3話
「ギシャー」
よっと
俺に突っ込んできた白蟻に向かってカウンターで蹴りを叩き込む。
うりゃ
そしてとどめに一発入れる。
『経験値が一定に達しました。レベルUPします』
『レベルUPに伴い各種ステータスが上昇しました』
『スキルポイントを入手しました』
『レベル上限に達しました』
おー初めてのレベルUPから二日、とうとうレベル上限ですか。
でも俺のレベル上限低いなー。
レベルアップした数から考えれば5レベルだよ5レベル。
ゲームでいえば、三体の中から始めて貰えるモンスターも進化しないレベルだよ。
でもいいんだ、俺はそんなことは気にしない。
だってレベル上限ってことは俺はもう進化できるんだよね?
よし、進化行ってみよう!
進化!
・・・?
おかしいな?進化が始まらないぞ?
テンプレ的に言えば進化できるはずなんだけど。
うーん、これは進化条件とかあるパターンかな?
ほら、〇〇の石的な何かとか通信が必要って、通信は無いか。
うん、考えるのはここまでにしてもう一つも確かめよう。
鑑定取得。
『スキルポイントを使用し、スキル【鑑定】を取得しました』
よっしゃー。、とうとう鑑定が手に入った。
レベルがこれ以上上がらないので少し心配だったが、これで俺のステータスを見ることができる。
ではいきましょう!鑑定!
・動く木人形 Lv5 HP/25 MP/0
物理 30
精神 5
【鑑定】
雑!なんて雑で単純なんだ!
もっとほら、ステータスって細かい物じゃないの?
分かりやすくはあるけど情報量が少ない!
はぁ、ステータスはこの際置いておこう。
俺自身について分かっただけで取りあえずは良し。
そうだ、俺の種族?についても見ておこうか。
進化についてのヒントがあるかもしれない。
・動く木人形
動く木で出来た人形。一定以上成長せず上位種も存在しない。一部の地域では倒した後、薪代わりに使われる。
おぅ、薪ですか。
そしてそれ以上にショックなのは、もしかして俺は既にレベル上限だけでなく進化も上限に達しているのか。
これからどうしよう。
白蟻は倒せるけど、それ以外は怪しい。
俺よりも大きい相手だと簡単につむ気がする。
スキルポイントも使ってしまった。
本当にどうしようこれ。
ふぅ、悩んでいても仕方ない。
ようは俺よりも強い相手に見つかったり、敵対しなければ良いんだ。
頑張れ、俺。
バキバキ
ん?何か聞こえたな。
バキバキ、メキョ
まただ。初めて白蟻に会った時も似たような感じだったけど、音がでかい。
ベキベキ、ボキッ、ドーン
しかも音が近づいてきてないか?
あっ、嫌な予感がしてきた。
これはいけない。早く逃げ
「ギシャーーーーーーーーーーーー!」
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい。
俺の心が叫んでいる。
あの声の主に近づいてはいけない。
早く逃げろと。
とにかく走る。
早くここから離れないと。
ドン、バキバキ、ベキ、ゴキ
走っているのに音が近づいてくる。
後ろを少し振り向くと大型トラック位の大きさの白い羽蟻が追ってくる。
その感情の浮かばない瞳に写っているのは俺。
なんだよあれ。
無理だぞ。一発でも食らったら死ぬ自信がある。
くそっ、距離が詰まっているのか音が近くなっていく。
ん?前から光が、木がないのか?
っと、そんなことは今は関係ないとにかく逃げなければ。
もうすぐ追い付かれる。音が直ぐ後ろから聞こえる。
はははっ、短い人形生だったな。
まぁ、俺も白蟻を殺していたから自業自得か。
でも暗い森で死ぬのは嫌だから、あと少し頑張ろう。
光まであと五メートル
四メートル
三メートル
二メートル
一メートル
良かった。目標は達成えええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……
なんか落ちてる!落ちてるよ!
上を見れば白い羽蟻と崖。
そうか、俺はあの崖から落ちたのか。
一瞬助かったかと思ったけれどだめだこれ。
食われて死ぬことは無いけど落下死か。
あー激流が見える。溺死の方か。
ん?俺って息してるのか?
まぁ、溺死するかは分からないけど結局は死ぬだろう。
どうか来世は人間になれます様に。
バッシャーン!
うっ、気持ち悪い。
口が無いし吐くものも無いけど気持ち悪い。
なんか助かったけど、地下の変な流れに巻き込まれて体もボロボロだ。
洞窟内の浅瀬にたどり着いたから少し休憩しよう。
はー、何とか落ち着いた。
そういえば此処は何処だろう?
洞窟の中なのに目が見える。
壁が光ってるのか?
うーん、考えていても仕方がないか。
川以外には道?が一本しかないから進んでみよう。
強い敵に会わずに上手く地上に出られるといいな。




