、メルの曾祖母の屋敷へと戻るのだった。

 運ばれて来た料理は閉ざされた街というには上等の物だ。

 肉こそは少なくとも、野菜も果物もある。


「本当はお肉ももう少し出してあげたかったのだけど、ごめんなさい」

「う、ううん大丈夫だよ」


 家畜はいるだろうが、狩りが出来ない分そう簡単に食べることが出来ないのだろう……。

 メルはそう察し、運ばれて来た料理を口に運ぶ。


 それにこの料理……きっと私達の為に無理してくれたんだよね……。


 そう思ってしまうと彼女は目的であった食料を分けてもらうと言う事に遠慮を感じリアスへと目を向ける。

 すると、彼はメルの意図を理解したのだろうか頷き――。


「迷惑でなければ明日狩りをしてくる……」

「え? でもメルちゃんも貴方達も街の客人、狩りなら街の者に――」

「いや、メルのひーばーちゃん考えてみろって、森にはまだ魔物が居るかもしれないだろ? だったらオレ達が狩りをした方が良い、もし出逢ってもオレ達なら戦える!」


 シュレムはそう言うとパンへとかぶりつく、しかしその一口が大きすぎたのだろう彼女は慌ててスープの器を持ちあげ口をつける。


「シュレム!? 行儀が悪いよ!?」


 メルは姉ともいえる少女にそう言うと、呆れつつも水を彼女の前へと置く――。

 だが、そんな事は気にせずにシュレムはスープを飲み干し……。


「死ぬかと思ったぜ……」


 何故か勝ち誇った表情の少女は差し出された水を飲み干すとそんな言葉を残し――エスイルは思わず呆れたように笑う。


「シュレムお姉ちゃん、焦り過ぎだよ……」

「いや、だってな? まさかと思ったんだけどな、このパン食べて見て間違いないと確信した! 焼きたてのパンだ! まだほんのり温かいぞ!!」


 久しぶりのその味にシュレムは笑みを浮かべ再びパンを手に取る。


「よく食べるのは良い事だけど、また喉に詰まらせるわよ?」

「わ、分かってる……」


 ライノの注意を受けシュレムはびくりと身体を震わせるとパンを少しずつ食べる。

 そんな様子に笑みを浮かべたメルだったが、不安そうな曾祖母の顔を見て――。


「イリアお婆ちゃん、絶対に無理はしないって約束するから……」

「そう、約束ですよ?」


 念を押されたメルは頷くと自身に集まる視線に気が付き仲間達へと瞳を向ける。


「え、えっと……」

「無理はしないか……」


 リアスは人一倍不安そうな顔でメルを見つめ、メルはその視線に顔を赤く染めつつ――。


「こ、今度こそは絶対、絶対だから……」


 そう答えるのだった。







 翌日メル達は食事の後に話をしていた。

 話の内容はやはり、魔物の事で――。


「それで魔物が残ってないか調べたいんだけど……」


 メルはそう言うと視線を弟へと向ける。

 街の安全は確保したい、だが同時にエスイルも休ませたいと考えているのだ。


「リアス、その……それでお願いが……」


 メルは申し訳なさそうにリアスへと身体を向けゆっくりと視線を上へと持ち上げる。

 すると、彼は顔を赤く染め――。


「も、元々メルも皆も疲れが溜まってるはずだ……この日までに行かなければならないなんてことは無い、早く着くことは勿論だが疲れて倒れたりする方が問題だ……」


 リアスはそっぽを向きそんな事を言うとライノはくすりと笑う。

 そんな彼へと目を向けたリアスはメルへと視線を戻し――。


「それに、俺も関わった以上は放って置くことは出来ない、数日はこの街に滞在しよう」

「うん!」


 メルは嬉しそうに頷き、エスイルへと近づく……すると、少年はしゅんとしており……。


「ごめんなさい、精霊が大変なのに……」

「大変だとは言ってもエスイルが居なければ、もっとどうにかなっちまうんだろ? だったら休んで万全にしておくのは当然だ!」

「そうね」


 仲間達は頷き、メルはエスイルの頭を撫でる。

 すると少年は顔を跳ね上げた。


「で、でもリシェスで休んだし! 僕は大丈夫だよ!」

「いや、メルもそうだが、前の街で休んだからと言ってもここに来るまでに疲労は溜まってるんだ……」


 リアスはそんなエスイルの目線まで身を屈めるとゆっくりと会話を続ける。


「それにリシェスではユーリさんに被害が出るかもしれなかった。休んでいたとは言ってもメルの精神的疲労は残ってるだろう、それも解消したなら安全なこの街で休んでおいた方が良い……勿論魔物に関しての事は調べるけどな」


 彼はそう言うとニッカリと笑い、今度はメルがその表情に顔を赤く染めた。


 ぅぅ……何か、リアスの今の笑顔って可愛いかも? って私一体なにを……?


 ぶんぶんと頭を振るった少女は尻尾だけを揺らす。


「リアスもそう言ってるし、皆も私も休んだ方が良いと思うの、だから、ね? 今日はお休み」

「……分かった」


 不本意そうに頷くエスイルを見てメルはほっとしつつ弟の頭を撫でつつメルはふと考える。


 エスイルの力は本物だった。

 首飾りを通して精霊を癒す力……あれを目的地であるルーフの村で使えばきっと精霊を生み出す力になるんだ。

 そうじゃなくてもエスイルは絶対に守らなきゃ、クルムさんと約束をしたんだから……!

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