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隣で「おはよう」と笑う君を見たいから  作者: 山田 太郎丸
第二章 今はまだ遠くても誰よりも近いから

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27.勉強会?

更新遅れてすみません。現実の方が少し忙しく、しばらく飛び飛びで更新するかもです。

 



 テストまで残り二週間を切った。だが、優心はなかなか勉強が捗らないことに焦りを感じていた。



 このままじゃまずいな。ここ数日綾乃に勉強を見てもらってるが、マジで赤点取りかねないぞ。俺が綾乃に教えてもらえるのは帰宅後だけ。さらに綾乃は夕食の仕込みがあるため、結果的に夕食後しか時間が取れないのだ。


 昼休みにその話を春馬と山﨑さんにした。すると山﨑さんが、


「い〜いなぁ〜、あたしもあーちゃんに勉強教えてもらいた〜い」


「雛にはいつも教えてるじゃない。それなのに毎回赤点ギリギリってどういうことなのかしら?」


「あ、あーちゃん落ち着いてってば〜。確かに毎回赤点ギリギリだけど、あーちゃんが教えてくれてるからこそ赤点を回避してるとも言えるじゃん?」


「何でそんなになるまで放置してたんだよ」


「いやぁ〜、なんか面倒くさくってねぇ〜。トバっちも同じでしょ?」


 こっちに振るんじゃない。俺は山﨑さんみたいに普段から遊び呆けてるわけじゃないぞ?今回はたまたま色々重なってこんなことになっているのであって、本来なら赤点の心配なんか皆無だからな。


「いや違うぞ。俺は最近色々ありすぎてそれどころじゃなかったってだけだ。普段は赤点取らない程度には復習もしてるからな」


「トバっちの裏切り者ぉ!」


「そんなにヤバいなら春馬に教えてもらえばいいだろ?なんだかんだでこいつも学年一桁台には入ってくるからな」


 この男、相変わらずハイスペックである。抜群の運動神経と誰からも好かれるルックスとコミュ力があるのに、頭脳までトップクラスときた。春馬、お前は一体どこを目指してるんだ。


 だがそんな春馬にも欠点はあったらしい。


「トバっち、悪いことは言わないからやめときな」


「どうしてだ?」


「だってハル、教えるのめちゃくちゃ下手くそなんだもん。あたしにもトバっちと同じこと思ってた時期があったよ。まあ実際に聞けば分かるよ………」


「そこまで言うなら……… なあ春馬。ここの問題が分からないんだが」


「ん?これは別に難しくないだろ。これは、ここをドーンってして、そこをビューンってやってから、最後にギューンってするんだよ。分かった?」


「ごめん山﨑さん、俺が間違ってた。…流石に酷いな」


 何だこれ、下手くそとかいうレベルじゃないぞ。これ聞いて理解できる人いるのか?少なくとも綾乃は遠い目をしている。


「でしょー?てかさ、その山﨑さんて呼ぶのいい加減やめない?あたしには雛っていう可愛い名前があるんだけどなー?」


「はいはい、分かった分かった。それで山﨑さん」


「ちょぉー!何にも分かってないじゃん!雛って呼ぶまで口聞かないかんね」


「どうしてそこまで名前で呼ばせたいんだよ………」


 分からない。綾乃といい山﨑さんといい、なぜ名前で呼ばせたがるのだろうか。そういう遊びが女子の間で流行ってるのか?それとも女子って名前で呼ぶのが当たり前みたいな感じなのか?


「そんなのもっと仲良くなりたいからに決まってんじゃん。それにさ、この中で名前呼びじゃないのあたしだけでしょ?それはなんか寂しいなーってね」


「俺も氷川さんとは苗字呼びだけどな」


「ハルはあーちゃんとそこまで関わってないでしょ」


 確かに2人だけで話してるのは見たことないな。実際1回も無いんじゃないか?


