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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第13章「御祭の天爆爛漫」

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第13章幕間 「リリンサの手記⑧」

神嘘窮劇ジンコキュウゲキ・シェーキナピア》』


 ワルトナがシェキナを覚醒させて作り出した、疑似空間。

 一部の神殺しに備わっている、特殊フィールドの形成。


 ワルトナの狙いは、ソドム・ゴモラとの連携解除。

 そして、私への精神的な揺さぶりだった。



「丁度いいだろう?君は知りたかった僕の過去を体験できる。だが気を付けたまえよ、あまり夢中になりすぎると……、真実を知る前に、あの世に旅立っちゃうからね」



 シェーキナピアの効果は、ワルトナの記憶を再生し、その現場に居合わせたかのように体験すること。

 今まで一度も語ってくれなかったワルトナの過去、それに興味がないかと言えば嘘になる。

 だけど、もっと別の形で聞きたかった。


 ユニクと別れたワルトナは、不安定機構の私室のような場所で過ごしていたらしい。

 今のワルトナの執務室にそっくりだし、ノウィンが与えたもので間違いない。

 そして金鳳花が訪れたことで、ワルトナの物語が幕を上げた。


 金鳳花――、いや、悪才アンジニアスには、私も何度か会ったことがある。

 最も強い印象は『生粋の商人、運動能力弱』。

 身長は170cm代の割と高め、背格好だけで言えば澪に近い。

 だけど、その運動能力には雲泥の差がある……?

 バッファ無しで走った私に負ける程度では、ドラゴンどころか、ただのウマミタヌキにすら置いて行かれる。


 なお、戦闘力という意味では決して低くない。

 身体中に魔道具や魔法陣を仕込んでいるのが見えた、これで火力の低さ問題は解決。

 今でこそ分かる事だけど、時の権能による記憶の先読みと未来予知、時間操作による回復と相手の遅延を駆使できる。

 並では絶対に攻略できない。


 魔法の知識も深く、ワルトナが私と出会う前に覚えていた魔法の殆どは金鳳花がレッスンを付けたという。

 第九識天使ケルビムを使った高速魔法訓練も金鳳花が開発した技術だった。


 そういう意味じゃ、金鳳花がワルトナに与えた恩恵は大きい。

 ワルトナ自身も自分の基礎を金鳳花が作ったと理解しているからこそ、真っ向から逆らうという手段を選べなかったんだと思う。



「おい!転送屋、早く開けろ!」

「はいはい~いらっしゃいませ~おや、ウリカウの旦那ではないですか」



 金鳳花と共に世界を旅したワルトナが選んだ職業は、転送屋という『旅をさせる側』の仕事だった。

 そして、そこで私はワルトナと出会っていた。


 お母さんとセフィナが亡くなった。


 そう告げられた私はウリカウに連れられ、転送屋でエデュミオに帰ることに。

 その時の私は支離滅裂な思考で、事態に流されるままだった。

 もしも、この時にワルトナに元気づけられていなかったら家にすらたどり着けなかったかもしれない。

 感謝が一つ増えた。



「このお姉さんの名前は、ソウ……さんだっけ?」

「あぁ、彼女の名は ソウ・クワットスキー。ノウリ国・伯爵位を持つ豪商の娘だ」



 クワットスキー領にはワルトナと一緒に訪れたことがある。

 その時にとてもすごい歓待を受けたから何かあると察していたけど……、ユニクラブカードを持っている人がいるとか聞いてない!!


