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107話 情報屋

 メル達は街の外の男の事について情報を集めるために酒場へと訪れる。

 そこで紹介された情報通の冒険者達から話を聞くことにしたのだが……。

 有益な情報は得られるのだろうか?

「街の近辺ってまさかあの爺か?」


 疑問を浮かべる冒険者の言葉にメルはリリアへと目を向ける。

 するとリリアは頷いた。


「うん街の外に居る……偏屈爺さん」

「ああ……やっぱりあの人か」


 男は困った様に顔を歪めるとため息をつき――。


「何でそんな情報が欲しいのかは聞かない、だが、あの爺さんは良く分からないんだよ……外は魔物が多いから街の中に入れと言っても拒否するし怪しげな魔法の開発もしてると聞くな」

「そうそう、なんでも無詠唱魔法って言うやつね……でもそんな魔法ある訳ないでしょ? 今までだって短くは出来ても無理だったわけだし」


 女性は男性の言葉に続き苦笑いを浮かべた。

 だが……メルは笑うことが出来なかった。


「どうしたの?」

「い、いえ……」


 不思議そうに見つめられ慌ててそう答えたメル。

 だが、笑えなかった理由それは一つ気になる事が出てきたのだ……。


 無詠唱魔法って……まさかナタリアの言ってた禁術?

 でもあれは……確か命に関わるってそこまでしてユーリママに復讐をしたいの?


「…………」


 母が負けるはずない、そう確信をしていたメルだが相手も黙っているつもりもないだろう。

 シルフの報告では来ないと言っていたがいずれ母達がここに来てくれる。

 そんな確信もあり、それは相手もまた気が付いているはずだともメルは考えた。

 だからこそ、母達の安全の為にメルは急ぎ情報が欲しいと望み――。


「その人の情報は何かないですか?」

「あ、ああ金は持ってるみたいだ毎回毎回門兵に金を渡して街に入って来てるからな」

「それと……確か酒場の近くに昔は良い情報屋があってね、そこの人と仲が良いみたい……もう情報屋としては働いてないみたいだけど」

「仲が良いみたいって確かめた訳じゃないんですか?」


 メルは彼女達の言葉に首を傾げる。

 みたいというのが情報としては不確かな言葉だったからだ……。


「残念だけど……確かめようにも確かめられないんだよ」


 その言葉にはメルだけではなくリリアもエスイルも驚いたようで瞳を見開く……。

 メル達はこの酒場の評判を聞き訪ねてきた。

 その評判の店の店主が自ら紹介してくれた情報に通じている冒険者でさえ確かめられないというのだろうか?


「正直調べられるなら調べてあげたい……でも……その人アルさんって言うんだけど、数年前に行方不明になってね」

「あいつに聞いても知らんの一点張り、仲が良くて店の鍵を預かっていたとか言ってたが……そうは思えないんだよな」

「アルさん……?」


 うーん……聞き覚えが無い名前だなぁ……。

 リシェスにはフィーナママも良く来てたって言ってたし、もしかしたら名前ぐらいは知ってるかと思ったのに……。

 でも、もし本当にその人と親しいなら何らかの情報が家にあるかもしれない。


「その人の家ってどこですか?」


 メルがそう尋ねると二人は街の地図を広げ――。


「良い? 今私達が居る酒場がここ――」

「あ、ちょ……ちょっと待ってください、シルフ」


 丁寧な説明だったが、メルは慌ててそうお願いすると頭の上に居るシルフに声を掛ける。

 すると実体化した風の精霊は地図を見下ろし――。


『道を覚えればいいんだね!』

「お願い」


 シルフの言葉にメルはそう答え――再び二人へと目を向けると――。


「そ、その子って精霊?」

「初めて見たな……なるほどその子も君たちの仲間って事だ……じゃ、改めて教えるよ」


 男性の言葉に頷いた女性はにっこりと微笑み地図へと目を向ける。

 そして地図の上を指を滑らしつつ道をメル達に教えてくれたのだ。


「特に危険は無いと思うけど……街の中なら私達がついて行こうか~?」


 それは大変うれしい申し出ではあった。

 だが、メルは首を横に振る。

 それは彼らが戦いに関しては自信が無いというのが理由ではなかった。


「なんでだ、いくら俺達でも街中なら……」

「そうじゃないんです……もしここにこの酒場にユーリと言う人が来たら今の情報を伝えて欲しいんです」


 そうメルは答えた。

 そして、それに続き口を動かし――。


「それと、黒いミミズ……変な筒を持った人達に気を付けてください、意識を奪われてしたくない事をさせられるみたいなんで……」

「意識を奪われるってどういうこと!? そ、そんな危ない奴と関わってるって……あ、貴方達大丈夫なの!?」

「へ!? きゃ!?」


 メルは一瞬リリアの事かと思ったがなぜか自分が抱きつかれた事で悲鳴を上げる。

 突然の事に目を白黒させていると彼女を抱きしめる腕に力が入り――。


「お、お姉さん?」

「辛かったね、怖かったね? でも、もう大丈夫だからね……」


 優しげな声は何処か母達を連想させ、思わずその目に込み上げてくるものがあるがメルはぐっと我慢をし……。


「えっと、そのしたくない事って……無理戦わされたりするみたいなんです……私はその、何もされていないので……」

「え……」


 メルの言葉に驚いた女性だったがすぐにその顔を歪め、泣き顔へと変えると……。


「嘘をついてるんだね……心配させない様に……」

「ちょ!? 本当に違うんです!」


 再び強く抱きしめられたメルの叫びは酒場の中へ響いた……。







 それから暫くし……誤解を何とか解いたメル達は教えてもらった家の前までたどり着いていた。


『メル大丈夫?』


 実体化が解かれたシルフはメルにそう尋ねて来て疲れた顔でメルは頷いた。

 その様子を心配そうに見つめるリリアとエスイルに気が付いた彼女は微笑み――。


「取りあえず、家の中に人が居るか確かめてみよう、二人は私から離れないでね?」


 そう伝え扉の前へと立つと扉を叩いた……。

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