「俺達はなんつーか、苗字呼びがしっくりくるんだよな」


「そうね。志田君を名前で呼ぶのはなんか気持ち悪いわね」


「ぐふっ… そこまで言わなくても………」


 どうでもいいところで春馬が傷を負ったが、それはさておき。

 これ名前で呼ばないと話が進まないやつだよなあ。仕方ない。


「分かったよ雛さん」


「ダメ。『さん』なんか付けたらよそよそしくなっちゃうじゃん。ちゃんと、雛って呼んで」


「はあ、雛。これでいいか?」


「うんうん、くるしゅうないぞ」


「何で偉そうなんだよ」


 まあ、距離感が縮まった気はするけど。いやそうじゃなくて。


「それで、雛は誰に勉強を見てもらうつもりなんだ?」


「それは………助けてあーちゃん!」


「私1人で貴方達を見るのは無理よ」


「そんなぁ〜。…あ、そうだ!」


 雛は何かを思いついたようだ。…また碌でもないことじゃないだろうな。


「みんなで勉強会しようよ!そうすれば困ったら助け合えるでしょ?」


「雛にしては珍しくまともな意見ね」


「「確かに」」


「酷い!でもみんなでやったら捗りそうじゃない?」


 本当に珍しくまともな意見だな。普段おちゃらけてばかりの雛からこんな意見が出るなんて………いや待てよ。これ雛が勉強という大義名分を使って、ただみんなで遊びたいだけなんじゃ……


「そういえば晩ご飯の支度があるって言ってたっけ。それじゃあついでにお泊まり会もしようよ!そ勉強時間も増えるし、何よりあーちゃんの手料理が食べられる………我ながら完璧な考え」


「そんなことだろうと思ったよ」


「やっぱ雛は雛ね」


「ヒナは何しても変わらねえだろ。ま、そこが良いとこでもあるんだけどな」


「ハルは褒めるんだか貶すんだかどっちかにしてよ」


「じゃあ貶すわ」


 そんな馬鹿みたいな話をしていたら、たちまち昼休みが終わってしまった。

 とりあえずやろう、ということにはなったので、詳細は後で話し合うとしよう。




 そして放課後。俺と綾乃、春馬と雛はそれぞれ帰る方向が違うので教室で話し合うことにしたんだが、


「ごめーん、3人とも。あと2人追加してもいいかな?」


「俺は構わないぞ」


「俺も大丈夫だ。綾乃は?」


「大丈夫よ。それで誰が来るのかしら」



 6人となるとなかなかの大所帯だな。俺の家の机は4人掛けだから、難しいな。一応ソファの前にも小さな机はあるが、それでも手狭だ。



「俺の家で出来たら良いんだが、6人となると流石に狭いな」


「いーよ、いーよ。提案したのはあたしだし、あたしの家でやろ?」


「大丈夫なのか?親御さんとかの許可は…」


「だいじょぶだいじょぶ。今2人とも海外行ってていないから。それに部屋も持て余してるしね。あ、ハルとトバっちもうちに泊まっていきなよ」


 そういうことならお言葉に甘えるか。正直助かる。マンションから雛が言ってた家の場所って結構遠いから、俺の家に泊めるみたいなことも出来ないからな。


「ああ、ありがとな。それでその2人っていうのは?」


「え?可奈ちゃんと桜ちゃんだけど」


「あのギャル2人かー」


 苦手ではない。あの2人は、俺への風当たりが厳しかった頃でも偏見を持たずに接してくれたからな。実は結構好感を持ってたりする。

 でも流石に気まずいな。春馬はいいけど、俺みたいな小心者は場の空気に押しつぶされてしまいそうだ。

 うーん、どうしたものか。…あ、そういえば。


「なあ、俺も2人ほど誘いたい人がいるんだけど大丈夫か?」


「おー!いいじゃんいいじゃん!いっぱい人がいた方が盛り上がるよね!」


「盛り上がってどうするのよ」


「一応勉強が主目的だからな?その辺忘れないでくれよ?」


「分かってるって。それで呼びたい人って?」


「同じクラスの黒田と津田ってやつなんだが」


「あー、トバっちがいつも一緒にいる人達ね。全然大丈夫!部屋はかなり広いからね!」


 やっぱり認知されてたか。まあ、なんだかんだであの2人と一緒にいるようになってもう3ヶ月は経つからな。本当、あの頃から俺と友人でいてくれるなんて頭が上がらないな。今度何かお返しをしよう。


「日程はどうするんだ?」


「次の土日でいいんじゃない?みんな空いてる?」


 この場にいる4人は特に予定がなく、幸い他の4人も大丈夫だったようで、予定はすんなり決まった。




 こうして、8人という大所帯による勉強会が行われることになった。



お読みいただきありがとうございます!

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