 ソウという女性はワルトナに騙され、自領を破滅に追い込んだっぽい。

 確か、果実酒は樽のままにしておくと腐る。

 だから長期保存は瓶に入れるのが常識。ジャムと一緒。


 瓶の利権を押さえておくというのも、容易に想像できるワルトナの常套手段。

 なるほど、こういう所で練習していたからバリエーションが豊富なんだね、納得。

 後でソウに会いに行くときには瓶詰めのお菓子で牽制したい。



 ソウ、パレット、カタルーナ。

 次々に見知らぬユニクラブカード所持者が出てきた。

 みんなワルトナが意図的に失墜させてて……、特にカタルーナはテトラの前に聖女と謳われていた人で被害の規模が大きい。

 少なくとも、2つの国の国王が代替わりしている。間接的にレジェの躍進の布石になってるのが面白い。



「ワルトナ、指導聖母・悪才アンジニアスから教育を受けた貴女には……、私の娘、リリンサの友達になって頂きたいのです」



 お母さんから呼び出されたワルトナは戦々恐々。

 大国の国家予算とか言われたら誰だってそうなる。


 お母さんの『ワルトナを私の友達にする』計画は、出会った頃に立てたものだと思う。

 でも、その為の教育費として凄まじい金銭を金鳳花に払った……というのは、ちょっと気になる。

 ゴモラが一緒に居るはずのお母さんを騙し切ったというのなら、金鳳花の認識改変能力は悪食=イーターよりも上。要注意。



「ワルトナ。貴女はユニクルフィンに対して、特別な思いを抱いていますね?」

「えっ……」


「ふふ、責めているのではありませんよ。ユニクルフィンと添い遂げるために頑張っていることも、大変に微笑ましいものです」



 どうやら、お母さんはワルトナの味方でもあるらしい。

 前々から思っていたけど、『大聖母ノウィン』は私達に優しい。

 私の誕生日には必ずプレゼントをくれたし、その時にはワルトナにも同程度の価値のものを用意していた。

 当時は「私が主役なのに……」なんてちょっと思ったりもしたけど、困りながらも嬉しそうなワルトナを見るのは新鮮で楽しかった。


 なお、このワルトナの畏れ方を見た感じ、自分の誕生日のプレゼントは断ってそう。

 恐らく、それに思うことがあったお母さんは、私の誕生日という断りにくい状況を有効活用したっぽい。



「発端は、セフィロトアルテに植物の皇種が誕生したこと。当時の私の家族が住む街であり、そこにユニクルフィンは頻繁に遊びに来ていました」

「ユニが……。それで!?」


「ユルドルードと旅をしているユニクルフィンは、圧倒的な戦闘力を有しておりました。私の娘達と遊ぶ時は手加減に苦慮し、結果的に負けてしまう。そんな日常でしたよ」

「ユニ、優しいもんね」


「愚かなことに、私は多大な期待を抱いていました。彼もまた、娘達と同じ7歳の子供であることを忘れて」



 お母さんから語られた、セフィロトアルテの真実。

 ユニクとユルドルードの活躍、そして、あの子の結末を聞いて……、強い無力感を抱いた。



 ユニクが私を守り、あの子がユニを守った。

 当時のことは覚えていない。

 だけど、泣きじゃくる事しかできなかった、そんな気がする。


 ユニクとユルドルードの旅の理由は、あの子とパパを癒す解毒薬を手に入れる為。

 そして、それは叶わなかった。



「ユニ達が負けたのは知ってる。だけど、その後何が起こったのかは知らない。教えてください、大聖母ノウィン様」

「ふふ、ワルトナは本当に賢いですね。勝者である蟲量大数は私たちの望みを叶えることはありませんでした。ですが、命も奪わなかった。5年後の再戦を担保に見逃してくださったのです」


「!!」

「ですが、あの子とアプリコットに時間は残されてはいませんでした。その時点で皇の記憶は破壊尽くされ、個人の記憶に影響が出ている。長くて1か月。それが限界でした」


「そんな……」

「そして家族で話し合い、私の我儘を選びました。二人ともが肉体を捨て、あの子はリリンサに、アプリコットは白銀比様に魂を預けることにしたのです」


「魂を、あず、ける……?」

「それが出来る手段があったのです。そして、あの子だけは生きる道が残されていました」


「どう、やって……?」

「リリンサの肉体成長を分割し、あの子の身体を別次元で作成する。成長スピードは2分の1となり、回復力や免疫力も下がってしまうかもしれません。ですが、リリンサはそれでも良いと。そうじゃなきゃ嫌だと、言ってくださいました」



 うすうすは分かっていた。

 私の身体は、私一人のものじゃない。


 あの子がどんな存在なのか、それはきっと、よく考えれば分かること。

 でも追及はしない。パパの魔法が解けるのは困るし、なにより、関係性なんてどうでもいいくらいに大切な人だとを確信しているから。



「リリンサと一緒に旅に出ます。あの子の存在を思い出さない様に隠せばいいんですよね?僕、得意ですよそういうの」


「任せても……良いのですか?」

「はい!!だって、ユニとあの子なら、そう言うと思うから!!」



 そして、ワルトナは私との旅を選んだ。

 金鳳花から任された仕事や、自分で手に入れた利権の維持を蔑ろにしてまで、私を選んでくれた。


 絶対に私たちの未来を勝ち取ろう。

 ポケットに入れていたゼーヴァオートを握りしめながら、強く思った。

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