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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第13章「御祭の天爆爛漫」

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第13章幕間 「リリンサの手記⑫」

「ゼーヴァ……、オート……?」

「そう。グラム、シェキナに続く第8の神殺し。ワルトナなら、この指輪の効果も知っているはず」



 英雄に憧れ、そして、その領域に辿り着いたワルトナなら、ゼーヴァオートの効果も知っているはず。

 実際、ワルトナの表情はゼーヴァオートの性能ではなく、なぜ私が持っているのか?という疑問が浮かんでいた。


『神欲輪廻・ゼーヴァオート』

 神すら欲する真実と締結を宿す、第8の神殺し。


 この指輪は蟲量大数に挑むにあたり、パパが絶対に必須だと定めた神殺し。

 当時のパーティーメンバー、ユニク、あの子、ユルドルード、パパ、はそれぞれ、グラム、ルーンムーン、黒煌、メルクリウスを装備。

 そんな4つの神殺し級武器を持つこの英雄パーティーは、おそらく人類史最強クラス。

 だけど、有史以来・全生物最大最強である蟲量大数を相手にするには、たった数年の熟練度では話にならない。

 ゼーヴァオートの締結で4つの神殺しを重ね合わせ、神滅兵装使用者×4になるしか、勝利の道は無いのだと。


 でも、ゼーヴァオートを入手することは出来なかった。

 他ならぬホーライが持っていたから。


『お師匠がゼーヴァオートを隠したのは、私利私欲に走った私に失望したからでしょう。あぁ、恨んではいませんよ。たった一人を救う為に人類の至宝を欲する私と、世界の危機への対抗手段を残そうとする英雄、どちらが間違っているのかなど、語る必要すらない事ですから』


 パパはこう言っていたけど、真実は違う。

 ホーライは分かっていたんだと思う。

『これは金鳳花が仕掛けた物語』だと。


 だけど、誰が無色の悪意を持っているのかまでは分からなかった。

 あの子に執着するパパの姿は、無色の悪意を持っているようにも見える。

 イミリシュアを失っているユルドルードも、あの子を守る為に必死になっているユニクも。


 ゼーヴァオートは無色の悪意に対する切り札。

 ゴモラの知識庫にあった記述では、第二次カーラレスインパクト……、ノワルとシアンが大教主と大聖母になった十数年後に発生した最初の無色の悪意による世界危機の際に、特攻兵器として作成されたらしい。


 そして、もしもゼーヴァオートが金鳳花の手に渡ってしまったら、無色の悪意への抑止力が無くなってしまう。

 悪意に怯え、悪意を探し、悪意が見えた瞬間に殺す。そんな解決策しか取れなくなった人類は簡単に滅ぼされてしまうから。



「そのエンゲージ オブ レメゲトンを付けた人の魔力は、私のリング オブ ソロモンの支配下となる。魔力はもちろん、考えていることまでお見通し!」

「本来は、神経速で行われる神々の戦いでチームプレーを可能にする兵器。……それを、こんな使い方をするなんてね」


「ワルトナが何を考えているのか。確信はしていたけど、まだ憶測でしかなかった。……でも、もう違う」

「……うん」


「ユニクとあの子に対する強い想い、そして、それを手放そうとしてまで守ろうとしてくれた私への想いも、全部受け取ったよ」

「うん」


「私は勝った。約束は守って貰う。もう二度と、ワルトナを一人にしたりしない!!」



 パパと一緒にゼーヴァオートを研究している時には、知識としてしか理解していなかった能力。

 心同士の結びつき。

 人を信じるということは、当たり前で、難しい。

 本当は道具になんか頼りたくない。

 でも、これでワルトナが安心するというのなら……、私はこの指輪を一生、付け続ける。



「こんなに酷いことをした僕を……、許すの?」

「許す!!」



 **********



「そしてワルトナは泣いた。涙でべちゃべちゃになるくらい……、この悲しさは五段アイスを地面に落としてしまった時に匹敵す――」

「おい、ふざけんな。人の感傷をたかがアイスと比べるんじゃないよ」


「むぅ?じゃあ、満漢全席が載ったテーブルをひっくり――」

「食いもんから離れろっつってんだよ、このお馬鹿――ッ!」


「ももふぅー!!」


 日記帳に落ちた影をリリンサが見上げると、そこにはあきれ顔のワルトナが居た。

 その手には黒い小冊子とアヴァロンまんじゅう。

 視線だけで確認した表紙には、『人狼狐の計画書・及び、自供考察書』と書かれている。



「もっふ、ももっふ……、ワルトナも何か書いてたの?」

「レジェが自供書を出せってうるさくてねぇ。まぁ、ノウィン様からも求められるだろうし、今後の整理も兼ねて書いたって訳さ」


「自供……、考察書?」

「アンジェが何をしたかったのかっていう考察を追加してある。この冊子の柱は3本、僕視点、テトラフィーア視点、金鳳花視点。その内、金鳳花視点だけはどうしても推察するしかないからね」


「テトラの方は?」

「事実の羅列だけに留めた。レジェが知らないであろうユニとの出会い~如何にして世界経済の中枢に至ったか。もちろん、アンジェの手引きな訳だけど……、そこは真っ当な指導聖母としての活動で僕もサポートをしてた。そこん所を詳しく書けば、レジェなら勝手に察するさ」



 ワルトナにとって、テトラフィーアは二重の意味でライバルだった。

 ユニクルフィンとの恋敵、そして、金鳳花が育てている後継者てごま

 ワルトナがいち早く危機を察知し、あらゆる手を使ってテトラフィーアを潰そうと動いていなければ、『指導聖母・悪辣』の名は彼女のものだったかもしれない。



「この本には今回の人狼狐において、僕の仕掛け、テトラフィーアの仕掛け、金鳳花の仕掛けが整理されて記載されている。流石に、僕が皇種を引き連れてくるのは無理があるって分かるでしょ」

「それはそう。あ、そう言えばラグナガルムはどうなの?紅葉が主人の様に振舞っていたけど」


「ラグナが受けた認識阻害は紅葉が仕掛けたものだよ、ただし、僕がそうなるように誘導してる」

「ん!」


「おや?興味津々なようだね。ま、心が繋がってる以上はバレるしね。読んですっきりすると良いよ」



 軽い感じで手渡された小冊子、そして、リリンサは平均的な興味津々顔になった。


 これには間違いなく、ワルトナの技術の全てが掛かれている。

 今後のユニク篭絡方法を検討する為にも、しっかり読まないと。


 そしてリリンサは、黒い表紙を開いた。

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