前へ目次 次へ 8/30 時は二十三世紀 荷物持ちのメイドの機村さんが急に立ち止まり大粒の涙を流し始めた。 「ご報告しますお嬢様。私、今すれ違った男性に恋をいたしました」 「通信した?」 「はい。交際しましたが……破局に。明るくて根は臆病ですが優しい人です。性格や趣味の不一致を幾度も乗り越え、ゴールイン寸前に……家族観の些細な違いがどうしても埋められず」 人間の数千倍の処理速度と通信速度を誇る彼女らロボットは、人の三ヶ月分の恋愛を一秒半で終える。