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102話 リリアの情報

 ユーリ達は怒っているもののすぐにはメル達の元へと来れないらしい。

 その理由は今まで襲撃をしてきた者達の所為だ。

 だが、メルは大人しく待つつもりはなく……反撃に出る事を決意し、リリアに情報のを求めるのだった。

 メルの言葉に顔を(うつむ)けるリリア……。


 皆の前で言うべきじゃなかったかもしれない、でも……。

 私が相手の事を知ってたら皆は誰に聞いた? って事になる……そうなったら結局リリアちゃんだってばれちゃう。


「ごめんね……でも……お願い必要なの」


 メルはそう告げ、リリアを抱きしめその頭を撫でる。

 するとリリアはメルの胸にぐりぐりと頭を押し付け――。


「リ、リリアちゃん?」


 予想外の行動にメルはうろたえる。

 だが、抱きしめている手は離さない様にし、リリアの言葉を待つ――。


「…………」


 メルの目にはエスイルが何故か怒っているのが見え――。


 エスイル……機嫌治ったと思ったんだけど、気のせいだったのかな?


 そんな事を勘が筒もそのままでリリアの頭を撫でていると……暫くし、彼女は顔を上げた。


「わたしが知ってることはね……」


 そう話を切り出し始める。


「あの人の名前は知らない……皆父さんって呼んでた……腕が片方ない人で、それはエルフの使者の所為だって怒ってた……」

「片腕の男?」

「そんな奴、知り合いに居ないぞ……」


 メルとシュレムは同時に疑問を浮かべた。

 そう、母達の知り合いは大体顔見知りだ……それに戦って来た者達の事も母達の口からではなくとも話してもらった事はある。

 だが、その話の中には片腕の男は出てこないのだ……。


「そんな人が居たなんて……」

「その人はね……なんでもフィーナ? って言う人とユーリって言う人を恨んでる……それに白髪の女性も……」


 その名と特徴を聞き顔を歪めたのは勿論メルだ。

 他でもない彼女の血の繋がった家族……それが恨まれている? 信じられない事だった。


 ママ達は人助けが趣味って言ってもいいのに……でも、私の所為で良く思ってない人も居る……。

 だけど、それとは違うのかな?


「リリア……それじゃなんでメルを?」


 リアスはメルが聞こうとしたことを口にし、少女と目線を合わせた。

 リリアは再び黙り込むと……ゆっくりと口を動かし……。


「…………人質だって……痛めつけて痛めつけて、殺しても構わないからそれを持ってこいって言われたの、そしてお姉ちゃんの血を滲ませた手紙を渡せって」

「わ、私を……」


 殺す? そう言いかけメルは慌てて口を閉ざす。

 操られていた時は最初からそうするつもりだったのだ……だが、今のリリアにとってそれは恐ろしい事なのだろう……。

 震え、いつの間にかリリアはメルから距離を開けていた。


「メルお姉ちゃんを殺すってやっぱり信用できないよ!!」


 リリアの告白で黙り込む一行の中、唯一声を上げたのはエスイルだ。

 彼はその小さな身体を乱暴に揺らしつつベッドへと近寄り――。


「メルお姉ちゃんから離――」

「エスイル!!」


 怒鳴り声が聞こえ――メルは咄嗟に少年の名を叫ぶ。


「それ以上は駄目……リリアちゃんは操られてた。それなのにずっと記憶があって怖い思いしてきたんだよ? 男の子なんだから支えてあげて欲しいな……」

「何それ……僕分んないよ!!」


 メルが止めたことが気にくわないのだろう、憤慨(ふんがい)するエスイルは最後にはそっぽを向くだけとなり、メルはそれ以上何も言わない事に取りあえずはほっとした。


「それで……あの手紙を持ってたんだね?」

「うん……」

「つまり、相手の事は何一つわからないのね?」


 ライノは落胆し、首を横に小さく振るのだが……リリアは大きく首を振り――。


「違うのか? だって相手の名前も知らないってさっき言ってたよな?」


 少女相手だからだろう、柔らかな声で尋ねるシュレムに対し今度は首を縦に振るリリア。


「んっと、相手の名前は知らない、でも何一つ分からない訳じゃない?」


 リリアは続くメルの言葉に再び首を縦に振る。


「リリア……」

「あの人はリシェスの近くに居るの……変な研究をしてる変わり者って言われてる……そして、良く分からないけどお金持ちで……イアーナの人にお願いしてた……」

「イアーナの人……」

「つまり、どこかで俺達の中にメルが居る事を知って狙って来たって訳か……」


 リアスは立ち上がると腕を組み、呟く……。

 だが、メルには疑問が残っていた……イアーナの者達の狙いがメルであったなら……。

 そうだとしたら……。


「首飾りは狙われてないの? だってリリアちゃん……」


 メルが辛うじて覚えている中では確かリリアは首飾りを欲していたはずだ。

 だからメルは今まで襲って来た者達と一緒だと思っていたのだ……。


「首飾り……首飾りは高く売れるから持ってこいって言われただけ……」

「売れるって誰に?」

「分からない、でも……興味はないってそう言ってた……」

「あのさ……」


 今まで沈黙を保っていたカルロスは青い顔をしながら手を上げる。


「考えられる事だけどさ……その首飾りとやらを欲してる大金持ちのやつが居て、そいつに売るつもりなんじゃないか? そうじゃなきゃ、いくら金持ちでも少数であの人数を押さえられる金は用意できないだろ」

「カルロスの言う通りかもな……相手はただの大金持ちじゃないって訳か……やっかいだな」

「ど、どういうことだよ?」

「つまり、一人のお金じゃありえない量って事よ、何人かが結託し首飾りやメルちゃんの親を倒すために協力をした……」


 シュレムと怒っているエスイル以外はその事を思い浮かべたのだろう……一斉に渋い顔になり――。


「多分だけどその人達とも戦う可能性は……あるよ」


 メルはそれを口にした。

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