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隣で「おはよう」と笑う君を見たいから  作者: 山田 太郎丸
第一章 1年遅れの関係

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3.幸運?



 

「これで自己紹介は全員済んだな。あまり時間も無いしパパッと委員決めをするぞ」


 時間が止まり数分後、無事(?)に自己紹介を終え俺たちは委員決めに移った。


 うちの高校では全員何かしらの委員になることが必須となっており、かくいう俺も去年は図書委員をやっていた。人気どころの体育委員や文化祭委員などは立候補者が多いため争奪戦になるので、必然余りものを選ぶことになる。

 その中でも図書委員は楽だ。この学校で図書室を利用する人は多くないため、当番が月2回あるにしても比較的楽な委員となっている。


 それに、俺はこれ以上目立ちたくないしね。既に悪目立ちしてるし。


「まずは学級委員長から決めていこうか。と言ってももうほぼ決まっているようなものだが………」



「「「「春馬で!!!!」」」」



「だろうな。志田、皆はこう言っているがどうする?」


「これだけ推してくれる人がいるのにやらないわけにはいきませんよ。精一杯やらせていただきます」


「よし、決まりだな。1年間委員長としてクラスの皆を引っ張ってくれ。次は体育委員だが……」


「はいっ!俺にやらせてくださいっ!」


「威勢がいいな、渡。渡はこう言っているが皆はどうだ?」


「圭介ならまあ…」

「いいんじゃないか?」

「圭介くんなら盛り上げてくれそうだよね」


 といった声が上がる。そんな彼の名は(わたり)圭介。春馬とは違うベクトルのチャラチャラした陽キャだ。

 正直、いけ好かないので俺は苦手だし、他にもそう思っている奴らはいるだろう。だが悲しいかな、俺が彼らとこの気持ちを共有することはないのだが。それに、俺がこいつを苦手としている理由は別にある。


「男子の方は渡で決まりだな。女子の方だが………」


「先生、俺は氷川さんとかどうかなって思うんだけど…」



 ほら出た。



 あろうことかこいつは氷川さんを狙っているのだ。しかもかなりあからさまに。


「と、渡はこう言っているが氷川はどうs「嫌です」………分かった。ということで他の女子、誰かやりたいやつはいるか?」


 清々しいまでの拒絶だな………。スカッとはしたが。


「じゃああたしがやろっかなー」


「相川か。他にやりたいやつはいるか?」



「うん、いいんじゃない?」

「可奈ちゃんなら納得」



「それじゃあ体育委員は渡と相川に頼もうと思う。2人ともよろしくな」


 その後も委員決めは進んでいくが当の俺はというと………



「なあなあ、戸張は何の委員やるか決めたか?」


「俺は去年と同じ図書委員をやろうかなと」


「あ、さっきも自己紹介したが津田丈二だ。ジョージって呼んでくれ」


「ああ、戸張優心だ。俺のことも優心でいいぞ。よろしく、ジョージ」


「おう!よろしくな優心!」


 友達ができた。


 屈託のない笑みで話しかけてきたジョージ。前の席になった縁ということで話しかけてくれたのだ。俺にも優しくしてくれるやつがいるなんて………

 俺は今猛烈に感動している!………泣いていいか?


 ジョージはあまり周りからの評価を気にしないタイプらしく、風当たりの強い俺にも気軽に話しかけてくれた。やっぱ泣いていいか?


 ちなみに見た目ではほぼ分からないがジョージはアメリカのクォーターらしく、名前も当て字だという。


 それはさておき、図書委員の番が回ってきた。


「次は図書委員だな。やりたいやつはいるかー?」


 俺は迷わず手を挙げた。これが被ったら俺はどうすればいいんだと思ったが、そんな心配も杞憂に終わる……はずだった。


「よし、図書委員は戸張と氷川で決まりだな。2人とも頑張ってくれ」




 ………………………えっ?


 数秒間のフリーズの後、ギギギギッ、と音でもしそうな動きで隣を見ると………





 ギロッ!!!!!!!!!!





 ものすごーく睨んでいらっしゃる。


 思わず目を逸らそうと反対を向けば……………おい、何ニヤニヤしてんだ春馬。その顔やめろ。なんかムカつくから。周りもそんな目で見ないで。自己紹介の時と同じ視線を感じる。




 新クラス早々先が思いやられるな……………………



お読みいただきありがとうございます!

感想、誤字報告もどんどんください!

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