短編(詩) 曇天に煌めく 作者: 咲元 掲載日:2017/11/21 曇天の空の下。 遠くで雷鳴。 鯉口を切る音に、我に返る。 向けられた切っ先に、目眩がした。 きみは、あの頃から変わらない。 曇りのない瞳で、真っ直ぐにぼくを見据えている。 いつかきみが言った。 空を見上げて。 ぼくの好きな唄を口ずさみながら。 あの人と共に行くと。 ぼくは弱くて、何も言えなくて、ただきみの背を見送った。 今、刀を抜く。 鞘は捨てた。 納める刀など、持ち合わせていない。 きみを取り戻す。 今度こそ。 一閃が煌めき、星になった。